大量のマグロどこへ? 架空取引疑惑 「転売されず」地裁認定(1) [2011年3月29日12:29更新]

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(11年3月号掲載)

福岡地方裁判所長浜鮮魚市場(福岡市中央区)を舞台とする冷凍マグロ架空取引疑惑に絡み、破算した仲卸業者が卸売業者「福岡中央魚市場」(同)に支払った代金を返すよう求めた裁判で、福岡地裁(写真)は3月15日、原告の請求を棄却する判決を下した。

同地裁は一連の取引が架空だったのかどうか、疑惑の核心には踏み込んでおらず、納品書など形式的な部分で取引の有無を判断。中央魚市場から仲卸業者へ納入されたマグロはその後、市場外業者へは転売されていないことが認定された。

だがそうなると、大量の冷凍マグロが忽然と消えてしまったことになる。マグロは元々、存在していなかったのではないか-疑惑は一層深まることになった。



冷凍マグロの取引に関わっていたのは福岡中央魚市場のほか、仲卸業者「岩永鮮魚仲卸」(中央区長浜)と「喜平商店」(同)、市場外の鮮魚卸業者「ながよし」(同区舞鶴)など(下図参照)。 

関係者の証言を総合すると、一連の取引が始まったのは06年5月ごろ。喜平商店社員(当時)のX氏らが主導し、同商店が中央魚市場から冷凍マグロを仕入れA社などに販売する形で取引を始めた。そのほとんどが3者の間で同じ商品をぐるぐる循環させる、あるいは帳簿上だけの架空取引だったという。

各社とも数字上は売上・利益ともに上昇を続け、最終的な取引総額は約42億円に上った。 

だが09年3月に取引は破綻、この影響で仲卸業者2社は破算に追い込まれた。また多額の売掛金が生じた中央魚市場では、担当役員らが辞任した。 

X氏は本紙取材に「ほとんどは同じ商品をぐるぐる回すか、帳簿上だけの架空取引だった」と証言。だが中央魚市場は一貫して「取引は実体があった」と主張している。 

マグロの納入なく  

中央魚市場を訴えていたのは岩永鮮魚仲卸。

訴状などによると、中央魚市場は09年2月、岩永鮮魚に冷凍マグロ約9700万円分を納入。岩永は翌月、その代金を支払った。マグロはその直後、岩永からながよしへ転売されたはずだったが実際には納入されておらず、ながよしから代金を受け取ることができなかった。 

そのため岩永は、マグロの扱いを任せていたX氏と中央魚市場が共謀し、きちんと納入したように見せ掛けてマグロをだまし取った詐欺行為だと主張、支払った代金を返すよう求めた。 

一方、中央魚市場は、納品書に岩永の受領印があることなどから、マグロは実際に岩永に受け渡されており、詐欺行為には当たらないなどと反論。さらに、マグロの売掛金約1億3000万円を支払うよう岩永に請求した。 

同地裁の中野智明裁判官は「中央魚市場がX氏と共謀したことを示す証拠はなく、代金返還を求める理由がない」として、岩永の請求を棄却。その上で中央魚市場に対する売掛金を支払うよう岩永に命じた。 

(続く)