【J氏の独り言 特別編】小説・火ノ国銀行がおもしろい(1) [2010年6月9日10:17更新]

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(10年5月号掲載)

小説・火ノ国銀行(中村仁著、如月出版)ゴールデンウィークの直前、筆者の手元に小包が送られてきた。差出人の名前に心当たりはない。開けてみると中から「小説・火ノ国銀行」(中村仁著、如月出版、写真)と題する1冊の本が出てきた。  

「火の国」が阿蘇山で知られる熊本県を示す言葉であることは、読者のみなさんもご承知の通りである。だから熊本の銀行を舞台とした小説であろうと見当を付け、早速読み始めた。



 

主人公は40年もの間、火ノ国銀行と取り引きしてきたある工務店の経営者。長引く不況で負債が増大し業績が悪化。一方、娘婿を頭取に据えようと目論むなど銀行でやりたい放題の常任顧問が、工務店の乗っ取りを画策し融資を停止する。自らの意志を貫く経営者はついに反撃に出る・・。後は読んでのお楽しみである。 

あくまでフィクションとの但し書きがあるのだが、現地の事情に多少は通じていたおかげで、火ノ国銀行は熊本市の「肥後銀行」、工務店も実在する会社がモデルであることに気付くまでさほど時間はかからなかった。登場する企業や人物に実名を当てはめて読むと、実におもしろい。 

インターネットで読者のコメントを見てみると「万が一、この話が現実にあったことなら、この火ノ国銀行の行為は犯罪に近いのではないか」「熊本の人が読めばわかる有名地銀の内部暴露本」。小説に描かれた内容のどこまでが事実なのか興味がわき、現地を訪ね取材してみた。 

 

これまで筆者は肥後銀行について、関係資料などから判断しても非常に素晴らしい地銀だと考えていた。金融再編の際には同行が核となるのでは─とチャート図を作成したこともある。 

ところが現在の肥後銀行は元頭取が院政を敷き、娘婿である現頭取は単なる傀儡に過ぎないというのが周囲の一致した見方だ。「優秀な人材は排斥され、残った役員はイエスマンの集団と化しているのが実情」と、関係者の1人は語る。

熊本の情報通に面会し小説の内容について真偽を問うと「少なくとも90%は真実」との回答。さらに、分厚い極秘資料のコピーも入手できた。

(続く)