(09年8月号掲載) それにもかかわらず今回の新設工事では、JV側が「主催者及び事務局関係者」であるS設計事務所と接触し、設計に関与していたことを認めたのである。 公募した民間企業に提案を競わせ事業者を選定する以上、その過程に公正・公平性が求められるのは当然で、だからこそ要綱で厳しい条件が課せられているはずだ。指摘されているような疑惑が事実ならば、事業そのものを根本から揺るがすことになりかねない大問題である。 冷蔵庫建設事業に応募した企業体が提案書を作成する際、面積などの条件を知ることが必要となる。これらの数字を既設の冷蔵庫の図面などから算出する業務について、市は昨年末、登録業者3社で指名競争入札を実施。その入札額が同じだったことから、最終的にくじ引きでS設計事務所が選ばれたという。 各JVは、同設計事務所が算出した数字を元に提案書を作成するわけで、もしこの事務所が特定のJVに参加すれば「テストの問題を作った者が、そのテストを受けて解答するようなもの」(事業に応募した企業の関係者)。とても公正な競争とは言えないことは明白だ。このためS設計事務所は要綱で定められた「主催者及び事務局の関係者」とされており、市鮮魚市場整備担当は「指摘されるようなことが事実ならばそのJVは即、失格」と話す。 前述の通り、八千代関係者は本紙に対しS設計事務所の関与を認めている。このことについて市担当者に質すと「こちらの調査の結果ではすでに結論が出ており、そのようなことはありえないと言うほかない」 プロポーザル方式とは違うが、本紙はこれまで何度か指定管理者制度について取り上げた。2つに共通するのは、公的事業を民間企業に請け負わせるため、事業内容などを提案させた上で審査し選ぶ点だ。 どちらの方式においても応募した企業は、より良い提案内容を作ろうと、選ばれないリスクを承知の上で費用と時間を掛け努力する。だが選考の過程で公正さが疑われる、あるいは不透明な部分があれば「どうせ最初から結果が決まっていたのだろう」と疑惑の目で見られるのは避けられない。「ばかばかしいから今後はもう参加しない」(ある企業関係者)という声すら上がっているのが現実であり、制度そのものが危機を迎えていると言っていい。 特に今回の冷蔵庫事業については、設計業者の関与は明らかな要綱違反。市当局は実態を再調査し速やかに結果を公表すべきだ。さもなければ関係者らの不信感は払拭されないだろう。同時に、情報公開のあり方なども含め、市民や関係者に理解が得られる制度へ改正されることを強く望みたい─たとえこう書いても、市当局には何も期待できないのかもしれないが。
市の公募要項によると、選考委員に選ばれた者や主催者及び事務局の関係者は、応募する企業体の構成員に加わることはできないと定められている(写真)。また、直接・間接を問わず、選考委員に対して連絡を求めたり接触した場合にも失格となる。
鮮魚市場の冷蔵庫新設工事(2)問われる福岡市の制度運用 [2009年9月9日10:44更新]
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制度自体の危機

