(09年6月号掲載) だが決断した理由について同社からの正式な発表はなく、一部から「何の前触れもなく事業を投げ出すのは無責任だ」と批判の声が上がる一方、様々な憶測も飛び交った。 自己破産に踏み切った理由は何なのか、「突然の倒産劇」の真相とは・・。 事業停止から1カ月が過ぎる中、地元建設業界を取り巻く厳しい環境、さらにはその結果生じた高松組と地元銀行との軋轢が浮かび上がってきた。 「高松組の建設現場が突然、閉鎖された」。こんな情報が飛び込んできたのは5月15日の朝だった。 「高松組が事業停止」。本紙がいち早くHPで報じたニュースは、瞬く間に業界を駆けめぐった。 「高松組が良くないというのは薄々感じていたが・・。それほど悪かったのか、というのが正直な感想です」(ある建設会社トップ)。 高松組は1916(大正5)年に創業。業歴93年を誇り、アクロス福岡や九州国立博物館などを手掛けた。最盛期には年商100億円を売り上げ、福岡を代表する建設会社だった。 高松宏社長はかつて業界団体の会長を務めたこともある上、快活な人柄もあって幅広い人脈に恵まれていた。それだけに、いきなり事業を停止したことに対して一部から「なぜ今なのか。無責任だ」と批判が上がった。 また事業停止以降、様々な憶測や“怪情報”が飛び交い、多くの関係者は「自己破産に踏み切った理由は一体何なのか」といら立ちを隠さなかった。 「現在、競争入札の場では安値受注が横行しているのが実情です。スーパー・大手ゼネコンに対抗するためだが、仕事を得るために利益が犠牲になっている面は否定できない」。ある建設業界関係者はこう語る。 高松組も例外ではなかった。例えば香椎副都心地区の福岡高等技術専門校成人訓練センター建設工事(07年)。同社が3億5500万円で落札したが、2番手の入札価格は3億8400万円で約1割も下回っている。 「年商80億円を維持するのは今の市況では厳しかったはず。無理な受注がたたって、こういう事態になったのでは」(同)。 こうした点に加えて、工事を完成させたにもかかわらず、その代金が焦げ付いたことも原因の1つとして挙げられる。 同社だけでなく多くの建設会社は、受注した工事を完成させるのに必要な資金について銀行から融資を受け、工事が完成した後、発注者から代金を受け取り銀行に返済する。 このため業界全体が「借入依存体質」に陥っているのが現状。何らかの理由で工事代金が支払われなければ、一気に資金繰りが悪化する恐れがどの会社にもあるわけだ。 (続く)
5月、事業を停止し自己破産を申請した地元老舗建設会社「高松組」(福岡市中央区薬院、写真、高松宏社長)。誰も想定していなかった突然の事態に、多くの業界関係者らの間に文字通り激震が走った。「なぜ今なのか?」
高松組 突然の倒産劇 真相は?(1)理由分からず批判の声 [2009年7月13日10:47更新]
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「なぜ今なのか」いら立つ関係者
安値受注が常態化
工事代金の焦げ付き

