こども病院独法化 福岡市の思惑は(1) 市幹部「経営責任は新病院」 [2009年2月4日08:53更新]

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(09年1月号掲載)

こども病院の経営に関する報告書

先月号で報じた「福岡市立こども病院(中央区)の移転関連費用は原則としてすべて新病院が負担する」との記事に、読者から反響をいただいた。

同病院の移転問題はこれまで人工島の是非ばかりが大きく取り上げられてきた。だがむしろ、移転後の経営維持とその責任の所在という視点から問題を捉えることが重要ではないか。

昨年末には市幹部が「経営責任は独立行政法人(独法)にある」と明言、それまでの説明をひるがえした。人工島に固執し独法化を急ぐ福岡市。その裏には「医療の切り捨て」「行政の責任回避」としか言いようがない思惑が見え隠れする。

移転問題の本質とは何か、あらためて指摘しておきたい。  



 

まず新病院誕生までの流れを、市が発表した「新病院基本構想案」に基づいて確認してみよう。

(1)09年度         PFI事業者を募集・契約

(2)10年度      現在のこども病院を独立行政法人化、基本設計・実施設計

(3)11~12年度   11年4月独法設立、建設工事

(4)13年度      開院 

見てわかる通り、現在の場所にある状態で病院を独法化し、その後人工島へ移転させる。それはなぜか。

現在地での存続を前提に独法化へ  

総務省は04年、各自治体に対し独法の設立について通知を出している。その中で条件として「(独法化した後の)中期的な収支計画において、財源構成について損益が均衡するよう定めること」(太字本紙)を挙げている。 

市は独法化後のこども病院の経営について「経常収支の黒字化は達成可能」と試算している(市立病院の経営形態のあり方に関する報告書、08年5月、写真)。だがこれはあくまで現在の場所で存続する条件で試算しており、人工島での経営を想定したものではない。

土地代や建設費用など移転にかかる費用は原則としてすべて独法が負担することは前号で述べた。その額は少なくとも約140億円、中期的に収支を黒字化することはとうてい無理だ。そうなると人工島に移転した後では独法化できない。 

だから移転の前、現在地での存続を前提として試算を出し、条件をクリアさせるというのが市の狙いだろう。このような、限りなく詐欺に近い手法を用いてまでも独法化する必要があった─と考えざるをえない。 

「新病院で責任を」 市幹部が明言  

独法化のメリットとして市は「職員を増やすなど、公立の施設では現在難しいことができるようになる」としている。だが狙いは本当にそれだけだろうか。

(続く)