(10年6月号掲載) 一連の取引について司法による判断が出たのは初めて。 これを不服とする中央魚市場側は同2月、査定の決定を取り消すことなどを求めて破産管財人を提訴。 一方、管財人側は同4月、「中央魚市場幹部、担当者らが架空取引と知りながら続けていたのは明白で、これによって得た利益は不当利得に当たる」として、喜平商店が09年4月、同魚市場に支払った1億5000万円の一部、200万円を返すよう反訴(訴えられた被告が逆に原告を訴えること)した。 管財人側は「破産手続きや訴訟はまだ継続中で、今回の裁判所の判断が確定したわけではないが、司法の場で架空取引だったと認定されたことの意義は大きい」と話している。 喜平商店と同じく自己破産し、現在休業中の岩永鮮魚仲卸。代理人によると、X氏の紹介で同社が取引に加わったのは08年4月。破綻するまでの1年間で約9億8000万円の売上があったが、最終的には約1億5000万円の損失が生じたという。 代理人は「X氏の証言などから中央魚市場の幹部や担当者が架空取引だと知っていたことは明白で、裁判所もそれを認める決定を出した。不正な取引と知りながら利益を得ていたわけで、これは不当利得に当たる」として、同魚市場に対して岩永仲卸が支払った計約11億2000万円のうち一部を返還するよう求める不当利得返還訴訟を起こす。請求金額は現在検討中という。 岩永仲卸側は昨年、ながよしに対し未払い金の一部を支払うよう求め提訴。裁判を通じて取引の実態を把握した上で、あらためて中央魚市場を相手取り訴訟を起こす準備を進めていた。 本紙報道(09年5月号)によって表面化した今回の架空取引疑惑。X氏ら複数の関係者が「マグロの売買はほとんどが架空取引だった」などと詳細に証言しているにもかかわらず、中央魚市場は一貫して「取引は適正だった」と主張してきた。 また長浜鮮魚市場の開設者であり場内の業者を監督・指導する立場にある福岡市は、本紙報道を受け関係者から事情聴取。だがX氏らの証言を得ながらも事実上「黙殺」。仲卸業者が破産し多額の未収金が発生するという異常事態にも、市場外の業者には権限が及ばないことを理由に「市場内の業者については取引は適正、適法だった」と強弁し続けた。 それだけに今回の地裁決定は極めて重い。 このところ産地直送をうたった鮮魚直売所が各地で開設され消費者の人気を呼んでいる。市場を通さないため仲介手数料が掛からず、安く提供できるのが売りだ。 こうした流通形態の変化は仲卸業者をはじめ市場関係者にとっては死活問題だが、市当局や卸売業者の危機感は薄く、関係者に不満が募っているのが現状。このままではいずれ、市場や卸売りといった流通システムは時代遅れの無用の長物になってしまうのではないか、とさえ思えてくる。 そんな状況の中、取引に対して司法の「クロ判定」が下されたことで、疑惑の黙殺、責任逃れしか考えて来なかった福岡市、中央魚市場への批判がさらに強まるのは間違いないだろう。
今年1月20日、福岡地裁は「取引は実体のない架空取引であり、破産債権は存在しない」「中央魚市場側は積極的に関与した」などとして債権を0円と決定。管財人の主張をほぼ全面的に認めた形となった。
マグロ取引疑惑 福岡地裁が初判断(2)中央魚市場は積極的に関与 [2010年7月28日12:09更新]
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明らかな不当利得
市場、卸売業者は無用の長物か?

