カテゴリーアーカイブ: J氏の独り言

サプライズはあるか・総裁選

予定通りなら あと1ヵ月後に迫った自民党総裁選、これまでに 安倍前総理、二階幹事長、 小泉進次郎氏、そして石破茂氏までが 総裁選での菅総理支持を表明している。
だが、コロナ感染者が増加の一途を辿り、自宅待機者の死亡者が増えるようなことになれば、さらに逆風が吹き 総選挙で大敗するかもしれない。
選挙が厳しい現職議員の本音は、新しい総裁に代わってほしいというところだろう。

総裁選に名乗りを挙げた政治家は数名、インパクトに欠ける感があるが、風を吹かせるという点では 高市早苗氏か。
経験も豊富、総務大臣の時は テキパキとリーダーシップを発揮していた印象があり、少なくとも 菅総理より 国会答弁やマスコミ対応は上手く、決断力もありそうだ。
大学時代はヘビメタバンドのドラマー、スキューバダイビングやバイクが趣味というのも興味をそそる。

新総裁になれば、自民党の顔となって 総選挙で勝利し初の女性総理誕生、コロナ禍の中で明るい話題にもなるのではなかろうか。

自民党は 天敵だった社会党の党首を総理に祭り上げるようなサプライズを使った過去もある。
これからの3週間で何が起こるか分からない。

NEXCOと大島産業(39)■ 施工能力不足を露呈

低入札価格調査をパスした大島産業、2018年8月28日に契約したまでは良かったが、下請業者が決まらない等の理由で3ヶ月間も着工が遅れ、12月になって ようやく施工体系図及び施工体制台帳を中日本に提出した。
しかし、届け出た1次下請業者「㈱ダイコウ」とは異なる別の下請業者A社と、前述の塚本不動産のグループ会社「塚本總業㈱」との材工一体の契約を締結させており、虚偽の申告をしている(下図)。

契約締結後3ヶ月近くも着工しないというのは聞いたことがない。
通常は業者が作成するべき 施工計画書や交通規制の書類を、なぜか発注者の中日本が手伝いようやく工事開始にこぎつけたという話が、当時の業者の間で話題になっていたという。

2019年1月、工事は始まったが、その後も中日本の事務所からの再三の指導にもかかわらず、書類の未提出、立会検査の未実施、工程の遅延、工事の進捗改善が図れず、現場管理の杜撰さが改善されなかった。
そのため、中日本の事務所は危機感を覚え 同年2月に大島本社に会社としての改善措置要求を出し、工程挽回を要望した。

しかし、大島の現場を任されていた現場代理人K氏が、しっかりとした修正工程や是正計画を十分書けなかったため、結局は中日本の事務所が書類作成を手伝い提出したという。
本来であれば、この時点で契約解除でもよかったが、中日本も国交省が決めた工期に追われていたことから そうした判断には至らなかった様だ。
さすがに大島は、工期の大幅な遅れの責任者としてのK氏を交代させることを申し出ている。

その頃から大島は、下請業者に対する支払いの手続き等も上手くいってなかった様で、トラブルが起こり始めていた。
そもそも 支払いトラブルの原因は低入札の契約による手持ち資金の薄さにあったが、偶然にも現場近くで 別の標識工事(約4億円)の話が舞い込んできた。

運よく6月3日付で 随意契約を結んだところまではよかったが、問題が起こる。
同工事の現場代理人に指名したF氏が、工事の着手進捗を求める中日本と、叱責する大島本社幹部との間で板挟みとなり、間もなく連絡がつかなくなり 辞めてしまったのだ。

大島は後任を探さなければいけなかったが、社内に現場代理人の資格者は余っていない。
その後 起こったのが、大島による 国会議員を使ったパワハラ騒動である。

ー 続 く ー

衆院選、鍵握る浮動票

22日に投開票された横浜市長選挙の投票結果であるが、立憲民主党が推薦し共産・社民が支援し当選を果たした山中竹春氏が 50.6万票、保守分裂で敗れた小此木八郎氏(公明支援)と林文子氏を合わせると 52.3万票と拮抗しており、野党共闘が自公を圧倒したとも言い切れない。

注目すべきはやはり浮動票の多さだ。
元自民衆院議員で希望の党結党メンバーだった福田峰之氏、元神奈川県知事で民主→希望→維新と移ってきた松沢成文氏、元長野県知事で新党日本所属だった田中康夫氏の3名は今回政党色は無かったが、いわゆる「非自民」で 合わせて 41.9万票だった。

そういった中での 小選挙区の闘い、「自公政権 vs 野党共闘」の一騎打ちの構図となっている選挙区が多いが、行き場のない浮動票をいかに取り込むかにかかっている。

NEXCOと大島産業(38) ■ 第三者委員会の最終報告書

7月27日、中央道を跨ぐ橋梁の耐震補強工事施工不良に関する調査委員会の最終報告書が公表されたが、参考資料も含めると200ページを超え 読み込むのに時間を要した。

報告書は冒頭で「調査の限界」と題し、同委員会の調査で「収集した資料等のほかに、本件事案の事実関係を認定するうえで重要となり得る資料等が存在する可能性があること」「ヒアリングで得られた情報の中に事実と異なる情報が含まれている可能性も否定できない」ことを指摘、「後日そのような事実が判明した場合は、事実認定および検証結果が変更される可能性がある」と断りを入れている。

このことはつまり、今回の調査で 背任とも取れる事案が見られたことから、今後 現在行われている裁判や 警察の捜査で真相が明らかになる可能性を考慮したものと思われる。

報告書等では、
1.施工不良が起こった原因
2.国会議員や幹部の発言の影響
3.内規に反した工事金額の増額
等が明らかにされた。

施工能力が不足していた大島が契約解除もされず工事を続け、最終的に6億円の当初契約が なぜ13億円に増額変更されたのか、報告書と取材内容を織り交ぜながら 紐解いていきたい。

今回施工不良が明らかになった耐震補強工事は、大島が2018年7月の入札に参加し、低入札の重点調査基準を下回る 6億0242万4000 円(税込)(落札率 73.8%)で落札したため、中日本は低入札価格調査を行っている。

一般的な 通りいっぺんの調査では、巧妙に脚色された提出書類から、その後起こる施工不良や不払い問題、施工体制違反等の建築業法違反を予見出来なかったようだ。
大島は調査をパスし、契約するに至ったが、調査で届け出た一次下請3業者「B社(大阪市)」、「M社(宮若市)」、「塚本不動産㈱(東京都中央区)」とは 契約を結ばず、当初から不可解な動きを取っている。
協力した下請3社も 大島とは相当な結びつきがあると思われる。

ー 続 く ー

騒々しくなってきた自民党

衆院選挙を控え国会議員が注目している横浜市長選挙、1週間前に行われた世論調査では、立憲民主党が推薦する山中竹春氏が一歩リード、保守分裂の影響で 前国家公安委員長の小此木八郎氏が追いかける展開、現職の林文子氏は大きく差をつけられているという。
山中氏と小比木氏の差は 10ポイントあり、投票日までの残り1週間で逆転するのは、保守系候補のいずれかが辞退し一本化するなど、余程 何かが起こらない限り難しいだろう。

菅総理の地元の選挙だけに小比木氏が敗れるようなことになると、総選挙を控えている自民党の先生方から「菅総理では戦えない」との声が湧き上がると思われる。
70歳を超えた自民党の重鎮が相次いで引退を表明する中、菅総理をいち早く支持し「黙食」を楽しむ二階幹事長(82)に対する若手議員の視線も冷たくなっている。

自民党関係者やマスコミの間に、党本部の現職公認方針に 異を唱える怪文書等が届いており、コロナ感染者の急拡大を引き金に党内が騒々しくなって来た。

ジェイコスメに利用された千葉真一さん

俳優の千葉真一さんが19日、肺炎で亡くなった。
千葉さんと言えば大胆なアクション、キイハンターをはじめ 数々の映画・ドラマに興奮した方も多いだろう。
世界的アクションスター、その知名度に目をつけたのがジェイコスメ菅原社長である。

ジェイコスメのパーティには、原田義昭代議士と共に 千葉さんも必ず出席していた。
菅原社長に紹介され 壇上に上がり、自身の名前を冠したグループ会社のサプリ、「皇帝水素 水素 サプリ ジェイシックス 40cap×5箱 水素 千葉真一」という商品の宣伝をしていたという。

千葉さんの顔が印刷されたサプリの箱(下写真)、まさにジェイコスメの広告塔として利用されたのだが、ご自身も同社の商品に投資して 2019年に現金の支払いが滞り破綻した後はたいへんお怒りになっていたという話を聞いた。

取材の中で 最近 頻繁に千葉さんの名前を伺っていた矢先の訃報、心からご冥福をお祈り致します。



 

ラガーマン 坪田晋氏に期待・福岡1区

明日告示される衆院選、福岡1区の坪田晋氏にエールを送りたい。

坪田氏は 1983年生まれの37歳、筑紫丘高校を卒業後、大学ラグビーの名門 早稲田大学に進学、5軍からスタートし 怪我と戦いながら4年にはレギュラー入りを果たし、国立競技場の舞台にも立った。

大学卒業後は、地元NPO「福岡すまいの会」で発達障がいを抱えた人々の就労支援やホームレスの人の自立支援に取り組む。
2014年に社会保険労務士の資格を取得、独立して企業の労務顧問、障害年金手続き代行、メンタルヘルス研修などを行ってきた。

また、重度障がい者の車いすラグビーチーム、「福岡ダンデライオン」を立ち上げ監督に就任、苦難を乗り越え、現在チームは日本選手権4位と飛躍するまでに成長した。

実際に話を聞く機会があったが、話し方も堂々として オーラが感じられた。
体力と精神力はお墨付きだ。
口八丁手八丁や苦労知らずの政治家が多い中、弱者の目線を大切にし 共に行動してきた 彼のような人物こそ、人の上に立ってもらいたい。

坪田晋氏のホームページは  こちら


早稲田大学ラグビー部


車いすラグビーチーム「福岡ダンデライオン」

 

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ⑧ ■ 自身の言葉で被害者に説明を

原田氏は、結果としてジェイコスメの広告塔として いいように利用されたが、それは無償というわけではない。

平成28年(2016年)9月、衆議院消費者問題に関する特別委員会の委員長に就任、ジェイコスメの顧問弁護士を務め 月々50万円の顧問料を得ていたという。
同29年(2017年)には 同委員長と顧問弁護士の 肩書で ジェイコスメのパーティやコンベンションに来賓として挨拶、乾杯の音頭を取ったり、経営者向け雑誌で菅原氏と対談記事が掲載されるなどして、ジェイコスメの信用度アップに貢献した。

同年の解散総選挙に合わせて ジェイコスメ菅原氏から400万円の寄附を受けている。
その後、同30年(2018年)9月に環境大臣に就任後も 同社のパーティやコンベンションに来賓として毎回出席を続け、令和元年(2019年)6月のパーティに出席したことが確認されている。

その僅か3カ月後の9月には、 ジェイコスメから会員への支払いが完全にストップ、経営破たんが表面化している。

一連の流れを見ると、法的な責任はともかくも、政治家として道義的責任は免れようもない。
詐欺まがいのマルチ商法の弁護士としての顧問料や政治献金を得て、結果的に被害者を増やすことに加担してしまったことは事実である。

原田氏におかれては、被害者に対し 自身の言葉で事の経緯とその責任について説明し、謝罪する必要があるだろう。
国民を守る政治家として、原田氏がどのような対応をするか注視していきたい。

ー 了 ー



 

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ⑦ ■ 選挙時に400万円の寄附

前述のように、平成29年(2017年)当時、原田氏は マルチ被害を所管する 衆議院消費者問題に関する特別委員会の委員長を務めていたが、9月28日に衆議院が解散され 10月10日公示で総選挙に突入した。

驚くべきは、平成29年(2017年)分の政治資金収支報告である。
10月11日付で ジェイコスメ・ジャパンから 400万円を 自民党福岡5区の支部で寄附を受けていた。

400万円、寄附として 決して小さい金額ではない。
被害に苦しんでいる多くの会員から集めた金が原資、前述の週刊誌は「詐欺の上前を撥ねた格好の原田前環境大臣」と表現している。

今回 損害賠償を求める裁判を起こしている原告の男性は
「2017年9月、品川であったコンベンションで 原田氏が挨拶をしたのを覚えています。消費者問題の委員長ということで、自民党のお墨付きみたいな印象を受けました。」と語った。

また、地元福岡に住む原告の女性は 「令和元年(2019年)6月に 品川のパーティに行った時、原田環境大臣が挨拶で『ジェイコスメはいい会社です。宜しくお願いします。』と言った。それで信用した。直接会って金返せと言いたい。」と述べた。

ー 続 く ー

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ⑥ ■ ジェイコスメの顧問弁護士

「消費者問題に関する特別委員会」の原田義昭委員長のジェイコスメ応援はまだ続く。

雑誌「財界にっぽん」の平成29年(2017年)6月号に、菅原淳司氏との対談記事が掲載される。
原田氏は 台湾の李登輝氏の「我是不是我的我(私は私のためにあるのではない。公のために働くように生まれてきた)」という言葉を紹介し、「私も公徳心を大切にしていきたい」と述べ、菅原氏も「ビジネスにおいても、社長は会社のためじゃなくて『公』、つまりお客様をどう満足させるかを考えてビジネスをするということに尽きと思う」と応じている。

お金を払って政治家との対談記事を掲載することで、信頼の度合いを高める思惑があったことは明らかだ。



そして極めつけは、あろうことか 原田氏が ジェイコスメの顧問弁護士を務めていたというのである。
このことは昨年2月、週刊誌が特集記事で、「ジェイコスメから月々50万円の顧問料が支払われている」と報じていた。
平成29年(2017年)9月24日に品川で開催された コンベンションでは、ジェイコスメの今後の事業計画のプレゼンが行われているが、その中で 原田氏は顧問弁護士、衆議院消費者問題に関する特別委員長として紹介されている。

原田氏が、同30年12月1日まで顧問弁護士を務めていたことが ある裁判の中で確認されており、マルチ商法被害を所管する特別委員会の委員長が、マルチ被害を広げた会社の顧問弁護士とあっては 世も末である。

ー 続 く ー


ジェイコスメのコンベンションで示された資料

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ⑤ ■ 消費者問題に関する委員長

さて、本題の原田義昭代議士とジェイコスメの密接な関係についてである。

原田氏と菅原氏の関係がいつからかははっきりしないが、平成29年(2017年)1月16日の 原田氏のブログには、菅原淳司氏のことを「友人」と紹介していることから、少なくともその前の年、平成28年(2016年)には 知り合ったものと思われる。

大阪で開催されたその日のパーティに出席するため、雪が降る中 福岡から新幹線「のぞみ」で往復したと書かれており、親密ぶりが窺える。

被害者の一人は、「ジェイコスメと言えば原田代議士、毎回参加していた。環境大臣の時は、福島の原発の視察に行った後 作業服で会場に駆けつけた。パフォーマンスもいいところ、福島の人に失礼ですよ。その後 キムタクのお母さんらと一緒にダンスを踊っていました。」と話す。


原田氏のブログ

実は、原田氏は 平成28年(2016年) 9月26日に 、マルチ商法被害など消費者問題を所管する 衆議院「消費者問題に関する特別委員​会」の 委員長に就任、衆議院が解散する 同29年(2017年)9月28日まで約1年間務めている。
その頃は ジェイコスメの売上が拡大し、被害者予備軍が急増している時期、菅原氏が消費者問題を所管する委員長に 便宜を図ってもらうために近づいていったということは容易に想像できる。

詐欺師が政治家を利用しようと近づくのは世の常、政治家の方がしっかりと見極めをしていかなければならない。
消費者の利益を擁護するはずの特別委員会、その委員長であれば 尚の事、相手がどのような商売をやっているかどうか、事前に調査した上で パーティに出席するべきだったと思われる。

ー 続 く ー

衆議院ホームページ 会議録より

 

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ④ ■ ジェイコスメを訴えた裁判

現在 全国でジェイコスメ(菅原淳司氏)を相手取って30件を超える裁判が行われているという。
そのうち4件の裁判の詳細が判った。

1つは令和2年(2020年)6月、個人が1億0130万円の貸金の返還を求めたものだ。
年40%の運用益があるという虚偽の説明によりジェイコスメの商品代金として同額を支払うも、運用益及び元金も返還されなかったことから、菅原氏と令和2年2月末までに支払う金銭貸借契約を締結したが、期限までに返済されなかった。

あとの3件は 集団訴訟で いずれも同月に提訴されている。
訴額(原告人数)はそれぞれ、約1億5000万円(22名)、3600万円(3名)、2000万円(12名)で、いずれも元金の返還を求めたものである。

原告の弁護士はそれぞれ異なるが、被告 ジェイコスメ側の弁護士は 同一の弁護士が担当している。
被告側の 主張は次の通りだ。

・当初は 1ポイント=1円 としていたが、その額は 経済の状況などで変動することがあると 契約書に書かれている。
・今回、経済の状況、ポイントを巡る規制の強化、会社の債務の増加、他社への会員移動に伴う会員数の減少による経営状況の悪化により、1ポイント=0円とし、返戻制度(ポイントの現金化)を停止した。
・返戻制度、会員サービスとして ポイントを買い取っていたが、サービスなので中止しても問題はない。

確かに、出資法違反に抵触しないように契約書類等には 「現金化」ができることは一切書かれていないが、 勧誘の際に口頭で説明され 公然の秘密だった。
菅原氏はマルチ商法の会社を渡り歩いて 経験を重ねただけあって、訴訟リスクを避けるための法的知識を身につけていた様だ。

各裁判でジェイコスメが和解案を提示しているが、とても妥協できる条件ではない。
判決が出るまでまだ時間がかかりそうだが、各裁判所がどのような判決を下すか注視していきたい。

ー 続 く ー


平成31年(2019年)1月13日、ジェイコスメの新年会に環境大臣として来賓挨拶

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ③ ■ 1人 最高2億円の被害

10万8000円で商品を購入して 1年後に金利が約23%付いて現金が戻ってくる仕組みは、冷静に考えれば おかしいと思いそうだ。
しかし、いざ自分が当事者で、周りの友人知人が実際に利益を得ているのを見て、しかも現職大臣が太鼓判を押し、熱気の中で言葉巧みに勧誘されたと想像すると、入会していたかもしれない。

ジェイコスメが右肩上がりで会員数を増やしていた平成29年(2017年)頃までは、会員が美味しい思いをしていたのも事実だ。
当初は半信半疑で始めるも 実際に利益が出たことで、次回は 家中の現金を集め、家族も説得して、数倍の額の商品を購入した会員が多い。

しかし、平成30年(2018年) を境に ジェイコスメの資金繰りが悪化し始め、翌令和元年(2019年)には返戻金の支払いが滞り始め、9月になると完全にストップしたという。

詐欺に詳しい専門家は、ジェイコスメの返戻金のカラクリは、「高配当」を謳い文句にお金を集める「ポンジスキーム」と呼ばれる手法と指摘する。
返戻金の原資は運用益ではなく、会員が再び商品を購入する代金によるもので まさに​自転車操業、会員が急増している間は支払いができるが、いずれ行き詰ることは明らかだ。

被害額は人によって様々だが、取材した中で多かったのが 50万~ 2000万円、最も多い方で 約2億円というご婦人がおられた。

現在も ジェイコスメからの支払いは完全にストップしたままだ。
しかし、会社は閉鎖しておらず FAXのみで顧客対応を続けているように装っている。

そして昨年から、損害賠償を求める集団訴訟が全国各地で起こされていることが判った。

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原田義昭代議士の事務所で語り合う 菅原代表と原田氏

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ② ■ ジェイコスメ・ジャパンとは

ジェイコスメ代表の菅原淳司氏は、昭和42年生まれ、北海道 旭川東高校から早稲田大学法学部に進学、ノエビア化粧品会社で基礎を学び、マルチ商法の外資系化粧品会社でノウハウを習得、平成23年に化粧品販売を目的にジェイ・シックスの屋号で創業、同25年から香港・タイ・台湾・シンガポールに現地法人を設立した。
今回問題になっている 「ジェイコスメ・ジャパン」はグループ会社として同26年2月に設立している。

菅原氏は、新製品の発表、事業計画の発表、成績優秀者の表彰等を行うワールドコンベンションや、パーティ、懇親会、国内外の旅行など お金に糸目を付けない豪華な催しで富裕層の心を掴むのに成功してきた。
1年に1回 東京品川のホテルで開催されるコンベンションには、辺見マリ、山本リンダ、酒井法子、千葉真一、錦野旦などが出演し 場を盛り上げたという。

平成28年には、東京のホテルにおいて、フランス大使館後援で フランス人デザイナー、エイメリック フランソワのファッションショーを開催、同29年には 韓国で ミス・コリア本選のメインスポンサー、同年 空手の最大派閥である 新極真会の全国大会のメインスポンサーを務めている。

そして、同年(2017年)6月4日に品川で開催されたコンベンションに登場し、来賓挨拶をしたのが 福岡5区選出の原田義昭代議士だった。

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来賓挨拶をする原田義昭代議士

原田義昭代議士とマルチの密接な関係 ① ■ 年利23%の現金還元

小泉純一郎元総理が、融資詐欺で代表らが逮捕された㈱テクノシステムの広告塔だったとの報道があったが、詐欺師が政治家や芸能人に近づき利用する例は枚挙に暇がない。
知らずに協力してしまい、被害が大きくなってから気がついて 後悔しても後の祭り。
芸能人はギャラが出て呼ばれるのだから仕方がないとしても、政治家の場合は余程慎重に行動しないと、道義的責任を問われることになる。

福岡5区の自民党現職で 前環境大臣の原田義昭氏(76)であるが、詐欺的なマルチ商法で全国に被害が広がっている化粧品会社と密接な関係だったことから、批判の声が上がっている。

平成26年設立の ㈱ジェイコスメ・ジャパン(東京都 代表者 菅原淳司氏)は、化粧品販売のマルチ商法で急成長した会社だ。



会員は、1口10万8000円で化粧品を購入すると、1pt=1円換算で、入金日の翌々月から毎月 4000pt を10か月間 付与され、10ヶ月目に 10万pt が付与される。
貯まったポイントは商品と交換することができるが、最大の特徴は 3%~5% の手数料を支払えば ポイントを現金化(返戻金と称している)が可能ということである。(但し、契約書等には表記していない。)
年利換算すると 厳密には約23%であるが、「1年で利回り4割、銀行預金より有利」と評判になり 瞬く間に広がった。

また、香港に本社を置くグループ会社 JCOSME HOLDINGS LIMITED.H.Kが発行するJGBコインという仮想通貨を 会員向けに販売するなどして売上を急伸させ、報道によると これまで会員数5万人、化粧品で300億円、仮想通貨で400億円以上を集めたという。

代表の菅原氏は、芸能人を使った派手なパーティを開催するなど、会員を増やすための宣伝費は惜しみなく使う戦略の中で、原田義昭代議士に近づいていった様だ。

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㈱ジェイコスメ・ジャパン 菅原淳司代表

衆議院会館にガサ入れ

金融機関に虚偽の書類を提出し 約11億円の融資をだまし取ったとして、今年5月に逮捕・起訴された テクノシステム(横浜市)社長の生田尚之被告は、かねてより政治家との癒着が噂されていたが、東京地検特捜部が衆議院会館に家宅捜索に入ったことで関係者に激震が走っている。

元秘書らの貸金業法違反容疑ということで報じられているが、吉田宣弘議員は ある被疑者に対する捜査と説明している。
まさかの公明党に注目が集まっているが、捜査の手が現職議員や大物の経営者らにまで及ぶのか、今後の行方を注視していきたい。


テクノシステムに贈られた花輪に政治家の名前が…

横浜市長選挙

想定以上のメダル獲得で、マスコミは連日大きな報道で舞い上がっている中、影が薄くなっているのが横浜市長選挙だ。

8月8日告示、22日投開票の予定で、現職の林芙美子市長が3選を目指している。
横浜市は菅総理のお膝元とあって、総選挙の前哨戦として意識せざるを得ない闘いとなり、盟友の小此木八郎前国家公安委員長の支援に回る様だ。

今回 立候補予定者は元知事経験者2名を含む 10名以上になる見込みだが、事前の世論調査では 三つ巴の争いになりそうだ。

中でも横浜市立大学の医学部を6月に退職し立候補を予定している 山中竹春氏は、野党共闘の試金石として 期待を一身に背負っている。
しかし、ここに来て 大学の元同僚らの話がネットを通じて拡散し、話題になり始めており、どの様に事態を収拾して選挙に臨むか 野党も頭が痛いところだろう。



 

スプリングスティーンの娘さん

東京オリンピックの馬術障害飛越に、米国代表として出場している ジェシカ・スプリングスティーンさん(29)、あのブルース・スプリングスティーンの娘さんだ。
80年代 MTVが流行った時代、「River」「Hungry Heart」など のヒット曲で多くのファンを持つミュージシャンだ。

阪神が優勝した1985年、日本武道館で行われたスプリングスティーンのコンサートは今でも忘れない。
英語はよく分からないが、ヒット曲「Born in the USA」という言葉は分かる。
サビは「Born in the USA、I was Boin in the USA」の繰り返し。
スプリングスティーンの絶叫に合わせ、なぜか私も「俺はアメリカで生まれた」を連呼していた。

そんなスプリングスティーンの娘さんと聞いて、応援しないわけにはいかない。
3日に行われた個人の予選では、31位に終わり決勝進出を逃してしまったが、今日から始まる 団体ジャンプ競技に出場する予定だ。

Jessica Springsteen インスタグラムより

亀裂深まる自民・北九州市議会

今年1月に改選した北九州市議会(定数57)だが、2年前の議長選挙に端を発した自民党系の2派閥の亀裂が深まっている。

→ 北九州市議会 会派

改選前の議席は 自民党議員団が13、分裂した自民の会が 9だったが、自民逆風選挙の結果、自民党議員団から2名が、自民の会からは4名がそれぞれ落選、その後自民党議員団に無所属議員2名が参加し 13名で 会派「自民党・無所属の会」を結成し、公明党と共に最大会派を維持している。

改選直後は 自民の会が合流することも期待されていたが、「北九州のドン」と呼ばれた 前自民党福岡県連副会長の 片山尹(おさむ)氏を失うなど 傷が深く 簡単ではなさそうだ。

3月には、平成30年11月の海外視察に関する怪文書が議会内に出回り、それを週刊誌が報じた。
→ 北九州市議 怪文書騒動の裏側
更に7月には、議長経験のある議員についてのスキャンダルを同じ週刊誌が報じている。
→ 北九州市議が「回転寿司不倫」デート

いずれも  「自民党・無所属の会」所属の議員が標的になっていることから、同会派は 情報源を確信し、溝は深まるばかりという。

今秋には衆院選が行われるが、自民党福岡9区・10区については、挙党体制で臨むのは難しそうだ。

使いづらい避密の旅

福岡県が旅行需要の喚起を図るため、「福岡の避密の旅」県民向け観光キャンペーンという事業を行っている。

利用者は専用サイトからホテルの宿泊クーポンを購入し、県がそれに補助金を上乗せして ホテルに支払う仕組み、ホテルの予約は利用者が別途手続きをする必要がある。

今回 8月の連休に合わせ、家族で旅行を計画、地方の某ホテルに電話予約を入れ、その後 専用サイトから 宿泊クーポンをクレジットカードで支払った。

ところが旅行を10日後に控えた7月28日、「県が不要不急の外出自粛要や飲食店等への営業時間短縮を要請したため8月中の利用が停止」というニュースが飛び込んできた。
つまり、県の補助が無くなるので、差額を追加で支払えば 予定通り宿泊できるのだが、避密の旅を利用する意味がなくなるのだ。

そこで、ホテルに電話を入れて 宿泊のキャンセルをしたが、ここで問題が。
福岡の避密の旅事務局に電話して尋ねたところ、カードで支払った分は 既にホテルに支払っているため 返金できない仕組みになっているというのだ。
支払いが済んでいる宿泊クーポンは、コロナが落ち着き 利用が再開されれば「同じホテル」でのみ 利用可能ということらしい。


クーポンの利用期限は 12月末までとなっているが、コロナの感染状況で 9月以降も利用停止期間が長引く可能性もある。
限られた期間に予約を取れるかどうかも分からないし、日程調整が難しく、利用しなければ 支払った分損をすることになる。

避密の旅に応募したことを後悔している。

東京の警察官の感染

東京オリンピックで連日熱戦が繰り広げられている中、7月28日の東京都の新型コロナウイルス感染者数は3177人と発表された。
全国的に見ても、首都圏や東京と交流の多い地方都市ほど感染者の数は急激に増えてており、地方自治体が独自の宣言を発している状況になっている。

現在東京にはオリンピック警備の為に、全国から約1万2000人の警察官が集められ、都内や周辺都市の警察施設でかなり過酷な集団生活を強いられている様だが、その中で、新型コロナウイルスに数十名が感染したという。

任務を終えて帰った時に地方での感染拡大が懸念され、関係者はその対策に追われているとの情報が漏れ聞こえてきた。

福岡5区立憲、堤かなめ氏

福岡5区 立憲民主党の立候補予定者は、これまで2人続けて辞退しているが、3人目の堤かなめ氏に期待が集まっている。

2019年12月、大分県出身の女性(36)が総支部長に就任していたが、コロナ禍で配偶者の事業が厳しくなるという理由で 2020年6月に辞退、その翌月の 7月に、カナダと日本で薬局を経営しているエリート男性(41)が総支部長に就任したが、2021年2月、スキャンダルが表面化する前に 僅か半年で辞退することとなった。

二人は5区に縁もゆかりもない 「落下傘」で、地域に思い入れがないことも大きな要因で、党本部の人選の在り方にも問題があったと思われる。

その後、2ヵ月程空席が続いたが、4月になって 福岡県議会議員 3期目の 堤かなめ氏(博多区選出)が 総支部長に就任することとなった。
「2度あることは3度ある」という諺があるが、今度こそ大丈夫な様だ。
堤氏は、幼少時代を太宰府市~大野城市で過ごした筑紫っ子だ。

女性議員の比率を増やしたい 枝野幸男代表も、4月17日の堤氏の出馬会見に同席した上、7月18日の事務所開きにも出席するほどの力の入れ様だ。
5区は保守分裂が濃厚になり、共産党との野党共闘が実現すれば 最低でも比例復活が見えてくる。

立憲民主党の今後を占う選挙区として、興味を持って見守って行きたい。


立憲民主党 ホームページより

みずほ銀行店頭に 山下良平さん作品

何はともあれ 23日から始まる東京五輪ですが、最高位スポンサーのトヨタ自動車が、大会関連のテレビCMを見送る方針を明らかにしました。
小山田氏の辞任といい、選手のコロナ感染といい、出鼻をくじかれるニュースが相次いでいます。

そのような中、個人的に嬉しいニュース。
19日の地元新聞に、東京メトロ銀座線 外苑前駅に飾られているステンドグラスを紹介する記事が掲載されていました。
制作したのは那珂川市出身のイラストレーター、山下良平さん。

ほぼ時を同じくして、山下さんの作品が、 みずほ銀行・みずほ信託銀行の店頭に飾られたと聞いたので、早速見に行ってきました。
スポーツの熱気と躍動が伝わってくる作品です。
いつか原画を間近で見たいと思いました。

下記サイトで 作品を見ることができます。
Click → みずほフィナンシャルグループ  躍動のとき篇

日本維新の会・全国キャラバン

次期衆院選まで残り3ヵ月以内となる中、日本維新の会の遊説カーが来福し、立候補予定者らが博多駅と天神で街頭演説を行った。

現在立候補を予定しているのは
福岡2区 新開 崇 氏(50)
4区 阿部 弘樹 氏(59)
10区 西田 主税 氏(59)
の3人、それぞれ遊説カーの上から 維新への支持を訴えた。

九州では 組織基盤が殆どない維新、候補者の知名度も正直言ってまだまだ、ポスターも少なければ、街頭に立つ姿もあまり見かけない。
真夏の太陽の下、猛アピールが必要だろう。

だが、菅総理の支持率が下がり、立憲民主党の人気が今一つ上がらない中、無党派層の票の受け皿になる可能性は大いにある。
衆院選比例九州ブロックでは、前回は1議席にとどまったが 次回は2、上手くいけば3つ確保するのではという声もある。

維新候補により 自民と立憲のどちらが有利になるか 各選挙区の関係者は神経を尖らせている。

原田氏への期待は低く・福岡5区

最近 福岡5区内で 原田義昭前環境相のポスターが増え、本番前にアクセルを踏んでいる様子が窺える。
7月16日の原田氏のFacebookでは、林裕二朝倉市長、田頭喜久己筑前町長及び福岡県農林関係者の 農水大臣への陳情に同行したことを報告、「地元の課題、要請を如何に政府の政策に現実に反映させるか(現場対応)が絶対的に必要となる。地元のためにも必ずやお役に立てるものと確信しています。」と綴った。

地元首長と連携している点を強調したかったと思われるが、当の首長らは原田氏に対しての期待は非常に低くなっている様だ。
翌17日には、栗原渉氏の 朝倉地区事務所開きが開催され、帰福した 林市長、田頭町長、それに渋谷博昭東峰村長が駆け付け、林氏が挨拶に立ち栗原氏を激励した。

8期も務めた国会議員、今さら「お役に立てるものと確信」はないだろう。
それなら何故 地元5区内の県農政連はじめ農林水産関連の団体、ほか各種団体の支持が得られなかったのか…。

原田氏については、全国で被害が広がっているマルチ商法の広告塔として大活躍したことが分かっており、東京から記者が来福し取材中という話だ。



 

新電力事業の落とし穴・ホープ(後)

ホープ社は平成17年、現代表が24歳の時、自治体保有の様々なスペースの広告事業化等を目的に㈲ホープ・キャピタルとして創業、同21年に㈱ホープに組織・商号変更を行った。

自治体情報誌やアプリケーション等のサービスを行う一方、自治体向け営業活動の支援・代行等事業を拡大、同25年には グロービス・キャピタル・パートナーズから約1.5億円の出資を受け、同28年に東証マザーズに上場を果たした。

良かったのか悪かったのか、転機となったのが、同30年3月に自治体向け電力小売事業に進出したことだ。
その後の躍進ぶりは凄まじく、令和元年度には公共機関の電力調達入札において、落札金額 合計約23億円で東電・九電・中電に次ぎ全国4位となり、株式市場で注目される存在となった。
令和元年6月期の売上は38億6200万円、経常利益7500万円だったが、同2年6月期には売上144億0700万円、経常利益10億1200万円に急伸させ、初の配当を出した。

しかし前述の卸電力の高騰により、今年4月に発表した 令和3年6月期連結業績の修正予想では、売上は280億0650万円に倍増するのだが、経常利益が最大59億3700万円の大幅赤字となり債務超過に転落するとした。
電力小売事業を始めてからは、売上の9割以上を電力事業を占めるようになっているため、今後の資金繰りのハードルは高いと思われる。

ホープ社を急成長させたのは電力小売事業、しかし思わぬところで落とし穴にはまってしまった格好だ。
大手電力会社の反撃もある中で、地元福岡の若き経営者には 創業以来の危機を乗り越えてもらうことを切に願っている。

ー 了 ー

新電力事業の落とし穴・ホープ(前)

九州電力など 大手電力会社が事業者向けの電力供給でカルテルを結んでいた疑いがあるとして、公正取引委員会が独占禁止法違反(不当な取引制限)の疑いで立ち入り検査を始めた。
大手電力会社が利益を守るため、なり振り構わぬ姿勢が露呈した格好だ。


電力自由化後、多くの新規事業者が公共施設などの電力入札に参加し、相応の受注ができていたのも束の間、ここ2~3年で 九州電力が「本気」を出し、シェアを奪い返した感がある。

そして、昨冬の卸電力の異常な高騰は、短期間で急成長した新電力企業を潰すため、大手電力が仕掛けたという噂もある。
真相は藪の中だが、制度に盲点があったことは事実、その影響で、㈱F-Power(東京都)が 3月末に 負債総額464億円で会社更生法を申請したことは記憶に新しい。

福岡市に本社を置き 電力小売り業に参入したことで急成長を遂げた㈱ホープ(福岡市中央区薬院1-14-5 代表者時津孝康氏)も 卸電力高騰の影響をもろに受けた会社の一つで、昨年10月には 6920円の過去最高を記録した株価が、1月8日には3330円まで急落、その後も下がり続け 7月15日現在で 771円となっている。

ー 続 く ー



 

大牟田市新体育館建設の不思議 ⑩ ■ あの手この手の設計業界

大牟田市新体育館のDB業者の業者選考が7月下旬から8月上旬にかけて実施されるが、その後 続けて「CMR」と「監理」の業者選考も予定されているという。
大牟田市民のために、内容的にもコスト的にも 最良の体育館が建設されることを切に願っている。

一般的に、市庁舎や総合体育館、学校等の大型公共施設建設にあたり、行政職員は よりよい施設を最安のコストで創るための 最良の業者選考方法を思案している。
一方、業者は 受注を確実なものにするために あの手この手を考えてくる。
特に設計業界にとっては、業者選考の主流となっている公募型プロポーザル方式は、相性が良かったと言える。

設計業界は、自治体に建設に精通している職員が不足している点をよく理解しており、発注者(自治体)と施工会社の間を取り持つ CMR(コンストラクションマネージャー)という 新しい職種を発案し、国の後押しもあって CMRを新たな業務として採用する自治体が徐々に増えつつある。
施設建設に関わる「基本計画」「基本設計」「実施設計」「監理」という設計会社の業務に、「CMR」が追加され、業界の思惑が実った格好だ。

また、業者の数が極めて多い建設業界と異なり、設計の世界は意外と狭く、持ちつ持たれつのような印象を受ける。
① A社が本気だから 手を挙げないでおこう
② 参加するけれど 失格となって A社に協力しよう
③ 参加するけれど わざと負けて A社に協力しよう
など、これまでのプロポーザル方式の結果を見ていくと、ある意味 助け合いの関係が見え隠れする。
特に、公募型プロポーザル方式の場合、①のケースが多いと思われ、② 及び ③になると明らかに談合と言えるのだが、証拠は残らない。

プロポーザル方式には、こうした盲点があるということを 自治体は認識し、次の選考に向けて対策を講じていく必要がある。

これまで、基本計画「梓設計」の後は、 基本設計「山下設計」、 CMR「明豊ファシリティーワークス」と 日本コンストラクションマネジメント協会のお友だちで決まってきた感がある。
今後「DB業者」「CMR」「監理」の業者選考が控えている。

大型公共施設工事の発注に慣れない 地方の自治体を、お友だちで食い物にする悪しき前例とならないよう、今後も注視していきたい。

ー 了 ー

織田廣喜美術館・嘉麻市

嘉麻市に取材に行った際、道の駅うすいから車で2分、織田廣喜美術館に足を伸ばした。

大正3年(1914年)嘉穂郡千手村(現嘉麻市)出身の画家、織田廣喜氏の作品を所蔵する美術館で、平成8年(1996年)、織田氏 82歳の時、当時の碓井町長らの尽力により開館にこぎ着けた。

織田氏は 昭和15年 二科展初入選し、戦後は東京都美術館で開催される二科展で毎年第1室を飾るなど日本の画壇を牽引した一人だ。
66歳で二科会常務理事に、81歳の時 平成6年度 「夕焼け空の風景(下画)」で日本芸術院・恩賜賞を受賞、同7年に芸術院会員に就任、同18年には 二科会理事長に就任、同24年 98歳で永眠された。

館内には、炭鉱の街だった故郷の色をベースに 仏蘭西の色彩が融合した織田氏の作品が並べられており、特に 600号の大作が 壁画のように複数並んだ部屋は圧巻だ。
コロナ禍だからか来館者は まばらで、1時間余り ゆっくりと贅沢な時間を過ごさせてもらった。

嘉麻市立織田廣喜美術館


夕焼け空の風景  1994 300号

大牟田市新体育館建設の不思議 ⑨ ■ 出雲市プロポーザルの勝者

もう一つ、下関市新総合体育館整備事業と同時期にプロポーザル方式で決まった出雲市新体育館整備運営事業を紹介したい。

鹿島建設JV、鴻池組JV、西松建設JVの3JVが参加し、提案上限価格の99.9%という金額で 最も高かった鹿島JVが受注、最安の鴻池組JVより 約1億5400万円高いという結果に終わった。
こちらも 下関市同様、加点審査点で逆転している。

そして、やはり目を引いたのが、梓設計が構成企業として名を連ねていることだ。



同月に行われた体育館整備事業のプロポーザル、共通しているのは入札価格が高いJVが加点審査で逆転していること、そして梓設計が構成企業として入っていることである。
体育館整備事業の「勝利の方程式」に、梓設計が不可欠という認識が、業界関係者の間に広がったことだろう。

ー 続 く ー

増える元暴アウトロー

先日、福岡経営企画が主催する雑学勉強会において、久留米大学で社会病理学の講師のほか、保護司活動など幅広く活躍されている廣末登氏の講演を拝聴した。

反社(暴力団・半グレ)~グレー属性の実態~という一般市民ではあまり知ることの無い世界の話だけに非常に興味深く、また現在の実態を生々しく聞くことが出来た。

かつて政治家や企業などが暴力団と親密交際をしていた時代もあるが、暴力団排除条例が施行されて以降、全ての関係が即アウトとなり、暴力団離脱者が年々増加している実態は報道等で知っていた。

所属組織の消滅や、子供が出来たなどの理由で暴力団を離脱しても、5年間は賃貸住宅はもちろん携帯電話や銀行口座、クレジットカード、保険などの契約も一切出来ない現状がある。

そうなると一般社会に 入っていくことができず、就職も出来ずに元暴アウトローとして生活している人が数多く存在するという。
結局は 覚醒剤などの薬物や電話特殊詐欺などアンダーグラウンドに舞い戻ってしまうケースが多い様だ。

組織に属さない半グレや元暴アウトローには 絶対的存在の親分がいない。
彼らが増えれば、今後ますます治安の悪化を招くだろう。
暴力団を離脱したいのに社会が受け入れないという厳しい現実、相応の生活ができるようになるための仕組み作りが急務と思われる。

Wikipedia 廣末登氏

大牟田市新体育館建設の不思議 ⑧ ■ 下関市プロポーザルの勝者

今年3月、下関市新総合体育館整備事業と出雲市新体育館整備事業の業者選考がプロポーザル方式で行われ、その結果が興味深い。

下関市新総合体育館整備事業は、提案上限価格 約93億2999万8000円に対し、日立キャピタルJVと九電工JVの 2JVが参加、日立キャピタルが総合評価点で1位になり受注を決めた。
入札価格では 日立キャピタルJVの方が九電工JVより 10億円以上も高かったにも拘わらず、性能評価点(①事業計画全般、②設計業務、③建設・工事監理業務、④維持管理業務、⑤運営業務、⑥入札者独自の提案)の加点審査で上回り、僅差の逆転勝利となった。

下関市民にとって 良かったか悪かったか分からないが、大成に〇〇〇の息子がいるからとか 前総理の要請に元秘書の市長が応じたから等、根も葉もない噂が飛び交っている。
注目すべきは、梓設計がいる方が勝利したことだ。



ー 続 く ー

選挙前に1億円稼いだ古賀之士議員

東京都議会選挙は、自公過半数獲得の予想を覆す結果に終わった。
野党共闘の効果は無視することができず、前回よりも激戦区が増えることは確実で、下り坂に歯止めが掛からずツキに見放された菅総理大臣では、自民党の顔として総選挙で戦えないという若手議員らの悲痛な叫びが聞こえてくる。

ところで、解散風に怯えることのない参議院の先生方、来年の選挙に向けて準備に余念がない。
福岡選挙区では、自民党県議団が早々と 現職の大家敏志議員を来年参院選挙の公認候補予定者とすることに決定した。

一方、立憲民主党の現職、古賀之士議員は FXで1年間のうちに1億円近く稼いでおり、選挙資金はたっぷりある様だ。
河井夫婦も1億5000万円の使い道に困ったくらいだから、じゅうぶんお釣りが来るだろう。



 

NEXCOと大島産業(37)■ 最終報告書に盛り込まれるべきこと

7月6日に開催された第9回第三者調査委員会の議事録には、「再発防止の為に 他機関の好事例があれば参考にすべき」とあった。

今回の不祥事が、「議員に恥をかかせるな、払ってやれ」から始まったことは、社内の共通認識という。
現状そうだとしても、再発防止の為にはそれを許さない組織改革が必要だ。

今回の失敗の本質は、経営権と人事権を持つ本社幹部がコンプライアンス責任者を兼務している昭和的な組織体制にある。
一般的に まともな大手企業では、大手弁護士事務所の役員等が「社外取締役」としてコンプライアンス担当の役員に就き、告発者の保護、公正な調査、企業倫理の醸成に資している。

中日本に限らず、高速道路会社には国土交通省の天下り官僚が経営権のある取締役として就いているのが現状だ。
天下りの取締役は、円滑な高速道路行政の為には ある意味役に立つ反面、今回のような醜聞や品質安全、企業倫理に関わってくるデメリットの方が多い。
問題が起こった時に身動きできず、決定を覆すことが困難な状況になり、社員を巻き込んでしまう。

同じ失敗を繰り返さないためには、社外役員がコンプライアンス窓口の責任者に就き、告発者が法的に保護される体制づくりが急務と言える。
このことが、第三者調査委員会の最終報告に盛り込まれる最優先事項と言える。

本題に戻るが、この後 中日本自らが公正公平な工事費を算出し、大島と協議もしくは審査会に付託し、適正な工事費の支払いをして、決着をつけることが 国民の財産を守る事につながる。

弊社の記事は、中日本の社員はもとより、西日本や東日本、国会議員、国交省の担当課の方にも目を通して頂いており、各方面から激励の言葉も頂いている。
本来あるべき方向に軌道修正するために、今は第三者調査委員会や会計検査院の力を借りているところだが、本来 中日本自身が自力で変えていくものである。

中日本が自発的に変われるか、周囲は注目している。

ー 続 く ー

NEXCOと大島産業(36)■ 政治案件の処理で決まった人事

5名の精鋭調査官で臨んだ追加の会計検査の行方に、NEXCO中日本の内部の両陣営はもとより、国会議員も注視している。

今回は中日本の業務について検査をしたわけだが、税金の無駄遣いの発端となったのは 「政治家への忖度」で、企業倫理の問題である。
中日本ではコンプライアンス教育が行われており、コンプライアンス相談窓口もある。
なぜ 7名の決裁権者が 水増し請求を知りながら 窓口に駆け込めなかったのか。
その原因は、人事権を持つ役員がコンプライアンスの責任者という中日本の組織体制にあることに尽きるだろう。

また、7名のうち 3名(支社部長、同課長、所長)は、八王子支社に配属される前は、本社で「パワハラ呼び付け騒動(※1)」、「不払い告発文(※2)」に携わっていたことが判っている。

※1 大島産業の社員が中日本の工事担当者からパワハラを受けたと宮内秀樹議員に訴え、国交省道路局の担当者と中日本本社の社員らを衆議院議員会館に呼び出した件

※2 大島産業が建設業法に違反し、届け出た施工体系図とは違う 裏契約を 大島が指定する別の商社と契約させ、かつ不払いを続けた実態を告発した文で、NEXCO3社と国交省、国会議員らに送付されいる

その3人がわざわざ 大島が工事を行っている支社に決裁権者として配属されてきた。
いずれも 大島の工事を「政治案件」と認識した 中日本の幹部が、(政治的に)処理を誤らないよう配置した人事ということが窺える。

配属された者たちも被害者だ。
自身も含め コンプライアンス教育を受けた多くの社員の目がある。
それでも、幹部の意向に沿った方向で進めなければ 自分の立場が危うくなる。

社員たちもコンプライアンス違反が行われようとしている瞬間を見ている。
だが、上司に言っても 本社の意向だからと諦めている。
告発したとしても 間違いなく潰されるし、一人で抵抗しても無駄だから 最後は見て見ぬふりをする。

ー 続 く ー

NEXCOと大島産業(35)■ 間詰め材の充填は十分か?

NEXCO中日本における 大島産業の工事の現場検査について、前回 橋台の補修箇所の水漏れについて指摘した NEXCO西日本の関係者から ある懸念が寄せられた。

NEXCOと大島産業(23)■ 中日本が問題なしとした国立橋
NEXCOと大島産業(24)■ 今後もひび割れが広がる可能性

「橋と橋台との間のコンクリートがスカスカか、間を埋める『間詰め材』の充填が不足して隙間が空いている可能性があります。
作ったばかりの何も無い場所から水が垂れてきているのは変です。
ロッキング橋脚対策マニュアルでは、舗装までびっしりセメント系の間詰め材で埋めることになっています。
西日本ではそうするよう指導しています。

この部分に隙間があると、水が侵入して溜まり 微細な隙間から伝わって、橋と橋台とを繋いだ重要な鉄筋が腐食したりすることで、大きな地震が起きた場合に、耐震補強工事の効果が全く得られないことになりかねません。
まさか 間詰め材を全く入れていないとは思いませんが、何らかの空洞か水道があるのではないでしようか?
国民の生命を守るために税金を投入したのであれば、調査して もし入っていなければ、マニュアル通り隙間を入念に埋めるべきです。」

果たして、昨日現地を見た検査官が気づいたかどうか。
通常であれば、見えないところほど 施工記録を残しておくはずだが、前述のように 大島案件では書類の不備が多い。
検査官におかれては、耐久性に関わる重要な部分をしっかり調べて確認して欲しいものだ。

ー 続 く ー

NEXCOと大島産業(34)■ 建設工事紛争審査会

公共工事中止における最近の和解例に、平成30年に市長が交替し新庁舎建設(総工費約87億円)の契約を解除した近江八幡市と ㈱奥村組(大阪市)の争いがある。
県建設工事紛争審査会の勧告に基づき、今年1月、市は奥村組に4億0600万円を支払うことで和解合意したと発表した。
これは甲乙の責の立場は逆だが、NEXCOの契約書にも「建設工事紛争審査会」への付託についての記載がある。

令和2年10月23日の5回目の契約金額の変更の際、当初大島産業は10億円の増額を要求、あまりの無茶ぶりに本社工務部門も含め社内では反発し、審査会に仲裁に入ってもらうつもりだったという。
ところが、天の声が聞こえたのか 途中から方針が転換、本社の指示だから仕方がないということで支社の決裁権者も同調し、最終的に6億円までは増額を認めたのが真実の様だ。
(決裁権者の中には よくわきまえた者もいれば、「赤木さん」のように抵抗した方もおられるらしい。)

6億円を認めてしまった以上、中日本には支払うつもりはあったが、蓋を開けてみると品質証明や立会検査等 出来高を裏付ける書類がない、あるのは 警備費や型枠工事の材料費など 根拠不明の書類のみ。

今後、最終的な精算に関し、大島との間に主張の相違が生じることが予想され、当然審査会に付託されるだろう。
中日本は「違約金+補修費」を請求することになるが、「出来高部分」をどう算定するかで 中日本のコンプライアンスの姿勢が問われている。

前述のように、辻褄合わせのために中日本は、貴重な労力と時間を使い 大島に代わって「出来高部分」を確定させるための書類を作成してやった。
そのプレゼントは、国民の税金が原資ということを忘れてはならない。

ー 続 く ー

NEXCOと大島産業(33)■ 触れてほしくないこと

入手したNEXCO3社の標準的な契約書から、大島産業の耐震偽装発覚後、中日本が本来どう対応すべきだったかが見えてくる。

契約上、受注者が契約に違反し 目的を達することができないと認められるときは、発注者は契約解除ができるとされているが、その後問題となる支払い関係について、「発注者は 請負代金の 10分の3の違約金を請求できる」、「工事完了した出来高部分については受注者から引き渡しを受け 相応の請負代金を支払わなければならない」、「必要がある場合は最小限度の破壊検査をできる」等細かい規定がある。

今回の場合、違約金については当初の請負代金 約6億の3割で、1億8000万円が請求されると思われる。
問題は出来高部分だ。
この半年間、中日本は大島が完了した出来高部分について調べていたが、必要な品質証明や立会検査が無いのが殆どということが判っている。
通常の工事では 多額の費用をかけ管理することで 支払いに至るのだが、今回の大島の工事に関しては、何故か 中日本が調査を尽くし 肩代わりしたのである。

工事の補修や品質の裏付け調査は 中日本の将来の管理のために必要だが、わざわざ支払い対象とすべき出来形確定のために行ったという。
この根本が間違っていることに、検査官が気がつかないはずはない。

ー 続 く ー



 

NEXCOと大島産業(32)■ 国立橋の施工は支払いに値するか

大島産業が施工し 契約解除となった2工事についての追加会計検査、2日目は現場検査の予定である。

NEXCOをよく知る関係者は次のように述べた。

「耐震補強工事を行なった跨道橋の多くは交通量の多い高速道路からしか近づく事が出来ません。
検査する場合、中日本は 路肩規制を警察に緊急申請する必要があります。
申請しなければ、パトロール車で素通りするしかなく、 『はとバス』状態です。
雨の予報ですし、中日本は安全確保も持ち出し 十分な検査はできないと思いますので、中日本の作戦勝ちでしょうね。」

だが、弊社が報じた 国立橋については、国道と交差しており 歩道から粗雑施工の補修箇所が見られる場所である。
中日本は今後、粗雑構造物を 長期に亘り管理していく事になる。
補修はしているが、他の優良工事で作られたものとは違い、早く劣化しコストがかかるお荷物だ。

福岡県民新聞「中日本が問題なしとした国立橋」

検査官におかれては、その施工が支払いに値するものか 第三者の目で判断して頂きたい。

ー 続 く ー

NEXCOと大島産業(31)■ 会計検査、本日から3日間

7月5日、本日から3日間、NEXCO中日本において 大島産業が施工して契約解除となった 2つの工事に対しての 追加会計検査が始まる。
会計検査院の検査官が 5名、3日間張り付くというのも異例というが、それだけ闇が深いという事だ。

幾つもの決済をくぐり抜け、支払いが決まった13億2千万円という工事の最終変更金額について、実態の裏付の無い警備費、埋設型枠の材料の加工賃、特殊工法の諸経費のダブル計上等、大島側の水増し請求に対する疑念は何一つ払拭されていない。
被害を被った複数の業者は中日本の調査に事実を伝えたというが、検査官にはどのような回答をするのだろうか。

昨年10月まで 度重なる下請業者からの告発があり、通常なら はるか昔に契約解除となっているはずが、政治案件工事として 本社からの指示により放置されたことが、工事費の異常な増額と耐震偽装施行に繋がった。

その経緯を事細かに知っている7名のうち6名は左遷人事で検査会場にはいないが、唯一人 異動を免れた担当者がいる。
会計検査=国の税金、国民の財産に関わる問題であるが、担当者がどっちを向いて証言をするのか 社内でも注目されている様だ。

ー 続 く ー