市長選控え発注ラッシュ 柳川 中小・零細も複数受注 [2008年12月19日11:38更新]

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(08年12月号掲載)

昨年、柳川市が業者に配布した資料来年4月に市長選を控える柳川市(石田宝蔵市長)で「公共工事発注ラッシュ」が続いている。

昨年9月の入札制度改革(本紙既報)で中小・零細業者も複数の工事を受注できるようになったため。

小規模の工事が多数発注され、そのほとんどが落札率95~97%。関係者からは「選挙をにらみ業界に金をばらまいている」との声が漏れている。
(写真=昨年、柳川市が業者に配布した資料)



測量会社も落札 95~97%がズラリ

「10、11月の公共工事の発注件数は合計113件。いずれも額が小さく、中小・零細業者にまんべんなく工事を行き渡らせるのが目的ですよ」。ある業界関係者はこう語る。 

例えば「農業用施設災害復旧費」。今年9月の議会に提出され可決、総額は約1億4000万円(工事請負費約1億2700万円)。農業用水路の災害復旧工事として10月末から発注を開始。どの工事も予定価格が1000万円以下の小規模工事である。

そのほとんどがCクラスの業者を対象としており、落札率には95~97%という高い数字がずらりと並んでいる。  

落札した業者の中には杭打ち業者や測量会社の名前もある。「こうした専門外の業者が実際に工事をできるはずがない。落札してすぐに下請けに出す。入札に参加しさえすれば、後は何もしなくても一定の額が懐に入る仕組みです」(前出業界関係者)。 

制度変更のおかげ  

本紙は、昨年9月から柳川市の入札制度が「改善」され、設計金額1000万円未満の指名競争入札で、主任技術者が複数の現場に従事できるようになり、業界から絶賛されていることを5月号で報じた。 

中小・零細業者は主任技術者が1人しかいない場合が多い。これまでは1人の技術者が1つの工事しか請け負うことができなかったのだが、制度変更後は受注した工事の総額が1000万円を超えない限り、何件でも請け負える。 

また、いったん限度額を超えても、竣工した工事を除いた合計額が1000万円を下回れば新たな工事を受注できる(写真上参照)。 

「制度変更のおかげで、零細業者でも短期間で複数の工事を、しかも元請けで受注できるようになった。すでに昨年末から小規模工事が激増していますが、特に今年はこれまで名前も聞いたことがないような業者が落札しています」(同)。

まさに建設・土木業者天国

用水路災害復旧工事の様子(柳川市)少し考えてみれば分かるのだが、1人の技術者が複数兼務すると、完成した工事の質が下がる可能性がある。

柳川市は、こうしたリスクよりも多くの業者に工事を配分する方がメリットが大きいと考えている、ということなのだろう。
(写真=用水路災害復旧工事の様子)

新制度を十分に活かすためには2つの条件が必要だ。1つは、市が工事を細かく分けて発注すること。そしてもう1つは、どの業者にも平等に工事が行き渡るようにするための「業者間の調整」である。

この2つが両輪となって、柳川は今まさに「建設・土木業者天国」としてばく進中─と言える。 

市長選は現職vs元市職員の一騎打ちへ

経済の悪化で公共工事は減少、民間の設備投資も低調で、建設業界は厳しい状況にあえいでいる。だが柳川は「別世界」。入札制度改革など積極的な施策を進め、業界と一体となって「柳川モデル」とでも呼ぶべき体制を築き上げた。

この不況の時代、地元建設業界の利益を最優先し、リスクなど物ともしない柳川市の姿勢を、他の自治体・首長も見習うべきではないか。有権者や報道の視線など気にならない太い神経があれば、の話ではあるが。

なお、来年4月12日に予定されている市長選にはすでに元市職員、金子健次氏が出馬を表明。石田市長も10日の議会で議員の質問に答え「まだ志半ば。解決には2期8年が必要だ」と述べ、再選を目指す意向を明らかにしている。