岐路に立つ福岡中央魚市場(2)無責任・隠蔽体質こそ改善すべき [2010年8月11日14:10更新]

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(10年7月号掲載)

福岡中央魚市場などが入る市場会館(福岡市長浜)市場における卸売業は農林水産省の許認可が必要な事業。そのため経営状態などについて農水省の検査を受けている。

福岡中央魚市場は04年3月期に赤字を計上したことなどから05年2月期、同省から業務改善命令を受け改善計画を提出、それが達成されているかどうかを定期的にチェックされているという。 

労せずして売上・利益を上げられたのも今や過去の話。今後はあらためて経営努力を続けていかなければならないが「現状では改善は難しいのでは」(九州農政局食品課)。 



ちなみに、架空取引に関わったある関係者は「中央魚市場が今回の取引を続けた背景にはこの改善命令がある」と指摘する。

「帳簿上でやり取りするだけで簡単に売上や利益が伸びる。役所のチェックをクリアするためにも一度やったら止められない」

07年11月ごろにいったん止めた時も取締役ら2人がX氏に『またやってほしい』と持ち掛けたとされる。事情が事情だけに無理からぬところ─ということなのか。

相当額を仲卸業者側に返還しなければならない事態も   

さて、そんな厳しい状況に追い討ちをかけそうなのが、仲卸業者との問題だ。   

架空取引がストップした影響で破産した仲卸業者2社。中央魚市場への未払い金計約2億4000万円が発生したが、これを回収することはほぼ絶望的な情勢となっている。 

破産した喜平商店に対し、中央魚市場は未払い金を破産債権として届け出たが破産管財人はこれを認めず、魚市場側は破産債権を査定するよう福岡地裁に申し立てた。

だが同地裁は今年1月、「取引は実体のない架空取引だった」「中央魚市場側は積極的に関与した」などとして債権を0円と決定。つまり、1億円を超える未払い金は存在しないものと見なされ、よって回収もできないことになったのである(6月号既報)。 

これを受けた喜平商店側は「架空取引によって魚市場が得た利益は不当利得に当たる」として返還請求を起こし、岩永鮮魚仲卸も同様に内金1億円の返還を求める訴訟を近く起こす。

原告の主張が認められれば、場合によっては同魚市場は億単位の金を仲卸業者に支払わなければならないことになり、魚市場側にとっては債権回収が出来ない上に新たな支出が生じるという「ダブルパンチ」となる可能性もあるのだ。 

 

ぎりぎりのところまで追い詰められた感のある福岡中央魚市場。ある市場関係者は「前社長と取締役の2人はひどかった。彼らが辞めたことは市場にとっても良かった。中堅社員は頑張っており、何とか立ち直ってほしい」と話すが・・。 

危機的状況を打開するにはまず架空取引だった事実を認め、責任の所在を明確にするのが先ではないか。「適正だった」と言いながら理由も明らかにしないまま担当者らが辞任してお茶をにごす姿勢、無責任な体質こそが現在の事態を招いたと考えるのだが。