大川の家具業界に学ぶ(1)多様な顧客ニーズの把握に腐心 [2010年1月27日12:22更新]

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(09年12月号掲載)

レグナテック社の自社工場「長引く不況」という言葉が用いられるようになって久しい。建設・土木、飲食店、製造、運輸・・。経済低迷の影響で様々な業界から悲鳴が上がり、企業経営者は規模の大小を問わず、生き残り策を懸命に模索する状況が続いている。 

全国に知られた家具の街、大川市も決して例外ではない。それでも、ある関係者はこう語る。「この業界はかつて、安価な輸入家具の攻勢などで大打撃を受けた経験がある」

大川の家具業界は経済状況の変化やニーズの多様化にどう対応してきたのか。厳しい時代を生き抜くヒントを求め、経営者らに話を聞いた。



多品種製造に活路  

広い工場の中には様々な大きさの木材や板が並び、職人たちが忙しそうに動き回っている(写真上)。「作る品目は現在約360。すべて自社一貫生産です」

家具製造メーカー「レグナテック」(佐賀市諸富町、同社HP)の樺島雄大社長は語る。「お箸1本からテーブルまで、あらゆる要望に応える。多品種“変量”生産がわが社の売りです」 

同社は1964年創業。当時は高度成長期のまっただ中だった。「かつては同じたんすを毎日2~300本作っていた。同じ物が大量に売れる、そんな時代でした」(同社長)。だが次第に消費者の好みが多様化、「このままでは生き残れないと、20年前に180度、方向転換しました」 

商品の付加価値を高めるためにまずデザインに力を入れ、同時に扱う商品の種類を増やしていった。単一製品を作る工場のままでは当然対応できず、時間をかけて整備してきたという。 

数年前にはセミーオーダーシステムを導入、より幅広いニーズに応えることが可能になった。

「毎年必ず新商品を発表したり、対面販売を重視してお客様の要望や好みを把握するよう努めた。おかげさまで今ではわが社のブランドをかなり認知していただけてます」

直売店をオープン  
広松木工の直売ショップ

工場に併設された直売ショップには、個性的なデザインの家具、小物が並ぶ(写真左)。2100円で販売している自社製品のカタログは、さながら家具をテーマにした写真集といった趣だ。 

「私が家業を継いだ約30年前は小さな町工場。業界内の位置付けすら分からなかった」。こう話すのは家具製造販売「広松木工」(大川市鬼古賀、同社HP)の廣松嘉明社長だ。

「地元の展示会に出品してみたが、お客様に立ち止まってもらえない。営業力も訴求力もない現実を思い知らされました」 

まず外部のデザイナーと契約を結んだ。当時はまだ珍しかったが「デザインに特化するしか道はない、と」(同社長)。さらに流通形態にも不満を感じるようになったという。

「以前は問屋を通じて販売するのがほとんど。だが業者とエンドユーザーの求める物にギャップがあった」 

そこで業者向けではなく顧客向けの個展を東京などで独自に開催した。「エンドユーザーの評価や要望を直接感じる事ができるのはためになるし励みにもなる」

7年前に念願の直売ショップ開店にこぎ着け、09年10月には福岡市・今泉に2号店をオープンさせた。

「地方の小規模メーカーが直売店を持つのは普通なら難しい。インターネットの存在はやはり大きく、ネットショップでの販売も伸びています」

(続く)