こども病院独法化 福岡市の思惑は(2) 破綻見越し「責任回避」!? [2009年2月6日10:05更新]

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(09年1月号掲載)

福岡市立こども病院(中央区唐人町)昨年12月16日に開かれた第2委員会。出席した市幹部に対し市議からPFI方式の導入や経営問題について質問が相次いだ。

阿部亨・市保健福祉局長は「経営を成り立たせるというのは、自立性があり経営責任があって初めてなしうる。独法でしっかりと責任を取ることが重要」と述べた。 

市幹部はこれまで市民への説明会などで「責任を持っていい病院にする」などと説明してきた。だが実際には、福岡市の財政と切り離される。もし経営が行き詰まっても責任はあくまで独法=新病院が負うことになるのである。



収益性を犠牲に人工島へ決定

既報の通り新病院は巨額の借金を背負ってスタートする。これは、どこに移転させるにしても、また現在地で立て替えるにしても、基本的には変わらない。  

そうなると当然、新病院の移転先としては高い収益が望める、つまり交通アクセスや利便性が高いという条件が重要になってくるはずだった。だが市はその点を事実上まったく考慮せず「広い土地が確保できる」などとして人工島に決定した。最先端の設備を充実させて収益増を図るにしても、その費用は結局病院側が負担する。 

こども病院の移転先をめぐっては、人工島案を主張する市側と、アクセスの悪さから反対する患者家族や医師との対立が生じたことは既報の通り。市の決定は「人工島に移すために収益性を犠牲にした」と言い換えることもできるだろう。 

全国で破綻相次ぐ病院PFI

市が経費削減・サービス向上の「切り札」として導入を予定しているPFI方式。民間の資金やノウハウを公共事業に活かす手法として近年注目を浴びているが、こと病院経営に関しては全国で破綻する例が相次いでいるのが現実だ。 

例えば滋賀県近江八幡市立総合医療センター。建て替えに伴いPFI方式を導入したが、新病院の収入が当初の計画を下回った上、コストも削減できなかったために移転後わずか2年半で破綻に追い込まれた。

福岡市は運営費用のうち約50億円をPFI方式で調達する方針だが、場合によっては経費削減どころか経営そのものの首を絞めかねない。

また、市が出した新病院の収支試算には、病床利用率や外来患者数などに何の根拠もない、現実離れした数字が並んでいることは以前報じた。こうした状況では、新病院の経営がうまく行くと考える方に無理がある。 

計画の裏にある「真のシナリオ」とは  

福岡市役所これらの点を踏まえ、福岡市の思惑を考えてみたい。 

病院移転を理由に人工島の土地を一定の広さ購入する条件は、事業に出資した銀行のことなどを考えると今さら変更できない。

かと言って人工島では収益性が悪く新病院の経営存続が危ぶまれ、破綻すれば市の責任を追及される。

だから市の財政から「不採算部門」を切り離し、経営責任を新病院に押し付けるため、つまりは市の責任や批判を回避するために、移転前の段階で病院を独法化する。 

これこそが、移転計画の裏にある「真のシナリオ」ではないのか。 

現段階で計画を止めることは事実上不可能。後は、本紙の指摘が杞憂に終わることを願うしかないが・・。