カテゴリーアーカイブ: 建設関連情報

組織ぐるみで不祥事隠蔽 ① ~検察が告訴状受理~

JR九州におかれては古宮洋二社長の下、九州の経済界を牽引する企業として 活躍してもらうことを心から願っている。

さて、JR九州グループ倫理行動憲章には、「すべてのすべてのお客さま・株主・取引先などに対し、誠実かつ公正で透明性のある事業活動を行なう」、「企業情報を積極的かつ適正に開示し、株主はもとより広く社会とのコミュニケーションにつとめます」とある。

しかし、青柳俊彦前社長の時代まではお役所体質が残っていたのか、憲章に反する判断をしてしまった様だ。
2018年(平成30年)、JR九州の子会社が 5億8000万円もの不良債権を抱えると同時に不適切な会計処理を行った。
社内の不祥事に止まらない 上場企業としての信用を揺るがす重大事案だったが、JR九州の幹部は最後まで公表することはなかった。

 

検察が告訴状受理

ところが昨年8月、当時のコンプライアンス違反に関連して子会社の前社長に詐欺罪による告訴状が出され、12月に福岡地検が受理し取り調べが始まっていることが判った。
これまで相手がJR九州だけに マスコミも及び腰だったが、受理されたことで一部の週刊誌が取材を始めた模様だ。

弊社ではこれまで、この問題について逐一報じてきたがJR九州は一切無視を続けてきた。
本稿では9回にわたり、子会社で5億8000万円が焦げ付いた経緯、2018年3月期の不適切な会計処理、法令違反、そして今後気になることなどを解説するとともに、客観的な第三者による検証の必要性について述べていく。



 

5億8千万円が回収不能に

5億8000万円が焦げ付いた子会社とは、JR九州住宅㈱(福岡市博多区吉塚本町13番109号 代表者 島野英明氏、以下JRJ)である。
民営化後の2000年(平成12年)にJR九州から分社独立し設立され、戸建て住宅の建築やリフォームを柱に業歴を重ね、福岡と鹿児島で基盤を形成した。

JRブランドで 年商20億円程度で推移するも、競合が激しく利益捻出までには至らず、現在も債務超過から脱却できずにいる。
しかし、親会社JR九州の取締役専務執行役員と執行役員の2名が非常勤取締役として経営に携わり、ブランド力で営業や下請との取り引きに大きな支障が出ていない。
それはこれからもそうだろう。

JRJは、2018年(平成30年)6月まで同社代表取締役だった松尾氏を相手取り、損害賠償(訴額 5000万円)を求める裁判を起こし 争ってきたが、今月調停手続きで合意が成立したばかりだ。
その裁判記録から5億8000万円が回収不能になった経緯を知ることができる。
訴状の内容を要約すると次の通り。




2017年(平成29年)5月、JRJは筑後市と糸島市のタウンハウスの建築業務を 施主であるエステート・ワン㈱(代表者 新原健造氏)と契約、請負額合計 7億9628万4000円(税込)で、着工金30%、中間金20%、完工金50%の割合で支払いを受けることになっていた。

エステート・ワンからJRJに着工金が支払われ 工事は始まったが、その後約束の期限までに 中間金が支払われなかった。
しかし、工事は続けられ2018年(平成30年)3月の完成間際になって、エステート・ワンから6月末に中間金と完工金を合わせて支払う旨が伝えられた。
筑後市のタウンハウスは 同年3月までに、糸島市の物件は同年5月までに完成し エステート・ワンに引き渡されたが、その際 JRJは 保全措置を取っていない。

その後、6月末になっても中間金と完工金が支払われることはなかった。
同月JRJは松尾社長を退任させ現社長が就任、エステート・ワンと支払の協議を打ち切り12月に銀行口座を差し押さえたが殆ど回収できず、翌年未払金支払いを求め同社を提訴、勝訴するも回収できず、結局 5億8000万円が焦げ付いた。

この契約は松尾社長が持ち込んだ案件で、エステートワンの与信調査を十分に行わないまま 取締役会にも付議せず社長の独断で進められた。
また、松尾社長の指示で 紹介した松永氏の会社に400万円を報償金として支払ったが、これとは別にエステート・ワンから松永氏経由で松尾社長の知人女性の口座に440万円がリベートとして振り込まれている。

松尾社長の独断による契約締結で、結果的に5億8000万円が回収できなくなり会社に損害を与えたので、損害金額のうち 5000万円をJRJに支払うよう求める。




これに対し松尾氏は、「契約締結については取締役会に報告し、取締役の総務部長や経営企画部長も 契約書と覚書についての稟議書に押印しており、工事の受注・契約を専断したとの事実はない」と反論。
また、取締役会議では、JRJ の非常勤取締役を兼務(当時)する JR九州の田中龍治取締役専務にも契約の報告は行ったとしている。

確かに、松尾氏はリベートを要求するなど 業界の悪習に染まっていたかもしれない。
そして、社内で圧倒的なワンマン経営を行っていたのも事実だろう。
しかし、松尾氏の証言が正しいならば、社長単独で進めたと断定することは難しく、法人としての責任になり、JR九州の田中常務も全く知らないでは済まないだろう。

5億8000万円の焦げ付きには JR九州も責任の一端があり、前社長を訴える裁判は 天に向かって唾を吐くようなものだ。



 

内部調査でコンプライアンス違反発覚

JRJ内では、エステート・ワンから契約書に書かれた期日までに中間金が支払われなかったことで、社員の間で工事を続けるべきか議論があったという。
しかし、社長の指示で工事は続けられ建物は完成、中間金に加え 完工金の合計5億8000万円が支払れなかったが、2018年(平成30年)5月までに 全物件を 保全措置を取らないで引き渡している。

保全措置を取らなかったことから、JRJとエステート・ワンとの間に信頼関係があった、或いは何らかの裏事情があったと解される。
実際のところは 請負契約を交わす際、JRJの松尾社長とエステート・ワンの新原社長の間で「タウンハウスの販売状況に応じて残金(中間金と完工金)を最長3年以内に支払う」ことが 口頭で約束されていた。
その代わりとして、松尾社長側からリベートの支払いを要求され、エステート・ワンの新原社長は止む無く従ったという。

引き渡し後、JRJ内の一連のコンプライアンス違反が漏れ伝わったのか親会社のJR九州がJRJの調査に入り、松尾社長は 同年6月に退任を命じられ、グループの JR九州コンサルタンツ会社に平の取締役として降格異動となった。



エステート・ワンにとって松尾社長の退任は想定外、その後任としてJR九州から肝煎りで来た島野新社長は厳しい態度で臨んだ。
未払いの中間金と完工金 5億8000万円の即時支払いを求めるも、販売が進んでいないエステート・ワンは現金が不足しており、松尾前社長との約束を説明し支払の延期を要求、協議は平行線のままだった。

同年9月、松尾前社長(JR九州コンサルタンツ取締役)は「解任」された。
上場企業の子会社の元社長がコンプライアンス違反で解任というだけでニュースになりそうだが、JR九州は JRJからJR九州コンサルタンツにいったん異動させ、3ヵ月後の解任を決定、JRJの不祥事との直接的な関連がないように操作したと見られている。

弊社はJR九州コンサルタンツに松尾氏の解任理由を尋ねる文書を送付したが、下図のように回答を拒否されてしまった。
同社内で正当な理由があったのではなく、JRJでの一連の不祥事が原因だったのは明らかで、その証拠に 前回報じた様に JRJが松尾氏に対して損害賠償を求める裁判を起こしている。

JR九州はこの件について一切公表していないが、公表するに足らないと判断したのか、公表したら大変なことになると判断したのか。
この後判ることを考えると、後者だと思われる。



ー 続 く ー

「今回はうちの番」、西田建設に指名停止6ヵ月

弊社記事「同姓の別人に談合呼び掛けか(2022年12月21日)」で既報の嘉麻市談合疑惑であるが、ここにきて処分が行われるなど動きがあった。

記事ではN建設と書いたが、「今回はうちの番」と人違いで電話したのは 西田建設(嘉麻市平1226-1 代表者 西田寛信氏 ​)、同社は建築業を目的に現代表が昭和46年創業、平成元年に法人化を行った老舗企業である。
令和3年に行われた義務教育学校整備事業「碓井中学校区」の業者選考では 村本建設・西田建設・楠山設計のJVで受注し現在施工中だが、代表の営業意欲は旺盛で今回の入札も積極的に取りにいった様だ。

12月21日予定の入札について談合情報が入ったため 26日に開札が延期されたところ、情報通り西田建設が最低制限価格に最も近い金額を提示し落札予定者となっていたことから、手続きが保留となっていた。
その後、市は参加した8者全てに聞き取りを行い、その中で西田建設が「今回はうちの番」と電話で話したことを認めた一方、その他の業者から談合に応じたという証言は得られなかったという。

このため、保留していた入札結果について、西田建設を失格、2番目に最低制限価格に近かったガーデンホーム㈱(嘉麻市鴨生30−46 代表者 石橋純二氏)を落札者とした。

また、市は西田建設に対し 「市発注工事の入札執行に関し行った不正又は不誠実な行為」があったとして、令和5年1月10日から7月9日までの6ヵ月間、指名停止処分にすることを決めた。

市は今回の聞き取りの資料等を 警察と公正取引委員会に提供しており、今後しかるべき捜査が行われるだろう。
嘉麻市では、官製談合の疑いで百条委員会が開催されるなど、建設業界はあまりいい印象がないが、真面目に取り組んでいる業者にとっては 迷惑な話だ。

SAGA ARENAは大丈夫か?

現在佐賀県は、5月13日のオープンに向けて SAGA ARENA(佐賀アリーナ)の建設を進めているところで、最近はその全体像を見ることができるようになった。
B’zがこけら落とし公演を行うことも決定し、佐賀県民の期待は膨らむばかりだ。



こうした中、現場を見た人たちから 先行きを心配する声が聞こえてきた。
それは アリーナの外側全体に施工された屋根材が至る所で凹んでいるというのだ。

近くに行く機会があったので 目視してみたところ、確かに凹んでおり「ボコボコ材」という形容がピッタリだった。
竣工前でこの状態なので、今後暴風雨に晒されると更に酷い状態になるというのは考え過ぎか。

昨年9月には福岡県みやま市で、竣工前の文化センターが台風の影響で雨漏りしたことがあった。
過去にナゴヤドームで、屋根に構造的な欠陥が見つかり、傘を差して野球観戦をしたという話もあったが、この屋根材は問題ないのだろうか。

B’zのコンサートで雨傘を差すことはないとは思うが、ボコボコ材を見ていると 本当に不安になってくる。

   

21億落札のリクデンが指名停止、オーナーは現職市議

福岡県は6日、㈱リクデン(田川市大字川宮1215 代表者 陸田和子氏)を「建設業法の規定に違反し、工事の請負契約の相手方として不適当であると認められる」として、1月6日~3月5日 までの2ヵ月間、指名停止措置とすることを発表した。

同社は 福岡空港内の公共工事において、建設業の許可のない業者と軽微な建設工事の範囲を超えて下請契約を締結したとして、昨年12月22日付で営業停止処分(1月6日~12日までの7日間)を受けていた。


弊社記事「118億円の工事に競争なし、1者入札続く(2022年12月27日)」で報じた通り、同社は12月7日に行われた田川広域水道企業団の電気工事入札を 21億7000万円で落札したばかり。
営業停止期間が 1ヵ月早かったら 入札に参加できなかったことになり、強運の会社と言えよう。

ちなみに、リクデンの最大株主は、創業者で 田川市の陸田孝則市議会議員、現在 建設経済委員会の委員長、及び 田川広域水道企業団の議員を務めておられる。
田川市にも世間の目を気にしない市議がいるようだ。

職員を追い詰めた市長

今年は選挙イヤー、特に住民生活に直結する市町村長を選ぶ選挙は重要だ。
国や県から予算を取ってくる能力や人脈の多さも大事だが、人を使えるかどうかも大切なポイントである。
首長によって役所内の空気はガラリと変わり、職員のやる気を引き出せば 延いては住民サービスの向上に繋がる。




令和になってすぐ、某市役所勤務の40代の課長が自宅で亡くなっているのが発見された。
遺書がなかったので 警察は「不審死」として処理、しかし 役所内の職員の多くが 状況から自殺で間違いないと見ている。

市役所内は常にピリピリした空気に包まれている。
市長が部長を怒鳴ることは日常茶飯事、時には教育長までも怒り上げる。
直接 課長に暴言を吐くことはないが、「報告受けてない」「聞いてない」「出ていけ」「出直せ」「やり直せ」が口癖、意に添わぬ時は 関係のない部署の決裁までストップ、1~2週間決裁が止まることも珍しくない。

こんな話もある。
課長がある企画について段取りをして市長に説明に行き、「よし、わかった」と決裁を貰った。しかし、翌日呼ばれ「これは何だ」と聞かれ「昨日決裁を頂きました」と言うと、「俺は判を押してない」と全てなかったことに。

亡くなった課長が働いていたのは そのような職場だった。




市長が期数を重ねると権力が集中し、こうした状況になりかねない。
以前は多選となると批判が多かったが、最近は4選も珍しくなくなった。
中には7期目を目指す首長もいるというので驚きだ。
また、高齢者特有の症状が顕著になり 周囲に様々な弊害を及ぼしている市長もいると聞く。

皆さん自治体の首長が、やる気を引き出すタイプか 追い詰めるタイプか ご存じですか?

正直者が馬鹿を見ないよう…

明けましておめでとうございます。
本年も福岡県の政治経済記事、特に 選挙・詐欺・倒産・談合などの情報を中心に発信して参る所存ですので、ご愛読頂ければ幸いです。
今年は選挙イヤー、1月から筑紫野市長選、北九州市長選が、4月には統一地方選と続きます。

福岡都市圏では人口も増え まだ元気を感じられますが、特に過疎化の進む地方では公共工事の絶対量が減り、少ないパイの奪い合いが起こっています。
どことは申しませんが、そういう場所で良からぬことを考える輩がいます。

業者が考えるだけでは上手くはいきませんが、往々にして 政治の力が加われば 、特に首長を抱き込めばその企てが成功することもあります。
彼らは準備を整え 合法的に利益を誘導していきます。
そこに擦り寄る事業者のみがうまい汁を吸うことになります。

正直者が馬鹿を見る世の中です。
私たちは、こうした正直な皆様からの声を拾い上げ、ずるいことを考える輩がいたらオープンにしていきます。

証拠があるのに 行政や警察、マスコミが動かない、そんなもどかしい思いをしておられる皆様からの情報をお待ちしてます。
必ず記事にできる保証はありませんが、少しでもお役に立てるよう努めてまいります。

118億円の工事に競争なし、1者入札続く

田川市・川崎町・糸田町・福智町にお住まいの方に朗報。
新しい浄水場の工事業者が決まり、もうすぐ美味しい水を飲めるようになる。
但し、水道料金が安くなるかどうかは分からない。

1市3町で構成される田川広域水道企業団(企業長 二場公人田川市長)で、現在建設中の白鳥浄水場(仮称)外電気設備設置工事の入札が行われ、東芝インフラシステムズ・リクデンJVが 21億7000万円(税抜)で落札、入札に参加したのは1者のみだった。
なお、リクデンは現職田川市議の陸田孝則氏の親族が代表を務める会社、この件については別途報じたい。



白鳥浄水場に係る大型工事の入札については今年3件あったが、全て1者入札、ほぼ満額に近い額で落札されており 合計金額は 118億円に上る。

おさらいすると、2月に建設工事を50億7000万円で落札した飛島建設は、二場企業長の義兄の永原譲二町長のお膝元、1億円のトイレで有名な道の駅「おおとう桜街道」を施工した業者、今回の工事の下請に永原町長の家族の会社がしっかり入っている。
過去記事「注目が集まり始めた田川市」
飛島の一部の社員が退職後、大任町で雇用され固い絆で結ばれていることも有名な話だ。

10月に機械設備設置工事を44億6000万円で落札した水道機工は、大任町で既に竣工した汚泥再生処理センター及び 現在建設中の最終処分場をプロポーザルで受注、田川地区では勝負強い会社だ。



参考までに、田川地区1市6町1村で構成される 田川郡東部環境衛生施設組合(永原譲二組合長)が大任町(永原譲二町長)に委託し整備が進んでいる 衛生関連施設についてもご覧頂きたい。
大任町議会で示された契約議案の金額で、3施設の契約金額の合計が約335億円、いずれも1者のみのプロポーザルで随意契約となっている。

田川地区は、金額が数十億円規模の工事でも1者入札・1者プロポーザルが当たり前、争いのないユートピアなのである。

イメージ低下が心配されるアライアンス

昨日、田川市で南国殖産が定められたルールを守らず発電所の建設工事を進めていることを書いた。
開発行為において事業者と住民がトラブルになることは珍しくないが、同じようなことが 福岡都市圏のマンション建設でも起こっている。

福岡市を中心にマンション開発を手掛け、Alic Styleや Mismoシリーズで知られる㈱アライアンスが、那珂川市五郎丸地区に地上13階建(40m)、36戸の分譲マンション建設を計画しているが、その過程で那珂川市が定める「開発行為整備要綱」を守っていなかったとして近隣住民が反発を強めている。

建設予定地は、中高層住居専用地域で高さ制限がなく 法的な問題はないが、これまでは施主が地元関係者で、隣接する低層住居専用地域への配慮から最高7階建までに止められてきた。
地元関係者が所有していた同予定地は、平成27年に春日市在住の元病院経営者が取得、その後 本年2月にアライアンスが購入したもので、近隣への配慮よりビジネス優先となるのは仕方がないだろう。

市の要綱では、県に建築確認申請をする前に 住民説明を行い「開発行為概要」「近隣住民への事前説明報告書兼誓約書」「区長からの意見書」を提出し 市と事前協議を行うこととされている。
しかし、アライアンスは 申請前に市が定める上記の手続きを行わず、7月25日に申請を行い、8月8日に検査済証を入手していた。

各市町村には開発行為に関する要綱があり、同様の定めがあることはマンション開発業者なら当然把握していたはずだ。
業界に詳しい人物は「要綱に罰則も法的拘束力もないことから、先に確認申請を済ませ、既成事実を作ってから近隣住民への対策は行う考えだったのでは」と話す。


那珂川市は 「業者が手順を守らなかったことは残念だが、法的に認められた以上 建築は止められない」としているが、要綱無視が罷り通るなら これからも同じ手法を使う業者は後を絶たないだろう。

一方、周辺住民らは建設反対の看板を上げるとしており、販売に影響が出る可能性もありそうだ。
ほんの少しのコンプライアンス違反でも 企業のブランドイメージが低下する時代、関係者からはアライアンスの今後を心配する声が出始めている。

南国殖産に 田川市議会がイエローカード

国が定めるガイドラインを守らないまま 南国殖産(鹿児島市)が 住宅地近くにバイオマス発電建設を続けている問題で、田川市議会において「国が事業者への指導を徹底すること等」を盛り込んだ意見書の提出議案が 賛成多数(10対9)で可決した。

資源エネルギー庁が公開している「事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)」には、「地域との関係構築のために、計画の初期段階から地域住民に十分配慮することや、説明会の開催で理解を得られるよう努めること」が明記されている。

南国殖産は令和元年11月7日、関係区長3人に酒の席で発電所を建設したい旨を説明しただけの会合を 「第1回近隣住民説明会」と称し 経産省九州経済産業局に「丁寧に説明を行い理解を得られた」と虚偽の報告を行っていた。→ 詳細はこちら

南国殖産と言えば鹿児島を代表する優良企業、地元では この様な姑息な手法は取らないだろうが、鹿児島県民の目が届かないところで気が緩んだか、それともこれが本性か、とにかく 法に触れない範囲の中で既成事実を作り 住民への理解は後からでいいといった横暴さが窺われる。

同議案に対しては、反対の立場の陸田議員から質疑が出された。
文意を正しく理解できていないと思われる質問内容に対して、提案者の村上議員が冷静に回答していたのが印象的だった。

質疑動画は → こちら

採決では、市長派と反市長派で賛否が完全に割れ同数になったが、最後は議長が賛成に回り可決となった。

南国殖産においては、遠い福岡の地のことではあるが、市議会の議決の重みを認識すると共に、国が定めたルールを守らず虚偽の報告をしたことが社史の汚点になること、田川市民の過半数が受け入れていないことを肝に銘じて頂きたい。



採決結果

同姓の別人に談合呼び掛けか

いつもホットな話題を提供してくれる嘉麻市で、入札談合情報が入り 本日予定していた条件付き一般競争入札が延期されたことが判った。
対象は市発注の「市立うすい人権啓発センターあかつき」の改修工事(予定価格1910万円)。

きっかけは「N建設」N社長から「T技研」T社長への電話、入札公告(11月28日)後すぐ携帯に電話が入り、「今回はうちの番です」と言われたという。
T技研はN建設と業種が異なり 何のことか分からず一旦電話を切ったが、その後もう一度念押しのための電話が掛かってきた。

T社長によると、N社長は 同業種の「T工務店」T社長と勘違いして 自分に電話してきたのではないかということだ。

これは談合話ではないかと思った「T技研」のT社長、すぐ嘉麻市役所に出向き この件を責任者に伝えたのだが、その後も入札が延期になるという話は聞こえて来なかった。
そこでT社長、知人を通じ全国紙の新聞記者にこの話を伝えてもらい、記者が市役所に問い合わせをしたことで、昨日になって市が慌てて入札延期を判断した様だ。
事実なら、業者の通報には耳を貸さないが マスコミなら聞くという役所の姿勢も問われそうだ。

市は今後 業者等から事情聴取をするとのことだが、報道を見た市民からは「これだけ注目されていながら懲りない面々」と 呆れ声が上がっている。

義兄がお手本、情報開示致しません

14日、田川市の家庭用ごみ収集について市の委託業者選定が不透明だっとして設置された 田川市議会調査特別委員会(百条委員会)が開催された。
市議会は、業者の選定で黒塗りの部分が多かった公文書の開示を求めていたが、市は「事務の適正な執行に著しく支障がある」として開示を拒否してきた。

そこが知りたいから設置した委員会、文書が出なければ設置した意味はないが、予想されたこと、別に驚くことではない。

大任町の義兄は、国土交通大臣から違法状態との指摘を受けても意に介さず、「反社から町民を守ると言っておけば どげんかなる」と豪語しているらしい。
良いお手本があるので これがまかり通るという判断だろう。

そう言えば、佐藤議員の一般質問に対する二場市長の答弁には背筋が寒くなった。

佐藤議員は、「私共は市長や副市長を信じて大任町に事務を委託して、議会に必要な資料を求めて発言すると抗議文が届き、議会の混乱を招き、脅しの政治が繰り返されています。二場市長には『脅しの政治はもう止めましょう!』ということを関係者と意思統一していただきたい!二場市長には、嘘のない公平公正で透明な市政運営を送っていただきたい!」と述べた。

この発言は ごもっともで、ごみ処理施設の質問をすれば「バッジを外せ」と迫られ、情報公開の勉強会を開催しただけで 永原町長(組合長)と7市町村の首長連名で抗議文が届く。
永原町長と暴力団の関係が深いことを報じるネットメディアもあり、議員は恐怖を感じながら命がけで発言していることを市民はテレビや新聞で知っている。

RKBニュース

ところが、質問終了のブザーの後、二場市長が時間切れにも拘わらず答弁に立ち、「発言の中で、脅し脅しとあまりそういうことは言わない方がいいんじゃないですか?」と述べた。
市長にとって、あの程度では脅しにならないようだ。

井上市長、7選出馬へ!

斉藤国交大臣に違法状態を指摘されても改めようとしない大任町の永原譲二町長は現在5期目、多選がいかに望ましくないか教科書の様なケースと言える。
予算や人事の権限が集中する首長が長期間在任すると、政策や人事が硬直し 役所内は忖度が横行、また利権絡みで汚職の温床になりがちだ。



ところで、春日市の井上澄和市長が12月議会の一般質問の中で、4月の市長選で7選を目指す意向を表明した。
県議3期を経て、1999年(平成11年)4月に初当選し現在6期24年目、もちろん福岡県内の現職首長の中では最も長く、あのプーチン大統領(70)の在任期間を超えている。

だが、どんなに多選であっても選挙で住民が選べば何ら問題はない。井上市長はまだ 71歳、筑紫野市には 80歳で4期目を目指す大先輩もおられるので、7期目は通過点として9期目まではいけるという関係者の声も聞こえてきた。

田川署を信用しない大任町長

大任町が1年以上にわたり法で定められている公共工事の入札結果の公表を拒んでいる件について、ついにNHKも報じ「法を犯しても町民の生命と財産を守る」という永原譲二町長の揺るぎない決意は 福岡県民の知るところとなった。

どうやら 永原町長は、警察(田川署)を信用していない様だ。
確か、2年前に田川署と8市町村は公共工事からの暴力団排除について対策を進める協定を締結し取り組んでいるはずだが、機能していないということだろう。

永原町長と言えば 護身用の特殊警棒を振り回したことが報じられたが 納得した。

質の悪いマンション管理業者にご注意

福岡JC(福岡青年会議所)は、福博の未来を担う若き経営者が集う団体として知られているが、若さゆえ 遊びが過ぎて 本業の経費を使い込み 立ち行かなくなる者も ごく稀にいるという。

福岡市早良区に本社を置くN社は 2013年、関西出身の R氏が 21歳で設立した不動産管理会社である。
人脈を広げるため R氏は福岡JCに加入、その甲斐あってか 19年12月期には年商1億円まで業績を伸ばした。

福岡市内に賃貸マンションを所有する Aさんは 14年秋頃、高校ラグビー部の先輩で 上場企業の役員から R氏を紹介され、N社とマンション管理を委託する契約を交わすことに。
ところが 契約後、徐々にトラブルが頻発するようになる。

例えば、新規の入居者に清掃しないで鍵を引き渡す、マンションにゴミが散乱していても片づけないなど 基本的な業務の怠慢、更に 工事業者への代金の滞納や未払い、架空請求・二重請求・水増し請求が発覚、口頭で注意すると その場しのぎで嘘でごまかすことが続いた。
普通に営業していれば このようなことは起きないが、恐らくこの時点で 会社経費を 他の目的(遊びや投資など)に使い込んでいたものと想像する。



さすがに頭にきた AさんはN社に契約解除を申し出るも、弁護士を通じ 契約は有効という理由で拒否、そこで 21年4月、Aさんは契約解除を求めてN社を提訴した。
N社は「オーナーへの支払いは滞りなく続けており 信頼関係は壊れていない」と一方的に主張し 係争中である。

若い起業家を応援したつもりが仇となって返ってきた Aさん、先輩の紹介より与信調査が大切という教訓になったのでは。

N社は他の複数の管理物件でもトラブルが原因で契約打ち切りが続いていることが判っており、資金ショートしていることが窺われるが、R氏も 倒産すれば JCの仲間に顔が立たないため、何としても Aさんとの契約を継続させたいものと思われる。

ちなみに、現在 R氏はJCの某委員会に所属、ゆくゆくはJC東京事務所進出を目指しているというが、組織として メンバーがこうしたトラブルを抱えていることを把握しているのだろうか。

ツートップ交代の理由

新国立競技場の設計で知られる ㈱梓設計(東京都)は、福岡市でも総合体育館 (TERIHA SEKISUI HOUSE ARENA)、福岡市美術館リニューアル、福岡空港国内線旅客ターミナルビル、そして現在建設中の福岡市民会館と 馴染みが深い。

その梓設計で 今年8月、社長が会長に、副社長が相談役に、それぞれ第一線から退く人事が行われたが、売上を上伸させてきたツートップの同時交代だけに驚きをもって受け止められた。

ところで、弊社は 過去に梓設計が担当した複数の新体育館の建設工事の入札で予定価格を上回る不落が続いたことを報じている。
過去記事

2019年10月に行われたSAGAアリーナの入札は象徴的で、144億円の予定価格に1者JVのみが参加し 57億円も超過し不落となる。
その後、予定価格を196億円に引き上げた再入札では 1回目と同じJVのみが参加し 195億円で落札、露骨な価格吊り上げではないかと県議会でも問題になった。

こうした中、20年4月に久留米市の建設会社の実質経営者が「暴力団との密接な関係」があったとして福岡県警に逮捕され、その後、梓設計が請け負った神奈川県の公共工事で、スーパーゼネコンの一次下請に 同社が入っていた事が判明した。
第三者調査委員会を設置して真相究明を進めるべきという外部からの指摘もあったが、何事もなかったかのように 梓設計は営業を続けてきた。

数年前から世代交代が議論されてきたという今回の人事だが、建設業界では距離を置こうとする動きも出ていたとの話もあり、イメージ刷新のためにツートップ交代をせざるを得なかったのではと見ている関係者が多いようだ。

筑豊に街宣車集結

11日、添田町で「田川地区暴力団等追放総決起大会」が開催され、県警や田川地区の首長・地方議員など関係者300人が暴力団追放を誓った。
当初の予定では 8自治体の首長らが壇上に上がり、「暴力団をおそれないぞー」というシュプレヒコールをすることになっていたが、急遽 香春町の議長1名のみで行った。

変更理由は明らかにされていないが、「暴力団との密接な関係がある」と報じられている町長が含まれていたからでは と囁かれている。

話は変わるが、13日(日)朝、飯塚市の河川敷に 政治団体の街宣車が集結した。
その数 60台以上、その後 車列を組んで出発し、スピーカーで軍歌を流しマイクで何かを訴えながら 嘉麻市・田川市・大任町を回った。
場所によっては 警察が警戒に当たった場面もあったようだが、特段トラブルもなく午後には解散したという。

街宣車が 前述の町長の自宅前で 般若心経を唱えていたという目撃情報もあり、団体の行動が 筑豊地区の自治体で疑惑が続いていることと関係しているのではと憶測を呼んでいる。

「優先度が高い」に根拠書類なし

「国道3号広川~八女バイパス」は、令和元年(2019年)5月に 国道3号の渋滞対策区間として国交省の計画段階評価の対象となることが決まり、1年後の6月には 最終ルートまで決定という異例のスピードで進められてきた。

建設費は 約300億円(国負担200億円、県負担100億円)が想定され、福岡県下における国道整備の年間予算が150億円ということから考えると かなりのビッグプロジェクトである。
しかし、県内には約180箇所の国道の渋滞箇所があり、関係自治体や地元住民から早期整備の要望が上がっている中で、どういうプロセスで このバイパスが「対策の優先度が高い区間」として候補に上がり、その中からどういう比較検討の中から選択されたかが不明だ。

結論から言うと、概算の予算と照らし合わせた比較や当該区間のモニタリング分析、更には会議記録など 根拠書類が一つも存在していないことが判った。
以下、福岡国道事務所が公開している協議資料と情報公開請求の結果を示しながら、道路行政の闇について述べていきたい。



 

そもそも無かった広川IC以南の問題意識

福岡国道事務所は福岡県下の渋滞箇所の解消を目的に「福岡県交通渋滞対策協議会」を定期的に開催し、議事概要と会議資料を公表している。

福岡国道事務所 福岡県交通渋滞対策協議会

平成27年度第1回福岡県交通渋滞対策協議会(H27.08.26)の資料には、筑後エリアの対策方針として「久留米中心部へのアクセス道路及び環状道路、都市計画道路等の整備」と記載されている。
国道3号広川IC入口以北(久留米市方面)で慢性的に激しい渋滞が発生しているため そちらの方が主となっており、広川IC以南(八女方面)に関して特別な言及はない。
また、今後の渋滞対策の進め方について、「最新の交通データを収集・整理し、主要渋滞箇所の交通状況のモニタリングを実施」、「構築した検討体制により、モニタリング結果等を有効に活用し 地域毎の渋滞対策の検討を推進」するとしている。






この対策方針については、平成30年度 第1回福岡県交通渋滞対策協議会資料(H30.8.7)まで変わっていないことが確認できる。

 

いきなり「工業団地入口~旧立花町」が登場

ところが、平成30年度 第2回福岡県交通渋滞対策協議会資料(H31.2.20)で、何の脈絡もなく 「対策検討の優先度が高い区間」として 「国道3号 工業団地入口~旧立花町」が登場し、対策事業の候補となる。
何を根拠に選ばれたか、具体的な説明はない。







 

優先度が高い理由を問う情報開示請求

福岡国道事務所が、「国道3号 工業団地入口~旧立花町」を対策検討の優先度が高いとした理由が分からないので、令和4年8月22日付で、国交省 九州地方整備局長宛に以下の内容で情報開示請求を行った。

福岡県交通渋滞対策協議会の会議資料のうち、平成30年度第2回協議会の資料を見ると、筑後エリアでは、慢性的に渋滞が発生している区間として「国道3号工業団地入口~旧立花町」との記載がある。
筑後エリアで主要渋滞箇所が他にもあり、各地域から要望が上がってくる中で、当該区間の優先度が高いと判断するに至った根拠書類の全て。
また、優先度の決定までの手続きについて明文化されたもの、優先順位の決定にかかる透明性・公正性を確保するための規約等があればその書類。



これに対し9月21日、九州地方整備局より 行政文書不開示の回答が来た。

平成30年度第2回福岡県交通渋滞対策協議会の資料において、「国道3号工業団地入口~旧立花町」を対策検討の優先度が高い区間(5区間)の1区間として判断するに至った根拠資料は 福岡国道事務所のホームページに公表しており、当該資料以外に該当する行政文書は存在しないため、不開示とした。
優先度の決定までの手続きについて明文化されたもの、優先順位の決定にかかる透明性・公平性を確保するための規約及びこれに類する文書に該当する行政文書は存在しないため、不開示とした。


透明性・公平性を確保していない国交省

これが 国の役所かと驚いた。
当該区間の渋滞対策には数百億円規模となることが分かっているはずだが、その根拠書類がホームページに公表したものだけで、他の行政文書が存在しないとは あまりにお粗末としか言いようがない。

前述のように同協議会の資料には、「今後の渋滞対策の進め方については、最新の交通データを収集・整理し、主要渋滞箇所の交通状況のモニタリングを実施、構築した検討体制により、モニタリング結果等を有効に活用し地域毎の渋滞対策の検討を推進する」と書かれている。
それなら、当該区間についての モニタリング結果等や、構築した検討体制における議事録等、周辺と費用対効果で比較検討した結果等が存在するはずだ。

また、国交省に、道路整備の優先度の決定までの手続きについて明文化されたもの、優先順位の決定にかかる透明性・公平性を確保するための規約及びこれに類する文書がないことも判った。
優先順位を決める手続きが決まっていない、しかも透明性も公平性も確保されていなければ、政治的な圧力など外部からの関与があっても おかしくはない。

最近 国交省の役職を持つ方と話す機会があったので、次のように尋ねてみた。
「県内の国道予算は年間約150億円。このバイパス整備には最低300億円、そのうち国負担は200億円だが、工期を10年とすると年間20億円、150億円の予算うち20億円を 県南端の広川~八女の工事に使うことになり、その分他の地域の整備が先延ばしになる。長期にわたり予算も関係してくることから、『対策検討の優先度が高い区間』として 福岡国道事務所の判断だけで選択できないと思われるが、いったい 誰が どの場で協議して選択したのか。

その方は本当に知らないか、首が飛ぶから言わないのか分からないが、残念ながら回答をもらうことはできなかった。
だが 国交省内に、広川~八女を「対策検討の優先度が高い区間」に選択した主体が存在し、ブラックボックスになっていることを確信した。

まさに道路行政の闇の部分と言える。
十分な根拠書類がないことに加え、「〇〇先生がバイパスを持って来てくれた」「バイパスのことは〇〇先生に頼めばいい」など、外部からの関与を連想させる 国会議員や町長の発言があったことを合わせると、優先順位を決める行政が外部からの圧力で歪められたことが推測できる。

消費税増税も囁かれ、今後国民の生活はますます厳しいものとなる。
公平公正な手続きで選ばれた必要な道路なら文句はないが、当バイパスには300億円という予算が 十分な根拠書類もないまま 投じられようとしている。

国会におかれては、当該区間を「対策検討の優先度が高い区間」に選択した根拠を徹底追求すると同時に、今後 外部からの圧力を受け付けない道路行政の構築を提案して頂きたい。

コンプライアンス違反の疑い

広川町長が 県民の血税 収奪発言?

現在国交省が進めている 国道3号広川~八女バイパスであるが、コンプライアンスに関わる問題が出てきた。
弊社は、広川町の渡邉元喜町長が ルート決定の1年前に「バイパスを小学校に通して建て替える」と話した際の録音データを入手、確信犯的な発言は波紋を広げそうだ。

それによると、町長選挙を3か月後に控えた 平成31年1月、渡邉町長が町内の行政区の集会で4期目に挑戦を述べ、「バイパスが立ち上がるまでは責任と使命がある」と 意気込みを語ったところまでは良かった。
当時はまだバイパスのバの字もない頃、参加者は何のことかよく分からなかったというが、リップサービスからか、表で言ってはいけない裏話をペラペラ喋ってしまった様だ。

問題の発言は、「バイパスのルートはどこを通るか分からないが、一つだけ言えることがある。絶対に上広川小学校を通せというふうに言っているので、ここだけは自信持って言える。平成4年に建て替えているのでまだまだ文科省の補助金は出ないので、バイパス建設の保証金で作ろうと考えている」という部分だ。
「上広川小学校を通せ」と言った相手は福岡国道事務所と思われるが、ここだけは自信があるということで、実に頼もしい。

小学校の建て替え費用は国が3分の1を補助、町が3分の2を負担することになっているが、当時上広川小学校は築27年、文科省の補助で耐震補強工事も終えたばかりで 建て替えは有り得なかった。

しかし、バイパス建設の話が水面下が進み 予算化の目途がついたことで、小学校の建て替えを思いついたと思われる。
国が新設するバイパスのルートが小学校を通れば保証金が出る、つまり町は1円も出さずに 全額 国道建設の予算(国が3分の2、県が3分の1)で建て替えができるということだ。
広川町の皆さんは、渡邉町長の発言が「町都合の学校建て替えに、福岡県民の財布から費用の一部を収奪する行為」と指摘されていることをご存知だろうか。

その後、とんとん拍子で話が進むことになる。


結論ありき、全て帳面消し

昨日の記事を読んだという広川町在住の女性から情報提供があった。
その方も 町長選に 別の公民館で開催された町政報告会に出席しており、町長が「バイパスの本当の目的は学校を建て替えること」と述べたのをはっきり覚えているとのことだった。
バイパスの本来の目的は「国道3号の渋滞緩和」であり、聞き捨てならない発言である。

このリップサービスが功を奏したのか、平成31年4月の町長選挙で渡邉町長は4選を果たす。
元号が令和に変わった5月、国交省の有識者会議において、国道3号広川~八女間の渋滞緩和について「バイパスを含め」検討する「計画段階評価」を進めることが決定し、初めて国のテーブルに乗ることになった。

同年11月の有識者会議では、① 現道の4車線拡幅化、② 山側バイパスルート帯(帯幅は約1km)、③ 最短バイパスルート帯の3案から住民の意見徴収をしていく進め方が確認されたが、この時点においても まだバイパス建設が決定した訳ではない。



翌 令和2年5月の有識者会議において、住民アンケートなどの結果から、3案のうち山側バイパスルート帯のバイパス案に決定、それを受けて、広川町長から国交省に、地域の集落を分断しないルートを要望する文書が提出されている。
国道事務所の考えていたルートは、小学校のプールに一部に掛かる予定だったが、町長の要望を受け入れ小学校の真上を通すルートで決着した。

平成31年1月の「これだけは自信を持って言える」という町長発言から わずか1年5ヵ月で、その通りにバイパスが小学校の上を通ることになり、町は1円も出さずに国の保証金で建て替える目途がついたのである。
こんな上手い話があるだろうか。

整理すると、
町長が「小学校の上を通せと言っているので、ここだけは自信持って言える。バイパス建設の保証金で作ろうと考えている」と発言
→ 国が 計画段階評価を開始
→ 国が3つのルート案を市・町に提示
→ 国がアンケートを取るなど住民から意見聴取
→ 国が 山側ルート帯(帯幅1km)に決定
→ 町が 集落を分断しないよう国に要望
→ 国は 要望を受けて、小学校の上を通すことを最終決定

必要な手続きを経た上で 学校を建て替えるルートに決まったことになっているが、誰が見ても結論ありき、アンケートなど意見聴取は帳面消しに過ぎず、協力した住民を愚弄していると言えよう。


録音データ公開

渡邉町長の発言通り(文末に録音データ公開)、バイパスルートが上広川小学校の上を通過することになり、立て替えが内定した。
前回までに、
県民が 本来支出しないはずの 町立学校の費用負担を強いられること
国道事務所が行った手続きが 全て帳面消しで結論ありきだったこと
を 問題として指摘した。
これらは国交省と広川町のコンプライアンス違反で、第三者による調査委員会を設置するレベルの話だ。

筆者はこうした問題を引き起こす 根本的な要因が国交省にあると考えている。
それは、道路整備の優先順位を決めるプロセスが不明確で、外部から政治的な関与が可能な仕組みになっている点であるが、下記のリンク先に詳しく書いている。

→ 道路行政の闇 ~「優先度が高い」に根拠書類なし~

渡邉町長の発言は問題だが、地方の首長が国や県の予算で活性化を望むのは当たり前で、バイパス建設を利用して学校を建て替える発想自体は起こり得ることだ。
最近の公務員はそのような要望は受け付けないはずだが、こと道路行政に関しては 政治家が口を挟む余地が残っている様だ。

平成31年4月には、当時の国土交通副大臣が「下関北九州道路」を事業化に向け国直轄調査に移行する決定をしたことについて、「(安倍)総理とか(麻生)副総理が言えないので私が忖度した」と述べ、辞任に追い込まれたことは記憶に新しい。

広川~八女バイパスについても、渡邉町長が「バイパスのことは古賀先生に頼めばいい」という発言をしたことは関係者の間では有名な話、また、藤丸敏代議士(現在内閣府副大臣)にあっては 平成29年10月の衆院選の際、「古賀先生がバイパスを持って来てくれました」と公衆の面前で叫んでいる。
これは渡邉町長の発言より2年も前の発言で、水面下で古賀先生が国交省と協議をしていたことが窺える。

福岡県内の国道には 約180箇所の渋滞箇所があり、各自治会をはじめ首長や議員から、早急な整備の要望が上がっている。
しかし、一向に整備が始まらない箇所があるかと思えば、 地元の要望のなかった道路が突然予算化されたりすることが起こっている。
今回のバイパスについても 地元住民からの要望が上がったことはなかった。

本来道路の優先順位は、国と県の限られた道路予算の中から、規模や緊急性、科学的データ等を考慮しながら行政が「公平公正」に決めていくべきものだが、実際にはそうなっていない。
その仕組みを改めない限りは、今後も外部からの関与により行政が歪められ、要らない道路に我々の血税が投入されていくだろう。

まずは、国土交通省の関係者の皆さん、そして、これから予算を審議する国会議員や県議会の先生方におかれては、渡邉町長の生の声を聞いて この計画を前に進めていいか判断して頂きたい。

ー 了 ー


国道3号 広川~八女バイパスについての町長発言 録音データ

官製談合情報

田川広域水道企業団(企業長:二場公人氏)では10月31日、白鳥浄水場(仮称)機械設備設置工事の入札が行われたが、官製談合の情報がSNSで出回っている。

怪文書の類ではあるが、当入札については 弊社記事「注目が集まり始めた田川市(2022年7月28日)」で報じた入札の関連工事で、落札会社が弊社予想と一致しているので 敢えて取り上げておきたい。

11月5日現在、入札結果は公表されていないため、応札した業者数や落札した会社名、落札金額は不明、企業団事務局は「決裁中なので来週以降に公表」としている。

情報によると、落札すると見られているのは S機工、同社と副市長がこの会社が優位になる様な条件(実績・資格)で縛りを入れており、受注後は地元の紐付き業者への架空上乗せ金額で発注することを裏で約束しているという。
どこの副市長かは不明だが、発信元は「10億円以上のバラマキが〇〇建設経由で行った」など 内部事情に詳しい方の様だ。

S機工と言えば、隣町の親分と これまでも密接な関わりを持つ会社、また 筑豊地区の某自治体で浄水施設などの管理運転業務を行っていた際、別の地域で官製談合を行った事実が認められたとして 24ヵ月間の指名停止となった過去がある。
業界に詳しい関係者は、S機工ならやりかねないと話す。

今後 入札結果が公表され、本当にS機工が落札していたなら この情報の信ぴょう性が増してくるだろう。
つまり、田川地区の皆さんの血税が 一部の者に流れていくことになる。

中尾県議の本気度

ハロウィンの日の午後、自民県連内で 市長選出馬の意向を示す中尾正幸県議と、元国交官僚の津森洋介氏で一本化を目指す 鷹木研一郎北九州市議会議長の協議が行われたが平行線に終わった。
その後、中尾県議は記者団に「改めて出馬を表明したいと語った」と報じられたが、関係者の殆どが まだ流動的と見ている様だ。

中尾県議は現在5期目、自民党福岡県議団幹事長を務め 次代の県政を担うリーダーの一人と目されている。
その中で 無理に市長選に立候補して 自民県連の推薦を得たとしても、市議会自民会派は津森氏に出馬要請をしているため 実質的な支援は期待できない。
市長選で負ければ政治生命は終わると思われ、将来のある身で そうしたリスクを本当に冒すのかは疑問だ。

また、巷で囁かれていることがある。
「実は中尾県議は11月27日、市内のホテルで政治資金パーティを予定しています。会費が1万円、コロナ禍で食事がないので まるまる収入になります。市長になる可能性があると券の売れ行きが良くなるので それまで引っ張るつもりでは?」

中尾県議が かねてより意欲を示してたのは事実、前々回は北橋市長が3期目に自民からの単独推薦を受けることになり、前回は「3期12年まで」の公約を破って再戦出馬を決めたことで、2回連続で諦めた経緯がある。
ここをチャンスと見て本気で出馬するつもりなら 誰も文句は言えない。

地元では北橋市長の引退表明の先延ばしと同様、現場を混乱させる迷惑行為と見る向きが多いが、本気なら不退転の決意で挑んで頂きたい。

大臣の要請を無視・永原町長

西日本新聞が27日、発注工事の入札結果を大任町が1年以上非公表としており違法状態であることを報じた。
翌28日にはRKBテレビが、永原譲二町長の肉声データと 斉藤国交大臣のインタビューを交えたニュースを放送、笑わせてもらった。
それによると、永原町長が入札結果を公表しないのは、「落札したことが分かれば ヤクザにソーメンを売りつけられるなど たかられるので、業者が要望しているから」ということだ。


→ RKBニュース 町長「ヤクザがそうめんを1万円で売るから」

町長の発言だけに真実だろう。
だが これでは、子育てに相応しい移住先を探している若い世代は、真っ先に候補地から消去するのでは。


政治家なら若者を増やすことで街を活性化させようとするものだが、町長自らがテレビ局の記者に恐ろしい町のイメージを語ることは有り得ない。
もちろんメディアは、不都合な情報を隠蔽するための言い訳と思っている。
公表すれば 不正の証拠の山、政治生命に関わることだろう。

ニュース後半では斉藤国交大臣が当日の記者会見で、「法令違反は改善してもらわなければならない。今年6月に直ちに公表するよう大任町に要請した」と語る映像も流れた。

→ 国交省 斉藤国交大臣 会見要旨

これで 国交大臣の要請すら無視する町長ということがはっきりした。

ちなみにこの方、以下の組織のトップを務めるが、まともな運営ができているのか心配になってきた。
・ 全国町村会(会長代行)
・ 福岡県町村会(会長)
・ 福岡県介護保険広域連合(連合長)
・ 田川郡東部環境衛生施設組合(組合長)

芝浦グループ、創業者の新地哲己氏死去

芝浦グループホールディングス㈱(福岡市中央区那の津3-9-1 代表者 新地洋和氏)の創業者、新地哲己氏(現相談役)が14日、東京都内の自宅で亡くなったことが分かった。
69歳。病気療養中だった。
福岡市内で 後日お別れの会が開催されるという。

新地氏は田川郡出身、昭和52年に電気機械器具販売業を皮切りに建設業、メガソーラー事業、ホテル経営へと事業を拡大したことで知られる。

命がけの作業員の皆さんに敬意

6日、嘉麻市の国道211号の陸橋でクレーン車が横転し、運転手が怪我をする事故があった。
橋の下にある重機をつり上げる作業中、バランスを崩し逆さまになり、もう少しで橋から転落するところ。大事に至らず良かった。
クレーン車は70トン、8月に購入したばかりで、作業中に無理があれば危険を知らせるための音が鳴る仕組みもあったという。

厚労省が発表した令和3年の労働災害発生状況によると、死亡者数が867人、そのうち建設業が288人で3分の1を占めている。



令和2年の建設業における死亡災害の工事の種類・災害の種類別発生状況が下図である。
死亡災害の内訳は、土木工事と建築工事がそれぞれ4割で設備工事が2割、また 事故の型別では 墜落36.8%が最も多く、続いて自動車等15.5%、建設機械等13.6%という順になっている。



先日、国道385号、南畑ダム沿いの道を走っているとき、土砂崩れの修復工事で作業員の皆さんが 急斜面で命綱をつけてスコップで土を削り、ユンボが作業しているのを目にした。
命がけで作業に取り組む皆さんの姿に感動、心から敬意を表したいと思いました。

まるで暴〇団、擁護するのは どの議員?

眼鏡のまちとして知られる福井県鯖江市で、新設される ごみ焼却施設の入札に不正の疑いがあるとして、百条委員会が設置されると報じられた。

同ごみ焼却施設は総事業費250億円、入札に参加したのは1企業体のみ、委員会設置議案に賛成した議員からは「入札までに市や事業者などの間に 不正な工作があった疑いがある」「入札に市議が関与したのはおかしい」といった意見が出たという。
委員会では今後証人喚問などの調査が行われる予定。

鯖江市の議会は正常に機能している様で 実に羨ましい。
さて、福岡県の話。

田川地区8市町村が参加する田川地区広域環境衛生施設組合(組合長 永原譲二大任町長)が、衛生関連施設の建設を 大任町内で進めている。
「し尿処理施設(令和3年から稼働)」「ごみ焼却施設(建設中)」「最終処分場(建設中)」の3施設とそれに付随する道路整備、地元対策費などで総事業費 400億円以上(詳細不明)、組合が大任町に委託し 町の単独発注となっている。

3施設については、提案型の業者選考に応募した事業者はそれぞれ1企業体のみ、受注した企業名と契約金額は議会に説明済みだが、それ以外の事業費の内訳等は不明だ。
議員やマスコミが情報公開請求をしても、永原町長の判断で拒み続けている。



これに対し、組合の負担金を支払う8市町村の議員らが、5月に情報公開についての勉強会を開催、ところが、永原組合長(町長)と副組合長を兼ねる7市町村の首長が連名で、勉強会を呼びかけた議員に謝罪を要求する抗議文を送りつけてきた。
首長の中には 知らないところで名前を使われたという話もあるが、実際のところ 勢いに身を任せるしかない模様だ。

まさに議員の言論を封殺する行為、これについては 9月15日のRKBニュースでも取り上げられているので必見だ。
RKBニュース 「ごみ処理施設」の議論はタブー? 福岡・大任町長の不可解 議題にした田川市議「議員バッジ外せ、とどう喝された」

4年前、田川市議が委員会でごみ焼却施設の質問をしたことに対し、永原町長が「責任を取って議員バッジを外して責任取るしかない」と議員辞職を迫った時の録音データが紹介されている。
「気に入らない発言があったから落とし前をつけろ」という物言いは まるで暴力団、この方が これまでも、こうした手法で世の中を渡ってきたと思われても仕方がない。

田川地区8市町村の有権者は、情報公開を求める議員と、それでも永原組合長を擁護する議員に分かれることを認識する必要がある。
莫大な税金の使い道に関心のない議員がいるとするなら、次の選挙で審判を下すべきだ。

竣工式前に雨漏り

弊社記事「恥をかいたゼネコン・みやま市 (2022年8月29日)」で既報の みやま市総合市民センター(通称 MIYAMAX)であるが、台風14号の影響で雨漏りしたことが 20日の市議会全員協議会で報告された。

同センターは、老朽化したみやま市瀬高公民館を建て替えるとして平成28年から基本計画作成に着手、同29年に プロポーザル方式で ㈱日本設計(東京都)が設計業者に選考され、令和2年5月の入札で、中堅ゼネコンの三井住友建設㈱(東京都)と ㈱河建(みやま市)の共同企業体が建築本体工事の事業者に決定、今年7月に工事が完了していた。

10月1日開館予定で 9月25日に竣工式(開館記念式典)を控えているが、市は台風14号による避難場所として 先行して開放することを決め、18日から19日にかけて約30世帯が避難していた。
雨漏り箇所はホールのステージ近く、市の職員がバケツや布を敷いて対応したという。

7月の完了検査後、降雨の影響によるインターロッキングブロック(敷石)や透水舗装の施工に問題があると全員協議会で指摘され、業者が補修等の対応にあたってきたが、ここにきて言い訳のできないミスが露見した格好だ。

施工業者は全員協議会の場で 市議会に謝罪、抜本的な修復を急ぐ方針を示したが、企業イメージの低下は避けられないだろう。

太陽光の闇 ④ ~経産省が文書の存在を偽装?~

経産省が文書の存在を偽装?

2012年度に40円/kWhで認定を受けている 宇久島メガソーラーが運転を始めれば、再エネ負担金から 20年間で 約4800億円の収入を得ると組坂氏は試算している。
それを再エネ賦課金で負担するのは私たち国民、経産省が故意に認定を取り消さなかったのであれば看過できない。

平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧」に記載がなかったにも拘わらず、現在の事業計画認定一覧には 同事業が 2013年3月27日認定とされている。
これについて、誰もが納得できる合理的な説明が求められる。

そこで組坂氏は、「平成28年(2016年)度までの認定事業者一覧」に記載されていない事業者が いかなる方法で報告徴収を受けたのか、また 結果はどうだったかを確認するため、経産省に対し令和3年(2021年)5月11日付で情報開示請求を行っている。

1ヵ月後の6月11日、経産省が 一部の文書を除き、開示期限の延長を一方的に通知してきた。
その理由を「(要求された報告徴収は)著しく大量の文書であり、精査するのに相当の時間を要し、事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがあるため」とし、令和4年(2022年)5月12日に開示決定等をするとしていた。



1年待てという。
1年も待たされるのだから開示されると誰もが思うだろう。
ところが、1年経った今年5月12日付に「不開示決定通知書」が送付されてきた。
理由には「文書管理規則上の保存期間が満了したため既に廃棄済みであり、開示請求時点において保有していないため」とあった。

あまりにも馬鹿にした話である。
開示請求時点において保有していないのであれば、何も開示期限の延長をする必要はない。



経産省の資源エネルギー庁における「標準文書保存期間基準(保存期間表)」によると、確かに報告徴収の保存期間は5年となっている。
組坂氏が請求した2012年(平成24年)度の文書は 2018年度には廃棄されていると思われ、請求したのが2021年5月なので 少なくとも廃棄後2年以上は過ぎており、それを「著しく大量の文書」という理由で1年も待たせるのは不自然だ。

組坂氏は次のように見ている。
経産省は、初めから宇久島メガソーラーをはじめ複数の事業について、特別扱いをして 報告徴収そのものを行っていないので、そもそも文書は存在していない。
しかし表向き、報告徴収は全事業者一律に行われたとされているため、「存在しない」とは言えない。
そのため、開示請求がきた時点で「著しく大量の文書」という通知を出して 文書が存在したように偽装したのではないかと。


事実なら 認定取消し・買取価格の引き下げを

下表は、組坂氏が作成した 現在の九州管内における 認定発電出力の大きい順 1位から25位までの一覧表である。
表中、左から5列目の「認定無し」とは、「平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧」に記載がなかったことを表している。
しかし現在の、事業計画認定情報 公表用ウェブサイトでは、それらの事業者は全て平成24年(2012年)度~25年(2013年)度の日付で認定されたことになっていて辻褄が合わない。

前述のように、2013年9月に報告徴収が行われ、土地の権利が確定していないなど基準を満たしていない中小の事業者は認定取消しとなっているが、その数は 600を超えるという。
表中の殆どの事業者は、報告徴収時に土地の権利が確定していなかったことが確認されており、公平公正に徴収が行われていれば 認定取消しの対象となったはずである。

それが現在認定されているということは、何らかの特別扱いがあったと考えるしかない。
事業者名では分かりにくいが、国内の大手企業・銀行、外資などが入っており、政治的な力が働いて優遇したことも想像される。
経産省には、認定を取り消された事業者があることも踏まえ、納得のいく合理的な説明が求められる。

本来認定されていなかったはずの 表中 25の事業者のうち、10者は既に運転が開始され国民負担が発生中しており、あとの15者は運転開始前で これから負担することになる。
仮に特別扱いされたことが判明し、本来のルール(期限までに土地の権利が確定していない事業者は認定取り消し)による措置が取られればその負担はなくなる。



組坂氏は、「九州電力は、基準を満たしていた中小の事業者を故意に参入させないよう事実上接続を拒否し経産省もそれを追認、一方で 経産省は 九電の子会社も含め 大口の資本が参加した事業については 自らが決めたルールを破り認めてきた」として、現在 国と九電を相手取り訴訟の準備を進めている。

組坂氏が代表を務める 政治団体「再エネの真実を知る会」

再エネ特措法 第一条には「我が国の国際競争力の強化及び我が国産業の振興、地域の活性化その他国民経済の健全な発展に寄与する」と崇高な目的が掲げられている。
しかし、こと太陽光に関しては、一部の国内大手資本の参入を促進、または外国資本による植民地型の開発が黙認されるなど、国と政治家の無策ぶりが目立つ。
国民と国土がこれだけ悲鳴を上げているのに、太陽光関連の事業者から政治献金を受け取っている政治家も少なくない。

議員の先生方におかれては、国会の場で 過去に大手事業者に特別扱いがあったのか質して頂きたい。
仮に事実が認められた場合、運転開始前であれば認定取消し、運転中であれば買取価格を引き下げるなどの措置も考えられる。
再エネ賦課金が無駄に膨らみ 国民負担が増していかないよう、努めて頂くことを期待している。



ー 了 ー

太陽光の闇 ③ ~宇久島裏口認定の根拠 ~

宇久島裏口認定の根拠

宇久島メガソーラー事業は、佐世保市宇久島に約 480MW、国内最大規模の発電能力を誇る太陽光発電事業で、発電した電力を海底ケーブルで佐世保市に送り、一般家庭約17万3000世帯分相当をまかなうとしている。
同事業は、2012年にドイツのフォトボルト社が設立した TERASOL合同会社が主体となり、京セラ・九電工・オリックス・みずほ銀行が 約2000億円を出資することで始まった(後にフォトボルトとオリックスは撤退)。
発電設備認定を受けたのが FIT制度が始まった年度末の2013年3月27日とされているが、未だ運転を開始どころか地元漁業関係者との調整中で 本格着工まで至っていない。


宇久島メガソーラーHPより ↑

組坂氏は 情報公開請求で集めた資料を元に、「当初の事業者TERASOLが 土地の権利関係の条件を満たしていなかったのに、認定が取り消されていない」と指摘する。

最も日付の早い契約書で 2018年10月25日、それ以前にある土地の権利関係の書面は、地元区長らと交わした6801筆分についての 「賃貸証明書(リンク参照)のみということが判っている。
しかも「私有地については最終的に地権者の判断だが、地権者がメガソーラー用地として賃貸するよう協力を求める」という記述があるように、権利確定とは程遠い内容だ。

前述のように、経産省は 認定を受けたにも拘わらず 運転を開始していない事業者全てに報告徴収を行っており、もちろん TERASOLに対しても、2013年9月に通知が発送され同10月18日までに書類を提出させたと考えられる。
「土地の権利が確定していない事業者は認定を取り消す」、「権利者の証明書は認められない」と厳しく規定されていることから、賃貸証明書しか保持していないTERASOLは認定取消しになっているはずである。



賃貸証明書しか保持していないTERASOLが、認定取消しとなったことを裏付けるのが、2017年9月に 組坂氏が情報開示請求で入手した「平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧(リンク先参照)」だ。

事業者名は黒塗りで消された資料だが、一覧表の中に 出力が480MW規模の事業者は存在しておらず、この時点で TERASOLの 宇久島メガソーラー事業は認定されていないことが確認できる。

ところが、現在の認定情報を経産省のサイト(リンク先長崎県を参照)で確認すると、同事業が 2013年3月27日に「宇久島みらいエネルギー合同会社」の名前で認定を受けたことになっているのだ。



2018年11月に経産省に提出された事業計画変更届(リンク先参照)により、認定を受けた事業者が、TERASOLから宇久島みらいエネルギー合同会社に変更され事業譲渡をされたとしているが、経産省が受け付けたということは TERASOLが認定を受けていたことになり、ここに疑問が生じる。



平成28年度(2016年度)までの認定事業者一覧」にTERASOLが確認されなかったのに、なぜ2013年3月に宇久島みらいエネルギー合同会社が認定を受けたことになっているのか。

また、宇久島みらいエネルギー合同会社が認定を受けている筆数は計 11,196筆で、2013年の賃貸証明書に記載のある 6801筆とは一致しない。
その差4,395筆、これだけの筆数が追加されたということは、そもそもの土地の権利関係書類がいかにいい加減だったということだ。

更に、事業用地のうち 農地転用と林地開発の許可が必要だった部分については、2019年8月に最終的に許可が下りており、土地の権利の確定に同年前半までかかったと考えられる。

以上のことから、組坂氏は 「経産省が2013年10月に報告徴収を実施した際、土地利用について確定した書類がなかったTERASOLについて、故意に認定を取り消さなかった疑いがある」と主張する。



ー 続 く ー

太陽光の闇 ② ~FITの裏口認定を指摘する人物~

FITの裏口認定を指摘する人物

「国や電力会社による一部発電事業者の優遇が賦課金上昇の一因」と制度の闇を指摘する人物がいる。
それは、7月の参院選福岡選挙区に立候補した組坂善昭氏(74)だ。
結果は落選に終わったが、選挙戦を通じ「国が裏口認定した事業者が得る利益を国民に還元し、電気代を引き下げる」と訴えた。

久留米市内にある組坂氏の事務所を訪ね、その根拠やこれまでの経緯について説明頂いた。

2012年7月にFIT制度が開始された当初、認可申請書に添付する用地の権利書類は「取得見込みでも構わない」とされていた。
ところが、
認定を受けても事業に取り掛からない業者が続出したことから 経産省が問題視し、運転を開始していない事業者に対し、2013年から 土地と発電設備を確定したことを証明する書類の提出(報告徴収)を義務付けている。

特に、認定した場所の土地の権利関係書類の提出が求められており、「場所の決定が確認できない場合には聴聞の対象とし、認定の取消しに向けた手続きに移行する」と厳しい対応をしている点に注目だ。





下図は、2021年12月22日の経産省資料を元に作成した「事業用太陽光発電(メガソーラー)の年度別FIT認定・導入状況」である。
FIT制度スタート直後は、認定件数をはるかに導入件数が下回っていることが分かる。
組坂氏は、「その中には報告徴収の結果 認定を取り消された業者も含まれるが、これから運転開始をする大規模メガソーラー業者も含まれる。政府がそれらの業者を極秘裏に救済している、裏口認定の証拠がある」と指摘する。

それが事実なら大問題だ。
次回は宇久島メガソーラーの実例を挙げて説明する。



ー 続 く ー

太陽光の闇 ① ~電気代に事業者の儲け上乗せ~

電気代に事業者の儲けを上乗せ

急激な円安進行とエネルギーや食糧価格の高騰で、国民生活は厳しさを増しているが、電気代の値上げも続いている。
その内訳に「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」という項目があるのをご存知だろうか。

例えば、九州電力の領収書(下図)を見ると、請求額 9204円のうち 再エネ賦課金として 1055円(請求額の約11%)が含まれていることが確認できる。
これは今年度の再エネ賦課金1kWhの単価、3.45円に使用料の306kWhを乗じて算出された金額だ。



再エネ賦課金は、2012年度から導入されたFIT(再エネ固定価格買取)制度によって、 電力会社が電力の買い取りに要した費用を、電気の使用量に応じ家庭や企業が一定割合で負担するもので、メガソーラー・風力・バイオマスなどの稼働件数(発電量)の増加と共に上昇の一途を辿っている。

下図のように、買取価格は 0.22円/kWhから始まり年々上昇し、今年度は3.45円/kWh、今後も全国で自然エネルギーの発電所が稼働予定であることから、賦課金は向こう8年程度上昇を続け、最低でも4円/kWhを超えると試算されており、家計や企業経営の負担が増えることを覚悟しておく必要がある。

これが地球温暖化防止や国際競争力の強化、地域の活性化など崇高な目的のためなら我慢もできる。
しかし、昨今 太陽光発電所や風力発電所など、無秩序な乱開発による環境破壊が指摘されているほか、それらの多くが 中国や欧米等の外国資本であったり、大金を手にした業者と政治家との繋がりが報じられたりといい話が聞かれない。

再エネ賦課金の全部とは言わないが、こうした一部の投資家の銭儲けに使われている実態があるのだが、今さら気づいても後の祭り、彼らのやりたい放題を指をくわえて見ているしかないのである。


再エネに3.8兆円の国民負担

2020年(令和2年)12月7日、経産省総合資源エネルギー調査会で、「FIT制度に伴う国民負担の状況」で公表された資料は、あまりにショッキングである。

FIT制度が導入された2012(平成24年)年の再エネ比率は10%、その後 2018(平成30年)年時点で16.9%まで上がっているのだが、2020年(推計値)の 再エネの買取費用の総額が3.8兆円、そのうち 電気代に含まれる再エネ賦課金が 2.4兆円となっている。

2021年(令和3年)度の防衛費が5.1兆円なので、3.8兆円がどれくらい大きいかおわかりだろう。
再エネ賦課金だけで 2.4兆円、単純に国民1人当り2万円を負担していることになる。
地方を車で走ると太陽光発電や風力発電を目にするが、その事業者の売電収入を 私たちが負担しているのだ。
2030年には買取費用総額が 4兆円、うち再エネ賦課金3兆円まで増えると試算されており、国民負担は更に増える予定だ。



また、同日の調査会の資料によると、2020年の買取総額 3.8兆円のうち、事業用太陽光が 2.5兆円と 66%を占めている。
特に注目してほしいが、事業用太陽光のうちでも 2012年度認定から2014年度認定までの3年間に、2.2兆円 58%と集中していること、つまり 再エネの国民負担の6割近くが FIT制度開始3年以内に認定をもらった太陽光事業者に偏っているのだ。



なぜそのようなことになったのか。
それは 東日本大震災後、太陽光発電の普及を急いだ政府(当時民主党)が、制度設計が不十分なまま FIT制度を導入したことに要因があると言われている。

2012年の買取価格が 40円/kWh、13年 36円/kWh、14年 32円/kWhと 高く、目利きの利く事業者や投資家は、この期間に一斉に太陽光事業に参入、土地を確保し認定を取得し権利を確保している。
認定を受けた事業者は、いつ事業を始めても向こう20年間は 認定時の買取価格が保証されるというのが、制度の最大の欠陥だった。
その後、権利だけ確保し 設備投資の費用が安くなるのを見越して着工しない業者が多く見られたことから、2015年に制度が見直された経緯がある。

買取価格は下降を続け 今年度は 11円となり、もはや新規参入をするところは激減しているが、今なお 開発にあたって住民トラブルなどのニュースが報じられている。
それらがこの3年間に権利を確定させた業者、或いは 事業を引き継いだ業者と言われている。



ー 続 く ー

利権絡みの議案、都合のいい報告で「了承」

9月1日、福岡県都市計画審議会がわずか4日間の周知期間で電撃開催され、利権疑惑を残したままの議案が「了承」されていたことが判った。

同審議会で審査されたのは、「国道3号 広川~八女バイパス」の都市計画道路への追加に係る議案について。
昨年2月に開催された同審議会において、委員(県議)数名から 「住民説明が不十分」、「広川町には期成会もないと聞いている」「最初から決まっていたルートをトレースしている」、「数年前にバイパスを当てて学校を建て替えると言った人がいてその通りになっている」となどの指摘があり、採決が保留され誰も触りたくない案件だ。

しかし、さすがに1年以上が過ぎ、業を煮やした先生がおられたのか、夏頃から遅れを取り戻すかの様に急に進みだした。

5月27日には 地元の首長や議員らで構成される「一般国道3号(広川~八女)バイパス整備促進協議会」、いわゆる期成会の第1回総会が開催され、「広川町に期成会がない」との指摘はクリアされた。

次に「住民説明が不十分」という指摘に応えるため、8月17日に八女市、19日に広川町の会場で、福岡国道事務所と県都市計画課、八女市・広川町が共催で 住民説明会を実施することになった。
ところが、そこで住民からは反対意見や疑問が噴出、行政側からは明確な回答ができないまま終了、それについては弊社記事「質問に回答できない説明会」で詳しく報じている。

質問に全く回答できていなかったため、住民側は もう一度説明会があると信じていたが、期待はあっさり裏切られた。
19日の住民説明会のわずか1週間後の8月26日、県のホームページに 9月1日の都市計画審議会開催のお知らせが掲載される。
告知から開催まで 土日を挟み4営業日しかなく、周知期間としては余りに短い。

こうして開催された審議会では、「国道3号 広川~八女バイパス」の都市計画道路への追加に係る議案が議題となり、都市計画課から委員に対し、昨年の指摘事項が解消されたという報告が一通りあったが、肝心の「最初から決まっていたルートをトレースしている」、「数年前にバイパスを当てて学校を建て替えると言った人がいてその通りになっている」ことについての説明はスルーされた様だ。

採決の結果 「了承」となり、晴れて県の手から放れることとなった。
しかし、審議会が開催されたことを後から知らされた住民から、説明会での質問に回答しないまま 直ぐに審議会を開催し、審議会の委員に都合のいい報告がされたことに、「姑息」「不誠実」と怒りの声が上がっている。

ボールは福岡国道事務所に戻され、今後 2ヵ月以内を目途に、国交大臣協議を経て決定告示が出される予定、利権絡みの指摘に説明がないまま、最低 300億円(国200億円、県100億円)の血税投入に一歩近づくことになる。

南国殖産、永山社長はご存知か?

資源エネルギー庁が公開している「事業計画策定ガイドライン(バイオマス発電)」には、「地域との関係構築のために、計画の初期段階から地域住民に十分配慮することや、説明会の開催で理解を得られるよう努めること」が明記されているが、当たり前のことだ。

弊社記事「前代未聞!住民説明ないまま火力発電所着工(2022年8月8日)」で報じた通り、南国殖産㈱(鹿児島市、代表者 永山在紀氏)は、初期段階から住民説明会を開催せず、いきなり着工した。

同社は鹿児島では誰もが認める優良企業で、福岡県内でもガソリンスタンドを店舗展開、これまで悪い話は聞こえてこなかったが、こと 田川バイオマス火力発電所の計画においては、国のガイドラインを軽視したと言えるだろう。



ガイドラインを守らないことも問題だが、同社が国に虚偽の報告を行っているというコンプライアンス上の問題が指摘されている。
それは、令和2年3月31日付で南国殖産から 経産省九州経済産業局宛に提出された「バイオマス燃料の調達及び仕様計画書」だ。

その中の「燃料供給者等関係者との調整状況、(6)地域社会に対する対応」という欄に、「令和元年11月7日(第一回)近隣住民説明会を開催、煙や火災、騒音への懸念があったが丁寧に説明を行い理解を得られた」という記載がある。

ところが、実際は全く違ったというのだ。

その日参加したのは、地元3区の区長が各1名、しかも 酒宴の席で なぜか糒地区の農事組合長がビールをついで回る中、南国殖産の社員からバイオマス火力発電所を建設したい旨の説明があった。

区長らは、「こんな大きな話は自分で抱え込むことはできない。恐らく住民の皆さんは受け入れられないと思う。速やかに住民説明会を開催してほしい。」と伝えている。
一方で、南国殖産からは「事業計画は案の案なので口外禁止、資料の無断開示・転用も禁止。」と念を押された上、「速やかに住民説明会を開催し、懸念事項の解消に努める」と回答があったという。

情報開示請求で、以上のやり取りについて「近隣住民説明会を開催…丁寧に説明を行い理解を得られた」と 国に報告していたことが判ったのだが、これでは公文書で虚偽報告と言われても仕方がないだろう。



国への虚偽報告が指摘されている南国殖産だが、代表取締役の永山社長はこうした一連の出来事をご存知ないのではなかろうか。
なぜなら、同社の公式ウェブサイトに掲載されているビジョンと、実際に起こっていることに かなりの乖離があるからだ。

グループ経営基本理念 及び 行動憲章を読むと、企業を成長させて社会に貢献していきたいという 社長の熱い想いが伝わってくる。

南国殖産のビジョン「グループ経営基本理念」「グループ行動憲章」

そこには、
「環境に重視した豊かなまちづくり暮らしづくりに貢献」
「社会規範を遵守することは勿論、高い倫理観・道徳観に立って自らの行動を律する」
「お客様の声を真摯に受けとめ、誠意をもってお応えします」
「社会に信頼され成長し続ける企業を目指します」
と素晴らしい言葉が並んでいる。


だが、今 田川市で起こっていることは、
「地域住民の住環境を悪化させ まちづくりと逆行」
「国に虚偽の報告を行い 社会規範・倫理観・道徳観が皆無」
「住民の声は受け止めず、応えようともしない」
と真逆の行為ばかり。
地域住民は、「初期段階から情報が隠蔽され、着工して初めて発電所が建つことを知り、騙し討ちをされた」と感じている。
これでは社会に信頼され成長することはできないのでは。

恐らく、経営基本理念 及び 行動憲章に反する行為が 田川市で行われてきたことについて、永山社長の耳には入っていないはずだ。
この状況が一刻も早く社長に伝わり、企業イメージが低下しないよう 適切な対応が取られることを切に願っている。

大任町から出た違反盛土の全容

添田町民を土砂災害の不安に陥れている盛土の全容が、県への情報開示請求等で判った。

土砂の埋め立ての許可を得ているのは 個人、開示請求では氏名と住所が黒塗りで出てきたが、現場の標識や看板には、許可を受けた者として 「永原譲太郎」氏の記載がある。
土砂埋め立てを行う期間は 平成15年2月18日から令和5年7月31日まで、土砂埋め立ての工事の施工は 有限会社譲(大任町)が行うことになっている。



令和4年6月20日付で 提出された土砂埋め立て等状況報告書によると、
土砂埋め立て区域の全体面積は 8万4808㎡、埋め立てを行う面積は 7万7058㎡、許可を受けた最大土砂量が 74万7006㎥、このうち令和4年4月18日までに 68万3576㎥が搬入されており、その割合は 91.51%とされている。



さて、問題は高く積み上がった盛土部分である。
これについては、令和4年6月15日付で 許可を受けた者から県に顛末書が提出されている。

そこには、① 区域外に4500㎥の土砂を搬入したこと(下図 赤色エリア)、②計画高を平均6mほど超過したこと(下図 黄色エリア)が報告されていた。
つまり、現在の状態は 県条例違反ということである。

顛末書には、その原因を「許可地北側への埋め立てが追いつかず、南側平坦地に仮置きしたまま、許可時の高さを超えてしまった」と弁明、北側とは緑色エリア、南側平坦地とは黄色エリアを指している。

下図①の黄色エリアが約8000㎡×4m超過で 体積 約3万2000㎥、②の黄色エリアが 約2万㎡× 6m超過で体積 約12万㎥、合計で 約15万㎥は違法に積み上げたことになり、仮置きというレベルの話ではない。
専門家は確信犯ではと指摘する。




条例違反状態の添田町の盛土であるが、今後については 永原氏が顛末書の中で、「計画を超過した土砂を来年1月までに許可地内の緑色エリアへ移動させ、また、違反行為の是正作業が完了するまでは新たな土砂の搬入はしない」としている。



県の説明によると、下写真の緑色の植栽シートの上端から上1~2mまでが許可を受けた高さという。



それより上の部分の 平均6mが 違反した部分で、今後 下写真右側(緑色エリア)に移動することになる。
県としては、違反行為が是正されれば 土砂災害の危険は無くなるという認識だ。
また、永原氏も指導に従い違反状態を是正しようとしているので、これ以上の処分や罰則を与える予定はないという。



昨年7月に起こった熱海の土石流以降、下流域の住民から災害を心配する声が上がっていたが、その不安を払拭しようという動きは鈍く、弊社も「怒る不動明王(令和4年6月6日)」という記事で報じた。

その後、偶然かもしれないが、6月15日付で永原氏が県に顛末書を提出し、事態が動き出している。

今夏、幸いにして添田町に災害級の線状降水帯は来ていない。
ちなみに、昨夏の熱海の盛土は総量7万4000㎥、うち5万4000㎥が大雨で崩落し、土石流(5万5500㎥)の97%を占めていたとされる。
この場所の盛土は、総量約68万㎥、うち 高さ超過の違反盛土が 約15万㎥(推計)である。
仮に災害が起これば、その量からして 熱海より大きな被害が出る可能性もある。

本来なら 政治家が積極的に動くべきところだが、昨年9月議会で山本文隆議員がこの件で質問をした以外、他の町議から問題視する声は聞かれなかった。
盛土の管理は県の管轄で、こういう時こそ地元県議に体を張ってもらいたいのだが、県議会の会議録を見る限り、質問した形跡は見られない。


危険がすぐそこにあるのに 行政も政治家も沈黙している。
ある町民は「現場が隣町の親分と関連があるから」と諦め気味に話した。




9月18日から19日にかけて、台風14号が西日本各地に爪痕を残した。
中心部が飯塚市付近を通過、添田町では 12時間降水量が 345.5ミリに達し、18日の降雨時には現場から泥水が公道に流れ出ているという報告もあった。



21日、盛土の下側の集落を取材した。
大雨の中 緊張しながら過ごしたという。

下は 6月2日と9月21日の盛土を比較したものだが、形状が変わっている。



黄色の枠で囲んだ部分に かなりの土砂が増えているように見えるが、永原氏の顛末書にある「超過した土砂を許可地内の緑色エリアへ移動」ということの様だ。

心配なのが 白色の枠で囲んだ部分、植栽シートが陥没しているように見えるが土砂の流出はないのだろうか。
県の担当に尋ねたところ、「確かにシートが破れて土砂が流れたが、敷地内に留まっており問題はない」とのことだった。



また、写真(下)では よく分からないが、高さが6mオーバーしていた盛土については、県が 計画の高さまで下げたことを確認し、9月5日付で 土砂の受け入れ再開を許可したという。

集落の方の中には「県議からは何の報告もない」と呆れ気味に話す方もおられたが、現状は 法令違反も解消し「安全性に問題はない」という県のお墨付きも出ているので安心して良いようだ。

町長選挙始まる

本日 鞍手町長選挙(9月4日投開票)が告示され、午前9時現在、現職の岡崎邦博氏(67)と 元教育長の栗田ゆかり氏(67)の2人が立候補の届け出を出している。

岡崎氏は町議5期目の途中、前町長が公共事業の発注をめぐる官製談合事件で逮捕され、同30年9月の町長選挙で初当選を果たし現在1期目。
町政への信頼回復に努めた4年間だったが、役場庁舎建設計画では当初現計画での建て替えに難色を示しながら途中から容認に方向転換、計画に遅れが生じた。
そうこうしているうちに資材価格が高騰、今月行われた入札も不落となり、未だ目途が立っていない。



栗田氏は教員畑を歩み、平成27年に鞍手町立古月小学校校長を最後に退職、同30年6月から令和2年10月まで、鞍手町教育委員会教育長を務めた。
立候補を決めたのは 選挙まで2ヵ月を切った7月4日のこと、「現在の町は空気がよどみ風通しが悪い。町政に町民の声が届いていない」と現町政の課題を共有する仲間に背中を押されたという。

町には、鞍手インターチェンジの周辺や北九鞍手夢大橋の道路などのインフラ整備、企業誘致の課題、そして、少子高齢化と人口減少に直面しており 今後1つに統合される小学校のあり方等やるべき課題が山積している。
リーダーには、「都市づくり」と「ひとづくり」の両立が求められている。

(左:岡崎邦博氏、右:栗田ゆかり氏)

恥をかいたゼネコン・みやま市

みやま市では、総合市民センター(通称 MIYAMAX)の竣工式が 9月25日に予定されているが、検査後に降った大雨の影響による不具合が見つかったことで市議会から指摘があり、施工したゼネコンM社が対応に追われている。
駐車場の水たまりの発生やコンクリートブロックの施工法等についてであったが、一部不具合が出ていることを認め 8月末を目途に補修作業中である。

ところでそのM社、上記が指摘された8月12日の全員協議会において、別件で恥をかくことになった。
同センターの施工は、令和2年5月に建築、電気、機械の3つに分離発注され、そのうち建築を M社が最低制限価格と同額で落札した。
折しも第1回緊急事態宣終了直後の入札であったが、その後、中国のロックダウン等で資材が高騰や納期の遅れが生じ、想定した利幅が圧縮したと思われる。



同センターの工期は今年3月末だったが、資材調達の遅れ等を理由に、M社は市に3ヵ月間の工期延長を要望、市長がそれを受け入れた。
市には追加費用は発生しなかったが、その煽りを食ったのが電気工事を受注していたS社(東京都)と地元2業者のJV、主に人件費として約2300万円の追加経費がかかった。

当初の約束では M社が S社に支払うことになっていたそうだが、資金に余裕がなかったM社が支払いを拒んだ模様、その結果JVの地元業者にも経費が支払われなかったため、地元業者から市議に「賃金未払いが生じている」と相談があったという。

8月12日の全員協議会は、検査後の不具合についての協議で、市長、教育長、設計会社、そしてM社も出席していたが、市議から 「公共工事で地元業者に賃金未払いが起こっている。市長が工期延長を認めたからだ。責任をもって対処すべきだ」との指摘があった。
それに対し 市長は「民民の話なので関知するところではないが、支払われたと聞いている」と答弁、しかし、その場で議長が事実確認のため業者に電話で確認したところ、その日の時点で 地元業者に支払いがされていなかったことが判った。

後日、地元業者に支払いがあって一件落着したという話だが、上場企業のM社が2300万円をけちったことが 白日の下に晒されてしまった。
ひと昔前なら許されたかもしれず、同業者の関係者からは同情する声も聞かれる。
だが、「支払いは最優先で対処する」という 当たり前の話である。

質問に回答できない説明会

国道3号広川八女バイパスについての住民説明会が、福岡国道事務所、福岡県、八女市・広川町の共催で開催された。
都市計画審議会で再議するための説明会のはずであったが、行政側に明確な回答ができる責任者の出席はなく、住民側の質問に対し、故意か本気か 的外れな回答に終始しストレスが溜まる結果となった。

回答がなかった点を以下に記す。

1.集落分断に関するダブルスタンダード

17日の八女市の説明会では、忠見・大籠地区の住民から 「なぜ地域を分断する道路を作るのか」「ルートをもっと東側にずらせないのか」という質問が相次いだが、国道事務所は「古墳・大茶園・鉄塔」を避け極力影響を小さくして考えたルートという説明を繰り返した。

しかし一方で、「広川町のルートを決めるにあたっては、町から集落の分断を避けてほしい旨の要望を受け 上広川小学校の上を通した」という説明をしており、「広川では分断を避けるのに、忠見・大籠地区は分断するのか」と怒りの声が上がった。

明らかなダブルスタンダード、住民の言い分はもっともで、納得できる回答がないまま強行すれば、訴訟になったときは行政側が不利になると思われる。


2.審議保留の問題が解決していない

19日の広川町の説明会で、県都市計画課に対し次のような質問が出た。
「都市計画審議会の会議録を確認すると、委員から『ずいぶん前からこのルートについて話があり、ピタッとその通りになっている』、『数年前から 小学校にバイパスを当てて建て替えると言った人物がいる』、『決まっていたルートをトレースするような話は県議として指摘せざるを得ない』と発言があった。それが事実なら大変な問題だが、都市計画課の方で確認はしないのか。」

これに対する回答は、「発言の内容について事実確認する術がない。今のところはそれ以上の内容は承知していない」ということだった。
まさか、事実確認をしないまま審議会で再議するのだろうか。

これは、個人によって行政が歪められた重大事案、事実であれば 後々 刑事事件に発展する可能性も孕んでいる。
県職員なら 委員(県議)が指摘をした事項について、もう一度聞かれることを想定して 回答を準備するはず。

当時、市長の指示で ルートの原形を描いた職員OBが、必要なら証言すると言ってくれている。
また、町長が選挙の集会で、「バイパスを通して上広小を建て替える。これは私にしかできない」と豪語していたのを 町民が確実に聞いている。

事実確認する術はある。


3.久留米市までのバイパス整備が必要では

19日の広川町の説明会で、「このバイパスは広川町のためになるのか。通勤通学の面で、むしろ 久留米市へのバイパス整備が必要ではないか」という質問が出た。
これに対し、広川町の副町長は「工業団地や道の駅の整備で町の活性化に繋がる」と回答、久留米市内へのバイパス整備についての回答はなかった。

2012(H24)年から福岡国道事務所では毎年 「福岡県交通渋滞対策協議会」を開催し、県内の交通渋滞状況を把握し、渋滞の著しい箇所について交通の円滑化を図るために継続的に協議を続けている。
2017(H29 )年8月に開催された会議の資料には、筑後エリアの対策について 3ページにわたって説明があるが、久留米市内に流入する車による渋滞対策が主で、方向性として「久留米中心部へのアクセス道路及び環状道路、都市計画道路等の整備」が掲げられている。

少なくとも、2018(H30)年8月に開催された会議までは、正常に進められてきたと言える。
ところがその半年後、2019年(H31)2月の会議で風向きが変わった。
藤丸議員が「古賀先生がバイパスを持って来てくれました」と叫んだ 2017(H29)年以降、周到に準備されてきた 広川~八女バイパス化が いきなり顔を覗かせる。



 

4.誰がいつ優先順位を決めたのか

広川町の説明会で、3の久留米までのバイパス整備の必要性に関連して「誰がどういう理由で いつバイパスの優先順位を決めたのか」という質問があったが、その場で回答はできなかった。

下図は2019(H31)年2月に開催された会議資料で、筑後地域の対策方針である。
慢性的に渋滞が発生している区間について、「バイパス整備、拡張事業等」で対策するとしている。



続けて、対策検討の優先度が高い区間として、「国道3号 工業団地入口~旧立花町」が初めて登場する。
同区間は広川から八女方面の区間で、それまで毎年確認されてきた「久留米中心部へのアクセス道路及び環状道路、都市計画道路等の整備」という渋滞対策の方針から逸脱している。

確かに、期成会や広川町・八女市からの要望があったのは事実だが、至るところから要望が出ている中で、なぜ それまでの方針とは異なる区間が、「優先度が高い区間」として突如現れたのか、そこの説明が不足しているのだ。



「誰がいつ優先順位をどうやって決めたのか」という質問に 国道事務所は回答できなかったが、それは意図したものではなく 本当に知らないと想像している。

平成29年の衆院選で藤丸議員が「古賀先生がバイパスを持って来てました」と叫んで以降、物事が動き出したのは事実なので、地元では「平成29年に古賀先生の政治力で決まった」と受け止められている。

まずは 藤丸議員、いや 藤丸内閣府副大臣におかれては、国交省が事業化を進めようとするのであれば、古賀先生の関与があったのかどうか、内閣の一員として 自身の発言の「真意」について説明が求められる。



そして国交省、優先順位の決定に政治家の関与があるとは言わないだろう。
行政の判断だけで決めるというなら、どういう比較をして何を根拠に決めたのか、そのスキームなどを含めて明らかにするべきだ。

このことは、国道予算の3分の1を負担する県においても同様である。
上表をみると、県道路建設課長と県八女県土整備所長が検討会に出席して、平成31年3月にバイパスを作る方向性に同意している。
事業化すれば 県の道路予算 100億円を使う事業である。
県知事、県議会の了解なく、この2人に決める権限が与えられているのか。


絶対にない。




以上、「質問に回答できない説明会」というタイトルで、4点挙げた。
住民の質問に回答していないことが音声で記録されている中で、県都市計画課がどういう形で審議会に差し戻すのかが注目される。
行政の裏を知る元国家公務員は「何か理由付けをして想定外の形で審議会を開催し、 ウルトラCを使って強行突破するのでは」と悲観的だが、私は全体の奉仕者たる職員の良心を信じたい。

最後にお金の話を。

このバイパス事業は最低でも300億円、向こう10年にわたり 支出が続く事業、年間30億円、そのうち国負担が20億円、県負担は10億円となる。

県内のバイパスを含む道路改築事業に年間、国は約150億円、県は 約160億円の予算でやりくりしている。
そうすると、毎年 国予算150億円のうち20億円、県予算160億円のうち10億円が このバイパスに優先的に取られ、その分 県内主要渋滞箇所の整備が先送りとなる。
財政がひっ迫する中、選挙区から道路整備の要望を直に受けている国会議員や県議の先生はもちろん、現場を知る行政職員の本音は いかばかりか。

さて、不正を嫌う公明党の 斉藤鉄夫国土交通大臣、この福岡の地で、誰も本音を言えないまま、300億円バイパスが予算化されようとしていることを ご存知ですか。

ー 了 ー

利権まみれ、それでも進めますか?

再び動き出したバイパス計画

昨年2月の 県都市計画審議会において、国道3号バイパス(広川~立花)の新規ルートが議題に上がったが、複数の委員(県議)から住民説明の不足などの指摘があり審議保留となった。
国が進めようとしている事業が県の段階でストップするのは前代未聞、この1年半の間、誰も触れない状態で膠着状態が続いていた。

それまで、「バイパスについては古賀先生に頼めばいい」と豪語していた当該地区の首長も ようやく事の重大さに気づきプライドを捨てざるを得なかった模様で、慌ててバイパス化に向けた期成会を結成、ここに来て再び動き出した。
8月17日に八女市、19日に広川町で、福岡国道事務所、福岡県、八女市・広川町の共催で、住民説明会が開催される予定で、住民の対応に注目が集まっている。

総事業費は 当初試算で300億円、ある衆院議員は 600億円はいくという話を土木業者に吹聴して回ったそうだが、本当に 必要な道路なら作ればいい。
しかし弊社では、2020(R2)年10月から翌年1月にかけて、「歪んだ3号線バイパス」というタイトルで利権絡みの出来レースとして連載、バイパスの必要性に疑問を呈してきた。

審議会においても弊社記事を取り上げて頂き、委員にも問題が共有されたはずだが、動き出したとあっては黙っておく訳にはいかない。
問題が解消した訳ではなく、我々の血税が一部の得をする者に流れていくことになる。
改めて利権の部分に絞り、政治家、国道事務所・県庁・八女市・広川町の職員、そして住民の皆さんに向けて説明するので、それでも進めるのか、今後の判断材料にして頂ければ幸いだ。



 

古賀先生が持って来てくれました!

バイパスの話が以前からあったのは事実で、毎年 国道3号期成会(鳥栖市・基山町・久留米市・小郡市・広川町・八女市)は、渋滞の激しい久留米市上津町から八女市立花までの区間のバイパス化を国に要望していた。
ところが、2017(H29)年11月の要望書では上津町から広川を除外し、広川~立花までの区間をバイパス化するという内容に変わる。
水面下で事業化が決定したと推測される。

なぜ渋滞区間の上津町から広川が省かれたかは不明だが、政治の力で決まったことを裏付ける現職議員の発言がある。
2017年10月の衆院選挙の演説会場で、福岡7区の藤丸敏議員が「古賀先生が3号線バイパスを持ってきてくれました!」と叫んでいるのを多くの聴衆が耳にしている。
当時、現場にいた人の話では、何のことかよく理解できなかったという。

それもそのはず、一般の人には初めて聞く話、藤丸議員には自民党の政治力をアピールする狙いがあったかもしれないが、正式には決まっていない段階で、特定の政治家名を挙げて道路予算を確保したことを公言したのは 取り返しのつかないミスだ。

仮にバイパスが完成すれば、八女市民や一部の広川町民には多少恩恵があるだろうが、久留米市民には殆どメリットはなし、逆に上津町から広川までの渋滞解消については 先送りされたことを意味する。

また、広川から立花までは、県道82号(久留米立花線)が整備中で、同じ目的で 県道とバイパスを平行させて整備するのは無駄という指摘もある。
更には福岡県議会においても、苅原交差点、上津荒木交差点、二軒茶屋交差点を整備していく必要があると道路建設課長が答弁しているように、久留米市内において 国道3号で懸案となっている渋滞箇所があり、バイパス化による費用対効果がそれらと比較検証されたかも疑問だ。

まず、福岡県全体の利便性を考える政治家や行政職員、そして 久留米市民、広川町民、八女市民の皆さんにおかれては、限られた 300億円もの予算を 本当に このバイパスに使うことが最適かどうか考えて頂きたいと思う。



 

ルート決定までの表向きの経過

下表は、バイパス化が 国の事業としてテーブルに乗り ルートが決まるまでの「表向きの経過」である。
藤丸議員が「古賀先生がバイパスを持って来てくれました」と叫んだのが2017(H29)年10月なので、全てその後の出来事、事業の必要性を帳面に残すためのアリバイづくりだ。



初めて 国道3号期成会から国に、「広川から立花まで」のバイパス化の要望書が正式に提出されたのが 2017(H29)年11月、改めて注目してほしいのは、2019(R1)年11月時点においても 国の方では「4車線拡幅」を検討していて、バイパス化が決定事項ではなかったこと、そして、2020(R2)年5月になって「山側ルートのバイパス化」に絞り込まれ、6月に最終ルートが決定したことである。
この間、何も知らない市民・町民の中には、もし自分が所有する土地を国道が通れば国が買い上げてくれる、そんな淡い期待を抱いた方もおられたのではなかろうか。



しかし、これは初めから出来レース、市民・町民は茶番劇に付き合わされただけだった。
八女市役所で「本地区を通るのが大前提」に ルート原案が作成されたのが2009(H21)年、いわゆる山側ルートだ。(詳細は次回)

その後、2014(H26 )年頃から現実味を帯び、2017(H29 )年には水面下で山側ルートで事業化がほぼ確定したことが推測される。
以下、その根拠について述べる。

 

広川町の3つの事例

以下に広川町の3つの事例を挙げる。

事例1.上広川小、移転先候補の農地取得(2014年10月)

今回のルートは、上広川小学校の校舎を横切るため 建物を移転建築することになっている。
当初 国が提案したのは プールの一部にかかるルートだったが、2020(R2)年5月に 広川町から「バイパスによって集落が分断されるのを避けたい」「学校の真横に盛土のバイパスが走ると、教育環境としてよくない」という要望があり修正に応じている。

だが、これこそが出来レース、2019(H31)年4月の町長選挙の集会で、渡邉元喜町長が「バイパスを通して上広川小学校を建て替える」と発言しており、最初から決まっていたことが地元の人なら誰でも知っている。
このことで、町は負担なしで小学校を建設でき 業者も潤うので、地元からは異論は出ていない。




現在地から距離が離れておらず 十分な面積がある場所というと、地図上でも候補地が限られる。
2014(H26)年10月、町長と親しい不動産屋が 移転の有力な候補地と思われる農地 約1000坪を取得し、以後他人に米を作らせている。

地元では なぜ不動産屋が農地を購入したのか憶測を呼んでいたが、国の計画段階評価が決定した後の2019(R1)年9月、アパートか住宅を建てるという理由で 農振除外申請を行い開発の準備を進めている。
この場所に小学校が移転してくれば、ただ同然で買った土地が かなりの値段で売れるのは確実だ。

事例2.広川町日吉で農地の大規模造成(2017年9月)

始めたタイミングと開発理由の稚拙さで笑えるのが、広川町日吉の開発行為だ。
場所は県道82号(久留米立花線)、広川インターから東に来て突き当たったT字路の東側の小高い丘である。
元からバイパスの起点になる可能性もあり、目利きのきく不動産屋なら手を付けたい場所だ。
当該用地の一人の地権者によると、この場所は20年以上前から「事例1」の不動産屋が全ての地権者から委任を取り付け、開発する算段を整えていたという。



藤丸議員が叫んだ年の 9月27日、地権者名で開発行為の申請が農業委員会に提出されている。
目的は果樹園を作るための農地の改良、3年間で 約1万400平米の山林から、土砂約2万5000立米を採取し、梨の木 約48本、梅の木 約15本を植栽するという計画で、造成費用は約1200万円とされている。

梨の木 約48本、梅の木 約15本のために 1200万円かけて造成すると聞いて、素直に信じる者はいないと思われるが、農業委員会で問題視されることはなかった様だ。
現在は 苗木が植えてあるが、実がなるまであと何年かかるやら。
一つ言えるのは、今すぐにでも道路や工場に転用できる農地に変わったということである。




事例3.ルート上の農地を取得(2017年7月)

同じく、藤丸議員が叫んだ年の7月31日、農地 約1000坪(下図の緑色の2ヶ所)を購入した人物がいる。
建設資材を販売する事業者で 事例1の不動産屋とは旧知の間柄だ。

農地の売買は営農意欲の高い人に許され、広川町農業委員会の内規では「所有権移転後3年間は農業を行う」とある。
しかし、現地(写真)を見る限り意欲はなさそうだ。

以前の所有者は、「相続した土地だが、遠方に住んでいて管理できないので売却した。バイパスが通ることが分かっていれば売らなかった」と話した。



 

私的要求から始まったバイパス

以下は、取材で職員OBらから聞き取った内容をまとめたものである。

1977(S52)年から4期務めた斉藤清美市長は、八女市本地区を開発して工業団地を作る「八女市東部開発構想」を掲げていた。
工場を誘致するには、広川インターから同地区までのアクセス(約 6km)が課題で、バイパス整備の話はこの時代まで遡る。
同地区に住む土地ブローカーのT氏は、当時から土地の買収話をまとめる力に長けており、自宅の近くに工場を誘致し成功させている。

1995(H5)年に野田国義市長に変わってからは同構想は立ち消えとなったが、T氏の事業意欲は衰えることなく本地区の周辺の農地や山林を積極的に買収し、地元住民の反対をものともせず、農業委員会をうまく丸め込めながら 産廃処分場の誘致を実現させている。

2008(H20)年11月、野田氏が国政に転身し、代わって市長になったのが県議会議員だった三田村統之氏、旧知のT氏は早速バイパスを本地区に持ってくるように要求している。
三田村市長は市長になる前から金欠病でT氏に弱みを握られていたというのは地元で知られた話、というのも T氏本人が事あるごとに「三田村に金を借りてることをバラすと言えば何でも言うことを聞く」と知人に話しているからだ。
実際、八女市本地区の市道は近隣と比較にならないほど整備が行き届いており、職員はT氏の対応に苦慮してきたという。

当時のバイパスルート作成の経緯を知る職員OBは、弊社の取材に応じ、「T氏から市長に圧力が掛かっており、2009(H21)年、市長から職員にバイパスのルートを作るよう指示があった。T氏の土地を必ず通すことが前提で、民家をなるべく避けるようルートを考えていた」と語った。

その時描いたルート原案と 現在の国が示した山側ルートを比較したのが下図である。
後述するが、黒い円がT氏が不動産情報としてホームページで宣伝している箇所である。



これは衝撃的な話である。
国・県・八女市・広川町、そして住民を巻き込んで動いているバイパス計画が、たった一人の私的要求によって始まったというのだ。
翌2010(H22)年には、T氏が「3号線バイパスは俺が持ってきた」と自慢して話すのを地域の知人や業者が聞いているので、前年の要求に対して 前向きな回答を得ていたものと思われる。

それを証明するのが下図だ。
2011(H23)年3月に八女県土整備事務所が作成した今後の整備箇所等を記した管内図には、職員が描いた原案通りのルートで「国道3号バイパス事業」と明記されている。



 

ルート決定前にホームページで告知

藤丸議員が「古賀先生がバイパスを持って来てくれました」と叫んだ翌2018(H30)年5月、八女〇〇開発株式会社という法人が設立されている。
代表者はT氏と市職員OBのJ氏、同社が同年6月、現在の不動産売却物件情報で「八女北部工業団地」としてホームページに掲載したのが下図で 円で囲んだ部分が対象となっている。



藤丸議員が口を滑らしたことを除けば、表向きにはバイパスの話は一切ない時期、ホームぺージには「国道3号線バイパスの開通(来年着工予定)」と記載されていた。
現在ホームページは削除されているが、T氏は丁寧に、バイパス化が決定される前の段階でバイパス情報を入手していた証拠を残している。



2019(H31)年3月、国が「広川八女地域の幹線道路に関する検討会」でバイパスの概略ルート・構造等検討に着手する準備を進めることを決定した後、T氏は土地の取得を加速させ農業委員会の許可もないまま大規模造成を始めている。



下図、ピンクの線が 今回決まったルート、黒い円が 八女北部工業団地として同社が示した範囲、黄色がそのT氏が買収に掛かっている地域、緑色が造成している地域を示しているが、これは偶然ではなくT氏の要求に従った必然である。



 

それでも進めますか?

T氏の要求通りのルートで事業化は最終決定目前である。
農地の大規模開発は終わり 今すぐにでも工場用地に転用可能で、莫大な利益を手にすることになる。
本当にこういうことが まかり通っていいだろうか。

2009(H21)年にルート原案作成を指示したのは市長だが、市長の一存でルートが決められるはずもない。
時を置かずして2011(H23)年3月には 県土整備事務所の管内図に「国道3号バイパス事業」と明記されていたことからすると、後盾となる国会議員が介在していたと思われ、T氏はその政治家の弱みまで握っているか、或いは強固な関係があったと推測される。

それが古賀先生かどうかは不明だ。
しかし繰り返すが、2017(H29)年に藤丸議員が「古賀先生がバイパスを持ってきてくれました」と叫んだのを多くの町民が聞いている。
藤丸議員は今回の内閣改造で内閣府副大臣に任命されるだけの人物、水面下で決まったバイパス化をリップサービスで伝えようとした正直者で、ありもしない話で有権者を騙すはずはない。

日本中に国道の整備を心待ちにしている 政治家、そして住民がいる。
その優先順位に特定の政治家が力を発揮するというのは噂では聞いていたが、現実にあるとなると看過することはできない。
事業費は 最低でも300億円、この予算があれば どれだけの整備ができるか。
地方議員や行政職員の間で 本当に整備が必要な国道は、同じ国道3号でも久留米市内の渋滞区間という認識で一致するはずだが、今となっては流れに身を任せるしかないだろう。

先月21日には福岡県が国交省道路局長宛に「早期事業着手を求める要望書」が提出された。
県が都市計画審議会に付随する住民説明会を開催する前に要望を出すというのも呆れた話で、かなり焦っていることが窺える。

国民の血税を使った我田引水のバイパスが、もう後戻りできないところまで来ている。
関係者におかれては下記表をご覧になり、それでも進めていくかどうか判断して頂ければ幸いである。

ー 了 ー

前代未聞!住民説明ないまま火力発電所着工

7日午前、田川市糒(ほしい)地区の「バイオマス火力発電所」建設計画に反対する住民集会が開催され、現場近くの舗道で約70名が抗議の声を上げた。

建設場所は静かな田園地帯、学校の通学路に面しており、周囲には小中学校、保育所、市民病院、そして住宅団地があり、火力発電所はどこの誰が見ても馴染まない。



問題は、「住民説明がないまま着工」という前代未聞の進め方だ。
糒地区の住民が、発電所建設を回覧板で知ったのが着工直後の令和3年6月、隣の星美台地区に計画のパンフレットが配布されたのが その 4ヵ月後の10月に入ってからだった。

事業主である南国殖産㈱(鹿児島市)から 田川市に対し、事業計画の提案があったのが平成31年1月25日、そのわずか 11日後の2月5日には、市が同社に全面的に協力する旨の協定書を締結している。
翌日の毎日新聞が「糒地区に建設し『田川ほしい農業株式会社』(仮称)が廃熱を利用した工場を建設検討」と報じていることから、この時点で建設場所は特定され、事業に関わる農業関係者が存在していたとみて間違いないだろう。



市は協定締結後、同年3月に関係者らで構成される協議会を設置し 事業内容について協議を開始、事業者は発電事業許可、農地転用や開発許可の手続き等の手続きを進めていったが、着工するまでの 2年半の間、場所や事業内容が 糒地区・星美台地区の住民に知らされることはなかった。

市内でそれらを知っていたのは、協議会のメンバーである市の職員、糒地区の農事組合と水利組合の役員、JA田川の一部職員、糒地区の区長、そして、地権者と農業委員会のメンバーに地元県議。
発電所建設となると農業用水路の利用にも関係するが、これだけの農業関係者が知る情報なのに、糒地区の近隣農家の耳に入っていなかったというのも不自然だ。

その理由は、仮に事前に計画や場所が漏れれば 反発は必至、法的な手続きが終わるまで かん口令が敷かれていたというのが大方の見方だ。
田川ほしい農業株式会社(仮称)の設立計画や、農地転用や水利の許可に関しても 農事組合と水利組合の役員だけが知り得る情報で、近隣農家からは 農事組合長らの行動に不信感が広がっている。

話を戻すが、昨年6月の着工後も、住民に対し正式な事業説明がされず仕舞いである。
正確に言うと、11月と12月に説明会は開催されたが冒頭から紛糾、説明に入る前に流会となり、次回開催が約束されたまま開かれていない。

ところが今年7月に入り事業者が工事を再開、現場事務所を設置し基礎工事を始めた。
今回の住民集会は、市と事業者、そして「一部の得をしそうな
者」に対する抗議を表すもので、今後も定期的に続けていくという。

何かと話題の大任町と田川市、また注目材料が増えてしまった。
情報提供はこちらからお願いします。


注目が集まり始めた田川市

昨年来、様々な話題をマスコミに提供し全国に名を轟かせた大任町だったが、隣接する田川市からも注目を集めそうな情報が出てきた。

田川市・川崎町・糸田町・福智町の1市3町で構成される田川広域水道企業団(企業長 二場公人田川市長)では、今年2月、浄水場及び調整池の建設(土木・建築)工事の入札を予定価格51億2516万円(税抜)で実施、一般競争入札にも拘わらず参加したのは1社のみ、飛島建設㈱が 50億7000万円(落札率98.9%)で見事に落札した。

入札結果表はこちら

コロナ禍で 民間の建設投資が落ち込む中、50億円の公共工事に1社のみというのは不自然という声も聞こえてくるが、それ以上に興味深い事実が判明している。
それは、昨年11月に企業団が購入した調整池の予定地の一部が、㈲譲(大任町)が所有する土地だったことだ。

譲と聞いてピンときた方も多いだろう。
先日 添田町の違法な盛り土について FRIDAYが報じたばかりだが、その土砂を搬入している業者である。

FRIDAY 30mの巨大盛り土が出現 台風シーズンを前に近隣住民から悲鳴!

企業団によると、貯水池の場所は複数の候補地から選ばれたわけではなく、地形的に「ここ」しかなかったという。
土地の売買価格は非公表だが、そういう理由なら納得するしかない。

ただ、水道企業団の企業長は田川市の二場市長、その義兄が大任町の永原町長、永原町長の娘婿が 譲の代表取締役という関係、形式上、二場企業長は甥っ子の会社から土地を購入したということになる。

ついでに言うと、飛島建設の工事に 永原町長の長男が代表を務める㈱鷹羽建設(大任町)と譲が下請に入っていることも判っており(下図)、田川地区の同業者の間では、その営業力の高さが話題になっている様だ。

不開示理由「真似されたら困る」に納得

今年1月、福岡県が建設業法違反で某建設会社に17日間の営業停止処分を科している。
公表された処分理由に「県発注工事で虚偽の施工体系図を提出」とあったので、その経緯が分かる文書について情報開示請求を行ったが、県から不開示の決定通知書が届いた。

その理由の一つが、「情報を開示することで、建設業を営む者による違法若しくは不当な行為を容易にし、その発見を困難にするおそれがあるため。」とされていた。
簡単に言うと、「手口が巧妙で、公開して真似をする悪い輩が出てきたら困る」ということだ。

調べでは、同社が請け負った工事において、何者かが印影を偽造し 虚偽の注文書・注文請書を作成、実際は下請業者とは正式な契約書は結ばず、グループ会社と東京に本社がある商社を通じ、工事代金を含めて材料を発注する形式で請け負わせていたことが判っている。
恐らく県発注の工事でも同じ手法が使われていたものと想像する。
確かに、県がこのような手口を公開して、真似する業者が出て来ればたまったものではないので、不開示理由に納得した次第である。

今回は建設業法違反による処分だが、虚偽記載と印影の偽造では話が違っており、印章(印影)の偽造で罪に問われると 3年以下の懲役刑が処せられる。
更に同社は、下請に代金を支払うまでに 子会社と商社を通すなど資金の流れが不自然で、マネーロンダリングや会社法・税法上での問題を指摘する声もある。

県から県警に通報済と思われるが、業者が逃げ切る自信があるとの噂も聞かれ、今後の成り行きにマスコミと県議会は注目している様だ。

町民の命を守れるリーダーを

添田町では町長選挙(17日投開票)が始まっているが、ちょうどいいタイミングで 週刊FRIDAY(7月22日号)に同町内の危険な盛り土の記事が出ていた。
タイトルは「約30mの巨大盛り土が出現 ~台風シーズンを前に近隣住民から悲鳴が!~」。

記事によると、許可された高さを6mもオーバー、県は3度の行政指導を行っている、残土処理場で土砂を積み上げているのは 大任町の永原譲二町長の娘婿が代表を務め建設会社とのこと。
地元関係者の話では、同処分場に掲示してある看板には、管理者として 永原町長の息子の名前が記載されているという。
大任町では4年ほど前から汚泥処理施設やゴミ焼却施設の建設に係る土木工事が行われ、大量の土砂が搬出されているはずだが、その全てが添田町の処分場に運び込まれたのだろうか。

永原町長と言えば、全国町村会副会長(福岡県町村会会長)、福岡県介護保険広域連合の連合長、田川地区広域環境衛生施設組合の組合長など 要職にあり、コンプライアンスの徹底には厳しい方と聞いている。
まさか大任町の公共工事で出た土砂を、家族の管理する処分場に運び込むような「我田引水」を許すはずがないのでは?

問題は添田町の町長選、隣町の町長の息子による法令違反で土砂が積み上がり、添田町民に恐怖を与えているのは事実だ。
町民の命を守るため、相手が誰であっても、例え特殊警棒で威嚇してきても、堂々と もの申せるリーダーが望まれていることは間違いない。