「県の税務捜索で精神的苦痛」と主張 倒産防止開発機構 [2009年1月27日08:46更新]

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(08年12月号掲載)

福岡県庁滞納している税の徴収が目的で県税務課の執行官が会社を捜索した際、違法な行為によって「社員が精神的な苦痛を受けた」などとして、福岡市のコンサルタント会社が県に損害賠償を求める訴訟を検討している。

この会社は「中小企業倒産防止開発機構」(博多区、徳川高人代表)。同社は、執行官が女性社員のロッカーを調べる際に本人に知らせず、立ち会い人も置かなかった、などとして「一連の捜索は明らかな違法行為で、個人のプライバシーを著しく侵害した」と主張。

一方の県側は「捜索は法令に基づき、適正だった」と反論している。
(写真=福岡県庁)



 

県税務課執行官が倒産防止開発機構本店ビル(写真下)などの関係先を訪れ、社内を捜索したのは11月17日。同社は、会社が一括して納めるべき社員の住民税などの地方税計約330万円の納付が滞っており、それを徴収、換金可能な物品を差し押さえるのが目的だった。 

同社は「捜索は、必要な告知をしなかったり立会人不在の中で行われるなど、個人のプライバシーを無視した違法なものだった」と主張する。

ショックで退職者も  

中小企業倒産防止開発機構(博多区)同社によると、複数の執行官が女性社員のロッカー室を捜索した際、社員には何の告知もなく、立ち会いの要請もなかったという。 

「ロッカーには私服や化粧品、生理用品など他人に触れられたくない物が入っていたが、明らかに誰かが動かしていました。後で『立会人は置かなくていいのか』とたずねると、ある執行官は『男性社員がいた』と説明しましたが、実際には立ち会った人はいなかった」(女性社員)。 

ある社員は当日欠勤していたが、翌日ロッカー内に置いてあった私物が動かされ、衣服に強いタバコの臭いが染みついていることに気付き、「激しいショックを受け、その直後に退社しました」(同)。 

また女性執行官が男性社員のカバンを調べる際「個人の私物で関係ない」と拒否しているにもかかわらず、自宅宛の封書を開けるよう要求したという。

封筒には成人向けDVD販売に関するパンフレットが入っており「封筒の表を見れば中身は分かるはず。怒りと恥ずかしさでその場にいるのが耐えられないほどだった」(男性社員)。 

ほかにも執行官は不在の社員がハンガーに掛けていた背広を探るなどした。このため代表らは5人の執行官を集めて強く抗議。すると責任者が「個人私物については説明不足と行き過ぎがあった点について謝罪したい」と述べたという。 同社は同月25日、滞納分全額を現金で納めた。

捜索は適正、適法  

同社の主張に対し県側は「個別の事案については、個人のプライバシー保護の観点から詳細はお答えできない。あくまで一般的な話」と断った上で「従業員は会社の構成員であり、その所有物は当然調べの対象となる。信書は本人に開封させるし、立会人は必ず見渡せる範囲に置いている。捜索の権限は法で認められており、適正に行われている」 

県によると、会社員へ課せられる住民税などは通常、会社が給料から天引きしてそれぞれの住民票がある市町村へ納める。県税もこれに含まれる。同社への捜索は、会社が滞納する地方税を県が各市町村から委託を受けて一括徴収する、県内初のケースだった。

 

本紙はこれまでたびたび同社の業務について報じてきている。だが今回の件については「県税務課執行官の行為は適正だったかどうか」が問われており、業務に関する話とは別と判断、記事を掲載した。

★現在のところ同開発機構は訴訟に関する動きを見せていない。