移転計画撤回依然厳しく(2)問題点を指摘 調査委の成果 [2011年6月15日12:56更新]

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(11年5月号掲載)

福岡市立こども病院(中央区唐人町)調査委による検証作業は昨年11月の市長選で「市民目線の政治を」と訴え、「こども病院(写真)の人工島移転を決定した過程を再検証する」と公約に掲げて当選した高島市長の、初の大仕事である。 

委員は専門家だけでなく移転反対派住民や一般市民からも選出。会場での様子や配付資料をすべて公開し、議論はインターネットで生中継。視聴者からの投稿もリアルタイムで会場に表示された。

ITツールをフルに活用したこのような会議は、福岡市政始まって以来の試みだった。 



その過程で現地建て替え費用の水増し問題やマル秘文書問題などによって市政の体質・実態が市民の目にさらされ、調査委によって非難された。

高島市長は「今後は透明性を持って議論を進め、説明責任を果たす。問題点をしっかり受け止めたい」と語っている。これだけでも成果はあったと本紙は考える。

議論 遅きに失した  

一方で「整備地をどこにすればいいのか」という問いに答えを出せなかったのも事実。そのため地元紙などは「玉虫色」「市長に判断丸投げ」と批判的だ。 

だがそれぞれ違った立場と意見を持つ識者や当事者を集めて議論を行えば、今回のように意見が平行線をたどり、結論がまとまらない可能性は高い。十分予想できる事態であり、委員を責めるのは酷だ。調査委を立ち上げた際の言葉通り、高島市長に責任を持って決定していただくしかない。 

「このような議論は4年前にやっておかなければならなかった」。15日の議論を傍聴しながらこう語るのは吉田前市長が初当選した際の陣営関係者。

「調査委員会の実施は無意味だとまでは言わないが、遅きに失した。それは委員のせいでも、高島市長のせいでもない」 

06年の選挙で「移転計画を見直す」と訴え当選した吉田氏。だがその後行われた検証作業を経てあらためて人工島移転を決定。その過程に不備があったことが今回、調査委から指摘されることとなった。

「それでもおそらく計画は覆らないだろう。いったん走り出した施策を方向転換するには凄まじいエネルギーがいる。今さら言っても何にもならないが、きちんと検証し変更するチャンスはあの時しかなかった。前市長の罪は重い」(元陣営関係者)。

【編注】本稿は5月16日時点。高島市長は5月24日、新病院は人工島で整備することを正式に発表した