鮮魚市場 不正取引常態化か(1)「伝票だけのやり取り横行」と関係者 [2009年11月4日09:51更新]

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(09年10月号掲載)

福岡市・長浜の市場会館冷凍マグロの架空取引疑惑で揺れる福岡市・長浜の鮮魚市場。同市場の卸売業者「福岡中央魚市場」(同市中央区長浜)や仲卸業者の間で、魚の売買を装いながら実際には金銭の授受しかない不正取引が常態化していたことが、複数の市場関係者の証言で分かった。

8月末にはもう1つの卸売業者「福岡魚市場」(同)関連会社でも循環取引が発覚、本紙が報じたマグロ架空取引疑惑は「氷山の一角」であることが明らかに。

こうした不正が横行していた背景には、商品をチェックせず伝票だけでのやり取りが慣例化していたという市場のずさんな体質と、「不正取引でも儲かればいい」という儲け至上主義があった─と指摘せざるをえない。  



 

鮮魚市場における通常の取引は

(1)漁師などの生産者が、卸売業者(長浜の市場では福岡中央魚市場と福岡魚市場の2社)に鮮魚類を売る

(2)卸売り業者は競りなどを通じて仲卸業者に卸す

(3)仲卸業者は魚屋やスーパーなどの小売店に卸しそこから消費者へ渡る

─という流れである(下図参照)。 

ところが、ある仲卸業者は「手っ取り早く現金を手にするために、伝票のやり取りだけで取引を行う不正が、つい最近まで常態化していた」と証言する。 

 

関係者の証言によると、まず仲卸業者が生産者を装い、自らの会社には秘密にしたままで鮮魚の伝票を卸売業者である中央魚市場に出す。中央魚市場はそれに対して代金を払い、その伝票を仲卸業者に回して、生産者に支払った代金に手数料を上乗せした額を受け取る。

この取引では商品である鮮魚類は存在しない。伝票と現金だけのやり取り、つまり架空取引である。

商品チェックせず  

例えば、10万円分の「架空伝票」を中央魚市場に出したと仮定する。仲卸業者は同額の現金を手にし、中央魚市場は伝票を仲卸業者の会社に回して10万円プラス手数料を得る。だが実際には商品が存在しない以上丸損となり、このままでは会社に不正がばれてしまう。 

そこで仲卸業者は、10万円分の商品を小売店に卸したように見せかけるため、別の通常の取引に紛れ込ませ、商品のやり取りがあったように帳簿を偽造する。そうすると少なくとも帳簿上からは不正取引の痕跡が消え、業者の手元には現金が丸々残ることになる。 

(続く)