注目される糸島市長選(2)選挙で問われる「古い政治体質」 [2010年2月3日12:15更新]

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(10年1月号掲載)

糸島市役所前・前原市長の松本嶺男氏は県庁出身。企画振興部長などを歴任し05年、前原市長選に出馬、初当選した。

「この時、出馬を後押ししたのが他ならぬ麻生渡知事です」と前出マスコミ記者。「県は当時、各市町村にさらなる合併を求めていたが、前原市と志摩・二丈両町についてはなかなか話が進まなかった。知事が松本氏を送り込んだのはこの合併をやり遂げるためだった」 

出馬の際には麻生知事自らが地元有力者に応援を頼んだという。

「そんな松本氏の後ろ盾は、同じく企画振興部長を務めた先輩の中島孝之前副知事。県とのパイプが売りだった松本氏には、今回の一件は相当大きな痛手と言っていいでしょう」(同)。

注:中島前副知事は2日、県町村会側に便宜を図りその見返りに現金を受け取ったとして、福岡県警に収賄容疑で逮捕された。



法令軽視変わらず  

松本氏の支持者らも厳しい情勢を自覚しているようで、その「焦り」が一部市民の反発を買っている。 

関係者によると昨年11月19日、前原市幹部(当時)と行政区長会との懇親会が市内の飲食店で開かれ、約50人が出席した。懇親会は「前原市最後だから」ということで会費制で行われたが、その中である区長会関係者が挨拶した際「今回は非常に苦しい。みなさん、ぜひよろしくお願いします」と述べたという。「直接は言っていないが、聞いている者はみな『市長選のことだな』と分かりますよ」(前出関係者)。 

前原市では小学校区ごとに複数の区が設けられ、市民の中から選ばれた区長が住民のまとめ役・世話役を担っている。

本紙は昨年8月号で、ある区長が区長会など公の会合で地元選出国会議員や県議、前原市長の後援会に入るよう住民に働き掛けていた疑いがあることを報じ、非常勤特別公務員に該当する区長のこうした活動は、公職選挙法違反の可能性があると指摘した。 

別の区長会関係者によると、先述の懇親会の前には行政区長会で「市側から区長は選挙活動に関わらないよう注意があった」という。「ところが、懇親会が終わった後の出口では市職員らが大声で『市長をよろしく』といった内容を叫んでいた。こんなことが許されるのか。口では法令遵守と言いながら、行政の体質は何も変わっていない」 

県からの「天下り」首長、区長会制度に丸乗りするという旧態依然とした選挙体制、法令遵守など「どこ吹く風」の行政や一部地元有力者・・。新しいスタートを切った糸島市。今度の選挙の最大の争点は、こうした古い政治体質を今後も容認するのか、あるいは合併を機に刷新を図るのか─ではないだろうか。