「架空取引だった」関係者が市に証言(2)事態を黙殺する関係者 [2009年8月7日10:24更新]

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(09年7月号掲載)

鮮魚市場(福岡市長浜)の正門市はさらに市場外業者であるA、B社と接触し事情を聴いた。A社関係者は「ちゃんとした取引を行っていた」。またB社は「X氏の指示に従っただけで実態は知らなかった」と話しているという。 

市は本紙の取材に対し、再調査の結果得られたこれらの証言を踏まえながらも「各人の言い分が異なっており、架空取引があったという証明にはならない」

さらに「中央魚市場などの伝票や冷蔵庫の記録から、マグロが実際に出し入れされていたことは事実。おかしな点があることは確かだが市としては、従来通り適正な取引だったという基本認識は変わらない」



「もし適正だったというのであれば、これだけのマグロは一体どこで消費されたのか。海外に輸出したというなら伝票などで確認できたのか」

本紙がこう問うと、市側は「・・・」

不可解な市の姿勢  

市場の開設者であり監督・指導する立場にある福岡市だが、その権限は市場内の業者に限られる。そのため事態の解明が難しいことは本紙も十分理解しているし、これまで報じてきた。 

だが権限外の業者らから話を聞くことができた上、取引の中心人物から架空取引だったとの証言も得ているのに、それでも適正だったとする姿勢には首を傾げざるをえない。 

取引が破綻した結果、仲卸業者2社は、B社に対する億単位の売掛金が回収できなくなった。市場有数の老舗業者であった喜平商店は自己破産に追い込まれ、岩永鮮魚仲卸はこれまでの取引先を失い厳しい経営状態となっているという。「被害者か加害者かということには関係なく、不正取引に関わったというだけで避けられる。大手の取引先というのはそういうもの」(市場関係者)。 

福岡市はこのような事態を招いていることを把握していながら、おざなりな調査でお茶を濁そうとしていると言うほかなく、まったく不可解である。

事態を黙殺し続ける関係者ら  

市は昨秋の時点で取引について調査を実施し、中央魚市場の仕入先と、仲卸業者の販売先が同じA、B社であることを突き止めている。

つまり、商品を3者の間で循環させる不正な取引である可能性を、この段階で認識できたはずである。事実をきちんと調べ適正な指導を行っていれば、今回のような事態を招くことはなかったかもしれない。 

かつて適切な対応を取らなかった責任を追及されたくないから、現在も事態の解明に消極的―こう指摘されても仕方なかろう。

いや、これまでの経緯を見る限りそもそも、市場を管理・指導する立場にあると言いながら、実際は昨秋の調査も含め「臭い物にはフタ」というのが福岡市の“基本姿勢”なのではないか。 

 

市は今回の件に関して個別の取材には応じているものの、今のところ記者会見などは行っておらず、マスコミ各社も一切報じていない。 

多くの関係者がこれほどの事態を黙殺し「なかったこと」にしようとしている現実。取材者として率直に怒りを覚える。