(09年2月号掲載) 柳川市は4月に市長選を控えているが、一連の事件・不祥事の責任、議会への不信感を石田市政の問題とすり替える動きも見られる。 本紙は07年から柳川市について報道を続けてきたが、今回の騒動を受けてあらためて本紙の考えと立場を明確にした上で、現市政が抱える問題の本質について再度指摘したい。 混乱の発端は昨年12月31日。田中議長が自宅で開いた忘年会で、酒に酔って知人をビール瓶で殴り頭にけがを負わせた。またこの忘年会には、道仁会系の暴力団幹部が出席していた。 年が明けた先月半ば、これらの不祥事がマスコミ報道で発覚し問題に。その直後の同20日には、この暴力団幹部が柳川市内の飲食店で何者かに発砲され、重傷を負った。 一連の不祥事、混乱の責任を取る形で田中氏は議長職の辞任届を提出(1月14日付)。だが議員職は続けたために、同30日の臨時議会で一部市議から議員辞職勧告決議案に関する審議を求める動議が出された。議会は賛成少数で否決した。 田中氏、議会の対応に市民の反発と批判は強まり、今月4日には一部市民による議会解散請求の動きも表面化。結局、田中氏は同7日付で議員を辞職した。 田中氏をめぐっては昨年11月、自身が代表取締役を務める「田中食品」(柳川市)が「キャセイ食品」(東京)の野菜産地偽装に加担していた疑惑が浮上。田中氏は県から改善指示を受けた同月14日に同社代表を辞任。また不正競争防止法違反(偽装表示)容疑で長崎県警が同社を捜索した。このため一部議員らから「議長、議員職を辞任すべき」との声が上がっていた。 本紙は昨年12月26日、田中氏に単独で会い話を聞いた。暴行事件や発砲事件が起こる前である。 筆者はまず、産地偽装との関わりについて聞いた。田中氏は「自分自身はまったく知らなかった」と関与、指示について全面的に否定した。筆者は「今後さらなる議会の混乱、市民の批判を招く。できるだけ早く議員辞職すべきでは」と指摘したが田中氏は「議長ポストや議員に固執するわけではない」としながらも「進退はあくまで個人的なことで、あなたが口を挟む問題ではない」と気色ばんだ。 その後の事件発生などの混乱を予測していたわけではもちろんないが、今となってみれば、本紙の指摘が正しかったことは明白だろう。田中氏には、公人としての意識が欠けていたと言わざるをえない。 混乱の責任は田中氏だけにあるのではない。議会も同罪である。 田中氏への議員辞職勧告決議案を審議することなく廃案にするなど、市民からすれば田中氏を擁護しているとしか見えない。早い段階から全会一致で辞職を求めるべきではなかったか。議会の甘い認識と見通しが混乱の一因となっているのは否定できまい。だが問題はそれだけではない。 現在の議会ではいわゆる「反市長派」が多数を占め、田中氏はその筆頭と目されている。その田中氏に批判が集中した結果、多くの市民が「反市長派議員の存在が市政停滞の原因」と曲解、矮小化して捉えているのが現状ではないか。 だが、少し考えてみれば分かるはずである。 一連の不祥事や議会の対応は批判されて当然だ。だからと言って、現在の石田市政のあり方が正しいとなるわけではない。 (続く)
柳川市(石田宝蔵市長)が年明けから揺れている。田中雅美・市議会議長(当時)が忘年会で知人を殴りけがを負わせていたことが発覚。さらに暴力団幹部が同席していたことも明らかになった上、この幹部を狙った発砲事件が発生、市民の間では暴力追放の気運とともに議会への批判の声が高まっている。
不祥事・発砲事件で揺れる柳川(1)市長選直前、問題のすり替えも [2009年2月20日09:32更新]
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