(10年6月号掲載) 疑惑について裁判所の判断が下されたのは初めて。これを受け喜平商店側は、同魚市場に対し不当利得の返還を請求、「岩永鮮魚仲卸」(同)側も近く同様の訴訟を起こす。 これまで「取引は適正だった」として本紙報道を黙殺してきた同魚市場、そして福岡市。今回の地裁決定で、両者に対する市場関係者らの批判が強まるのは必至だ。 冷凍マグロの取引に関わったのは前記3社のほか、市場外の鮮魚卸業者であるA社(中央区港)、同「ながよし」(同区舞鶴)など(図参照)。 関係者の証言を総合すると、一連の架空取引が始まったのは07年5月ごろ。喜平商店社員(当時)のX氏らが主導し、喜平商店が中央魚市場から冷凍マグロを仕入れ、それをA社などに販売する形で取引を始めた。 しかし実際にはそのほとんどが、中央魚市場・仲卸業者・鮮魚卸業者の間で同じ商品をぐるぐる循環させる、あるいは商品がないのに帳簿上、取引があったように見せかけただけの架空取引だったという。 たとえ商品売買の実体はなくても、マグロを仕入れて他社へ卸す過程で各社が数%の手数料を取るため、帳簿上は取扱量・売上・利益ともに急増。市場関係者から「福岡でこんなにマグロの取扱量が増えるのはおかしい」との声が上がるほどだった。 09年3月、ながよしから仲卸2社への支払いがストップし取引は破綻、X氏らが「架空取引だった」と関係者に明らかにした。それまでの取引総額は約42億円に上り、合計10億数千万円の未収金が発生した。 喜平商店は中央魚市場に対して代金約1億1000万円が支払えなくなった。この影響で同商店は同年5月、福岡地裁に自己破産を申請し、手続きが開始された。 同魚市場は未払い金を破産債権(破産管財人が回収した現金によって債権者に配当を行う時の対象となる債権)として届け出たが破産管財人はこれを認めず、魚市場側は同年10月、破産債権を査定するよう同地裁に申し立てた。 喜平商店の破産管財人は (1)取引開始当初、X氏は別の鮮魚卸業者を介在させ、一部で架空取引を行っていた。これをX氏が中止した後、中央魚市場幹部と担当者の2人が07年11月ごろ、「もう一度やってほしい」とX氏に持ち掛け、ながよしなどとの取引があらためて始まった。以降の取引はすべて架空取引だった (2)マグロ取引量の急増を不審がる関係者の声を受け福岡市は08年10月ごろ調査を実施、中央魚市場に適正な取引を行うよう指導した。だが同魚市場幹部は「この取引を絶対に終わらせたくない」として別の市場外業者を介在させるようX氏らに指示。実質的にそれまでと変わらない取引を続けた (3)X氏が同魚市場の担当者に「口止め料やけんね」と言って4輪バギーを贈った ─などの理由から「中央魚市場の2人は不正取引であることを熟知していた上、率先して参加した。債権は不正な取引によって生じたもので無効だ」と主張した。 一方、中央魚市場は「取引の実体はあった。適正な取引だった」「X氏の証言は自らの責任を転嫁するための虚偽だ。幹部や担当者が積極的に関与した事実はない」などと反論していた。 (続く)
長浜鮮魚市場の冷凍マグロ架空取引疑惑に絡み、仲卸業者「喜平商店」(中央区長浜)の破産手続きに関連して、福岡地裁はこのほど、一連の取引を「実体のない架空取引だった」と認定。同商店に対する「福岡中央魚市場」(同、橋本清実社長)の債権は「存在せず無効」と決定していたことが分かった。
マグロ取引疑惑 福岡地裁が初判断(1)取引は架空 債権めぐり認定 [2010年7月26日11:46更新]
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取引の影響で破産
「もう一度やってほしい」 と依頼

