カテゴリーアーカイブ: 紙面掲載ニュース

〜自民党頼りの第2次野田改造内閣〜 – 野田政権、瀕死の内閣改造

野田内閣は4日、2度目の内閣改造に踏み切った。
首相の権力の源泉は、全衆院議員のクビを切ることができる解散権と、まったく自らの裁量で閣僚を任命、罷免できる人事権だ。それだけに人事権を行使する内閣改造は、歴代内閣の渾身の切り札だ。
もちろん、今回の内閣改造は野田佳彦首相が「政治生命をかける」とする消費増税法案の今国会成立を担保することが目的だ。しかし、政策実現のための攻めの姿勢は全く感じられない。法案成立にたどりつくためにはいまや不可欠となった自民党の顔色だけをうかがう、守りの姿勢だ。 続きを読む

【記者’sEYEs】 – 大混乱の高島市政

5月17日、福岡市の土地開発公社職員・佐藤敬三被告が収賄容疑で逮捕された。しかもその「お詫び」のための会見が開かれた19日の前夜、市港湾局職員が酔ってタクシー運転手への暴行容疑で、さらに市保育課職員が飲酒の上で同僚への傷害容疑で逮捕されるという事件まで発覚した。 続きを読む

遅れる無害化処理 終わらないPCB問題 救済進まぬカネミ油症

一度は遠ざかったPCBの記憶が最近、改めてよみがえる機会が増えている。PCB(ポリ塩化ビフェニール)は理想の絶縁材料として、高圧トランスやコンデンサーの絶縁油などに幅広く使われてきたが、1968年に発生した「カネミ油症事件」で毒性が発覚。製造や輸入が禁止された。しかし、被害の訴えは約1万4000人にも及んだが、患者の認定は2000人弱に止まり、44年たった現在も救済を求める声が絶えない。そのため、超党派の議員立法による救済法案を今国会に提出する動きも出ている。一方、大量に保管されたPCB入りの機器の処理は、禁止から30年近くたった2002年に開始されたが、処理完了期限の16年7月には処理能力の不足などで処理が終わらないことが最近明らかになり、あと7年の延長が検討されている。終わらないPCB問題の現在を探ってみた。

PCBは化学的に安定で、熱に強く、絶縁性が良いため、「理想的な絶縁材料」「夢の化学物質」と呼ばれ、1929年からアメリカで大量生産が始まり、トランス(変圧器)やコンデンサーの絶縁油、各種工業の熱媒体などに広く使われてきた。

毒性が明らかに カネミ油症事件

しかし、1960年代後半、欧米で魚など野生動物の大量死の原因としてPCBが疑われ始めた。1968年の「カネミ油症事件」 は、人に対して毒性があることが明確になった事件だった。これは北九州市にあるカネミ倉庫が食用油を作る際に、油の脱臭工程で熱媒体として用いていたPCBが、腐食したパイプの穴から食用油に漏れた。この油を食べた人たちに皮膚の色素沈着や吹き出物などの肌の異常、頭痛、手足のしびれなどの中毒症状が出た事件だ。

被害者は福岡県を中心に西日本一帯に発生。被害の訴えは約1万4000人にも及んだ。しかし、患者として認定されたのは2000人弱。被害者による裁判などの活動で、一時金や医療費の支払いを受けているが、具体的な治療法が見つからず、被害者の苦悩は続いている。さらに、認定基準があいまいで何らの救済も受けていない人も多いという。

そのため、昨年8月、被害者救済を目指す超党派の議員連盟が発足。今年5月21日には、未認定患者も含めた約2000人に、医療費や月3万円の療養手当を支給する救済法案を議員立法で今国会に提出する方針が決められた。しかし、消費税増税に揺れる状況では行方が危ぶまれている。

空白の28年間 消えたPCB機器も

一方のPCBの無害化処理も不透明感がつきまとう。前述のようにPCBの毒性が明らかになって、1974年6月から製造や輸入が禁止になった。その時点で国内では約5万4000トンのPCBが使われていた。これらPCBの処理が問題となった。廃棄物処理法によってPCB入りのトランスやコンデンサー、安定器などの機器を保有する企業や事業所は保管と報告が義務づけられた。

しかし、処理方法が確定せず、保管や報告が義務付けられているにも関わらず、多くのトランスやコンデンサーなどが紛失したり、一般産業廃棄物として処理されたり、企業の倒産などで年間数千台の割合で保管状況が不明になったといわれる。

こうした状況を受け、禁止から21年後の01年にやっと「PCB処理法(PCB廃棄物適正処理推進特別措置法)」が制定され、罰則(3年以下の懲役か1000万円以下の罰金)を設けて保管者に処理を義務付けることとなった。

PCBは1100度以上の高温焼却で完全に分解するが、800度以下だと有毒のダイオキシンが発生する。欧米では高温焼却が一般的だが、日本ではダイオキシンの発生を懸念する周辺住民の反対のため、化学反応でPCBから塩素分子を切り離して無害化する化学処理方法がとられた。

しかし、化学処理法は大規模な施設が必要で、費用も高額。環境省は国の全額出資で日本環境安全事業株式会社(JESCO)を設立。全国5カ所(北九州、愛知、東京、大阪、室蘭)の処理工場で高濃度のPCB機器の処理を行い、低濃度機器については民間の処理施設を認可する形で、02年から処理を開始した。

遅れる無害化処理 期限延長も検討

処理が始まった02年段階での保管量は、トランスが約4万9000台、コンデンサーが約154万台、柱上トランスが約186万台、このほか使用中のものがトランス約3000台、コンデンサー約6万4000台、柱上トランス約195万台という膨大な量である。

これが8年後の10年3月でどうなったかというと、トランス約7万台、コンデンサー約195万台、柱上トランス約209万台と、かえって増えている。処理がスムーズに進まず、さらに報告・保管義務に罰則がついたため、その後に報告が相次いだものと思われる。

環境省は当初、処理開始から15年の16年7月にすべての処理を終える予定だった。だが、上記の数字で分かるようにとても無理。そこで同省は今年5月、完了時期を7年程度延長して「23年度中」とする方針を有識者検討委員会に諮った。結論はまだ出ていない。

このように、PCB問題はまだまだ尾を引きそう。さらに、PCB処理法の制定以前に〝消えたPCB機器〟の行方も気になるところだ。

新芽倶楽部 – 九州ば元気にするバイ!

NPO法人九州プロレスは07年10月、NPO法人として日本で初めて認証されたプロレス団体だ。「NPO法人として九州プロレスを立ち上げたのは、『地域のため』という公的なイメージを持ってもらい、広く知ってもらうためである。同時に、プロレスの持つ強いイメージとNPO法人の優しいイメージのミスマッチを地域の皆様がおもしろがってくれると考えたからです」と筑前さんは話す。 続きを読む

就任1年、小川知事の実績

「県民幸福度 日本一」を掲げるも?

福岡県の小川洋知事(62)が4月下旬、就任1年を迎えた。「県民幸福度日本一」を掲げ、4期16年務めた麻生渡前知事からバトンタッチした1年生知事の船出の1年はどう評価されているのか。官僚出身者らしい手堅さ、対話型の姿勢を評価する声を背に「現場主義で多くの県民の意見を聞き、全力疾走で政策展開してきた」と本人が胸を張る一方で、オール与党のはずの県議会との交渉・対策は難渋続き。「何がやりたいのかわからない。方向性が見えない八方美人」「将来展望を示す構想力、政治的なリーダーシップに欠ける」と県政運営の資質を疑問視する見方も。1年の航跡を振り返る。 続きを読む

自民党亀裂進化という「定説」の嘘 – 進む福岡県自民党の闘う態勢づくり

福岡県自民党 最新事情

一時は福岡3区の自民党公認候補として確実といわれていた樋口明県会議員が立候補辞退を表明した。背後で何があったかはともかく、この事態を契機に武田良太衆議院議員の活躍が話題になった。樋口氏を降ろして、古賀篤氏に一本化したのは武田氏の力だという風評である。実際、「古賀一本化」の事実をいち早く掴んだ西日本新聞が報道した際には、武田氏は担当記者に怒りを露わにしたという。きちんと土俵を作ってから発表する予定だったのにというのがその理由だ。武田氏の県連会長としての評価が上がるのに対し、樋口氏を推していたといわれる蔵内勇夫県議・県議団団長が引き下がったなどの評価も流れ、現在ではそれが定説になろうとしている。たしかに福岡県の自民党は昨年の福岡県知事選以来、ガタガタしているという見方がある。では実際どうなっているのか。   続きを読む

進退窮まった野田佳彦首相

消費増税法案成立に暗雲
解散も踏み切れず

4月26日、民主党の小沢一郎元代表の政治資金規正法違反事件で無罪判決が出たことで、小沢氏の足元に絡みついていた重しがとれた。野田首相が「政治生命を懸ける」と明言した今国会の消費増税法案成立には暗雲が立ちこめ、首相は進退窮まった。  「奇跡を願ったがダメだった…」。首相周辺からはこんな嘆き節が聞こえる。小沢氏が有罪になっていれば小沢氏の政治生命はほとんど終わり。首相は心置きなく小沢氏排除に踏み切り、自民党との話し合い解散に進むはずだった。 続きを読む

【今昔物語】 – 法律を逆手にとって

昨年3月オープンしたJR博多シティは博多駅の第四代目駅ビルだ。今は昔、かつての博多駅は現地下鉄祇園駅付近にあった。手狭になったため現在地に移転し昭和38年12月開業したもので、その当時は、まだ博多駅周辺は田畑など空き地が多かったが、区画整理の後に新しい建物が次々に建築されていた。 続きを読む

地方紙元記者の反乱

地方における地元経済界のリーダーは、江戸時代の殿様のような存在で逆らうことが出来ない。地域で催される行事やイベントでは、限られたリーダー格の企業だけが運営資金を供出しているからだが、それらの企業が共存共栄を図っているというわけではないものの、仲間意識が生まれてくるのも無理はない。地方自治体などが、地元リーダー企業と一体になって推し進める地域開発では、一般企業が参画を拒否することはほぼ不可能に近く、運命共同体に組み込まれてしまう。 続きを読む

フリー記者から知事会見参加要求 – 揺れる鹿児島県政記者クラブ

記者室など県の便宜供与に批判も

記者クラブ。国の各省庁から県や市などの地方自治体、また企業などの取材を行うためのマスコミ記者の任意団体だ。多くは庁舎内に設けられた記者室に常駐し、首長会見を主催し、行政の動きなどを取材している。行政権力を監視し、国民の知る権利を代行する拠点だと胸を張る大手マスコミだが、最近、この記者クラブに対する周囲の視線が厳しくなってきた。首長会見などからクラブ員以外のメディアやフリー記者などを排除するバリアとなっているからだ。行政から提供される無償の記者室などの便宜供与も、公金の公平な運用の観点から、批判の目が向けられている。最近、ネット上で話題になっているフリー記者と鹿児島県政記者クラブとの攻防を糸口に、記者クラブの何が問題なのかを探ってみよう。 続きを読む

読者のお耳役 – 「気を許すと命取り」

数週間前の土曜日の朝、若い真面目な銀行員が勉強会に参加するため、西鉄大牟田線に乗って会場に向かう途中、突然横の女性から「痴漢」と叫ばれ、周囲の乗客に取り押さえられて、警察に突き出される事件があった。このことは既にテレビや新聞で報じられ、この男性は上司の命で自宅待機になっている。当番弁護士が被害者と交渉して、何がしかの現金を支払った結果、示談が成立して不起訴処分になったようだ。 続きを読む

消費税軸に政界再編へ 民主も自民も残らない

「維新の会」急伸におびえる既成政党、生き残りに合従連衡模索

どの党も過半数届かず
待ちの姿勢の橋下市長

橋下徹大阪市長が率いる大阪維新の会が中央政界に旋風を巻き起こしている。「維新政治塾」の公募には約3300人以上が応募し、約2200人が受講することになった。橋下氏がぶちあげた次期衆院選で「全国に300人以上を擁立し、200人以上を当選させる」という大風呂敷も現実味を帯びてきた。維新の会の急伸は、政争にあけくれ、何も決まらない今の政治への不信感そのものだ。

見捨てられる既成政党 

民主党政権は徹底的に国民の信用を失っている。だが、民主党政権の支持率低下に従って、自民党の政党支持率が上がっているわけではない。民主党の政党支持率を下回るか、ほぼ同じというのが現実だ。09年衆院選の前に、当時野党だった民主党の政党支持率が自民党を大きく上回っていた現象とは大きく異なる。
自民党の長期政権が終わり、民主党への政権交代が実現したのは、経済の低迷に政治の混乱が続き、「政治のシステム疲労が起こっている」という批判が有権者の胸にストンと落ちたからだ。ところが民主党に期待して交代させたものの、一向に「決まらない、決められない」政治は変わらない。
だから、民主党政権への失望が深まっても、「もう一度自民党にやらせてみよう」という支持が戻らない。そこに流星のごとく現れたのが「維新の会」だ。
維新の会の公約「船中八策」は政治のプロの目からみれば噴飯もの。永田町では「バカじゃないか」「これでもう維新の会もダメだ」という批評が一般的だ。しかし、クレバーな橋下徹大阪市長の狙いはむしろそこにある。既成政党から総スカンを食らうことこそ、狙いだ。郵政選挙で抵抗勢力を演出して、世論の支持を引きつけた小泉純一郎元首相と同じスタイルだ。
ベテラン衆院議員は「橋下氏は小泉氏と民主党の小沢一郎元代表をあわせたような政治家」と警戒する。わかりやすいキャッチフレーズ、物議を醸す言動、世論の反応自体をエネルギーにしていく。

維新の会 大勝は確実

維新の会は現実に国政に議席を持っていない。それゆえに現在の政治の体たらくに対しては全く責任がなく、手はきれいなままだ。だが政治はすべてそう簡単ではなく、妥協の繰り返しによって徐々に進むもの。すっぱりと割り切れるものではないが、維新の会は、少なくとも次期衆院選まではそうした現実の試練にさらされることはなく、既成政党に対しては一方的な検察官の立場に立てる。
次期衆院選が行われれば、維新の会が大勝し、相当数の議席を獲得することは確実な情勢だ。それはそのまま、民主、自民両党とも過半数をとれないことを意味する。次期衆院選後、政界がどうなるか、いまは誰にも見通せない。
こうした状況をうけ、民主、自民両党に「対維新の会」で手を組む動きがある。自民党は消費増税自体は否定しておらず、前回衆院選ではマニフェストに消費税率10%も掲げている。民主、自民が消費増税で協力する「話し合い解散」に持ち込み、選挙後、両党が消費増税実現に向けた連立を組めば、維新の会に対抗できる。
最近、今年3月、6月と言われていた衆院解散総選挙の時期の先延ばしがささやかれるのは、既成政党がこの「話し合い解散」での握手が成就するのを待っているためだ。
自民党はもちろん、早期解散を望んでいる。かといって、むやみに解散につっこめば、民主、自民とも維新の会にしてやられる。維新の会をしきりに評価している、小沢一郎元代表の動きも不気味だ。

橋下に隙なし

一方、橋下氏は焦る必要はない。これまで迷走を繰り返し、さんざん国民を失望させてきた既成政党が突然、成果を上げ出すはずもない。仮に消費増税で「話し合い解散」となれば、既成政党の談合という色も隠しようがない。いよいよ新しい希望としての維新の会の輝きが増すだけだ。
橋下氏の味方はなんといってもマスコミだ。高給でならす大阪市交通局のバス運転手に「給与4割削減」という踏み絵を突きつける。
「4割削減」というあえて物議を醸しそうなほど極端な施策を打ち出して、耳目を集める。これが最初から、実際はそこに落ち着きそうで、妥当な線の「2割削減」なら、波紋も呼ばず、実現も容易だろうが、当然、全国ニュースにはならない。
極端で一見奇矯に見えるパフォーマンスを続けること。これが橋下氏の戦術だ。そうすれば失敗しても観客は次の劇場に期待する。こうした行動を続けている限り、橋下氏が舞台から転落することはないだろう。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

役に立たない銀行OB

消費増税と一体化した社会保障問題が国会では大きな争点になっているが、高齢化が進む日本では定年後の生活をいかに維持するかが課題となっており、官庁や大手企業は第二の職場を創設するなど頭を痛めているのが実情だ。

こうした中で、金融機関は合併で余剰人員が生まれたため、取引先企業に行員を出向させるシステムを作り上げ定着してきた。ただし銀行と一般企業ではかなりの給与格差があるため、銀行は現役行員の士気低下を防ぐ方法として、出向者にも銀行員と同額の給与支給を保証している。受け入れ側の企業はこの支給額の半分程度を負担することになるが、例えば支店長クラスを受け入れると、企業の負担は年間600万円程度のようだ。

厳しい試験を経て金融機関に就職した銀行員のレベルは高く、地元企業社員と格差があるのは当然だが、ある日突然入社して来た出向者の上司に対し、違和感と反発が生まれて両者の間の軋轢解消に頭を痛めている経営者は多い。出向者が業界の慣習などに精通していれば良いが、これまで業界特有のしきたりで処理されてきた事柄を、銀行時代の常識を持ち出されて部下が戸惑う場面も出てきている。業界を勉強する思いがあれば、古い社員も教えることをいとわないが、銀行の常識を貫き通す出来の悪い人間ほど銀行を笠に着るから始末が悪い。こうした出向者を銀行に追い返すことも出来ず、中には粗大ごみになっているから困ったものだ。

業界によっては決算の仕方も異なり、また支店長経験者だからといって財務諸表に精通した人間ばかりではない。ぬるま湯に浸かった銀行員ほど扱いにくいものはないと、散々の評価を受けている銀行OBの評判も聞く。いかに銀行でも、優秀な人間はなかなか出向させないだろうし、持て余した行員だからこそ出向させるのであって、出向を命じられた行員は一度自分の能力を見直すことが必要だろう。

経営者は銀行から融資を受けているだけに、出向者に強いことが言えず、これを任されたと勘違いした出向者が、社内を掻き回し混乱させるから怖い。経営者が銀行OBであることを信じて経理を任せていたら、借り入れだけが増え資金繰りが悪化、当事者は責任を回避するため早めに会社を去って行った例もある。

福岡銀行OBは優秀な人間が多いようで、既に300名程度が地元企業で働いており、大半のOBが役員に就任している。しかし福岡銀行が出向者の受け入れを要請してきた場合、プライドだけは高く行動が伴わず、余り会社の役に立たないOBが多いので、慎重に受け入れるのを検討するのが賢明のようだ。福岡銀行の名前に惑わされると、会社にとって大きな損失を被ることになる。それに比べ合併で名前は消えたものの、旧福岡シティ銀行OBは戻るべき場所がないことと、銀行のカラーもあって野武士のようなたくましさを持ち合わせ、出向し転籍した会社に忠誠を尽くし溶け込んで、結構活躍しているOBが多いから面白い。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

福博噂話

昭和の時代に「老舗」と言えば、先祖代々と言う意味合いが含まれていたが、ITの発達で生活のスピードが速くなった現在では、創業30年の歴史があれば、一般的に「老舗」と呼ばれているようだ。

福岡には戦後間もない頃に創業して、既に2代目、3代目が経営している飲食店も珍しくない。店構えも変わらず、材料や調理方法も親から子に脈々と受け継がれている店は数多い。最近は年を取ったせいか昔の味が忘れられず、時折訪れる老舗が幾つかあるが、何処の店も往年の活気を維持していくのは難しいようだ。

数10年前までは「牛の尻尾(テール)」など は、国産牛と言え安く仕入れることが出来た。ところが現在は国産の材料にこだわると、「テールやまもと」のように、テールのおでんが2500円程度になり、3品程度にアルコールが加われば、1人5000円はくだらない。最近の客は材料にこだわりながらも価格が優先し、往年の賑わいは影を潜めている。だが店主だけで落ち着いた雰囲気の店になったような気もする。

老舗と呼ばれる店は材料を吟味、調理にしても手間と時間を費やし、昔ながらの方法を頑なに守り価格は二の次で、老舗としてのこだわりを見せている。しかしその良さを理解できる客は少なくなり、老舗と呼ばれる店はいずこも苦しい経営を続けているのが実情だ。西区の老舗料亭「とり市」は、客のニーズに合わせた幾つかの店があり、仕入在庫の管理を一元化しロスを抑えることで、収益性を保っている。肝心なのは苦しければ知恵を出すことだ。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

【業界レポート②】 携帯電話契約数は、1億3000万台へ 様々な機能を搭載、拡大する利用方法

ビジネスで活用するために!

1979年に自動車電話として産まれた携帯電話だが、高機能化と小型軽量化で利用者が増加しており、昨年末時点でPHSを含めた加入契約数は、1億2986万台と日本の総人口を超えた。ビジネスの世界においても、通販サイトや車輌の運行管理、建設現場の管理等、様々な分野で携帯電話の活用が広がっている。

進化する携帯電話

携帯電話サービスの基礎となった自動車電話サービスは、当時の電電公社が東京23区で1979年12月に、世界に先駆けてサービスを開始した。九州では1982年12月に福岡・北九州地区でサービスが始まり、順次エリアが広がった。当時の自動車電話は、車載専用で重量は7キロであったが、最近主流のスマートフォンは約100グラムと大幅に軽量化され、利用方法も「通話」から「メール」「インターネット接続」に変化した。
クレジットカードやポイントカードの機能を有する「おサイフケータイ」やテレビのリモコンとしても利用できる「赤外線機能」等、多種多様な機能が携帯電話には組み込まれている。通信速度も高速化され、かつてはCD1枚のダウンロードに約18時間必要であったが、いまや約9秒と約7500倍(理論値での比較)、短時間で大量のデータのやり取りが可能となり、様々な活用方法が広がるとともに、定額制料金プランへの加入が強く推奨される状況となった。

ビジネスで活用する

ビジネスの世界でも、通話以外の携帯電話の活用が広がった。通販会社では、いち早く携帯用の通販サイトを構築し、テレビショッピングから携帯用サイトへ誘導し、電話のみならず、携帯用サイトで受注する仕組みを作り上げ、購入機会の損失を防ぐ取り組みを行っている。
タクシーやトラック、バスには、GPSとセットで携帯電話の通信機能が内蔵され、顧客や会社事務所は、車両の運行状態がリアルタイムで確認することが可能となり、顧客満足度の向上や、安定運行に寄与している。また自動販売機にも通信機能が内蔵され、在庫数を管理しており、定期的な巡回が必要なくなり、効率化が図られている。
建設業界では、現場作業員の勤務時間の正確な把握は難しく、日報等の自己申告に頼っている。しかしながら、携帯電話による出退勤時間と位置情報の記録が可能なシステムを導入し、確実な勤務状況の把握に加えて、現場毎の人員管理業務の効率化を行っている会社もある。またスマートフォンで撮影した現場の写真や動画を、リアルタイムで事務所に報告し、情報を共有することで、施工管理や安全対策に活用出来る。かつては翌日以降の対応となっていたミスやトラブルを現場と会社が瞬時に共有し、対策方法を判断することで被害を最小限に抑え、工程の効率化・スピードアップに繋ぐことも出来る。受注価格が低い時代だけに、作業工程を短縮化しランニングコストの削減を徹底、利益を生み出している建設会社も出て来た。

携帯料金が高額になった

「うっとうしい迷惑メール」「カメラを使った盗撮」「出会い系サイト」「アダルトサイトを騙った架空請求」等、様々なトラブルがあるが、ここ数年増加しているのは、ゲーム等の「情報料」の高額請求だ。「情報料」とは、着メロやゲーム等で「有料情報」を利用する場合に発生する料金で、多くの携帯電話利用者が契約している「パケット定額制」とは別の料金形態。「無料」と表示されているゲームサイトで、ゲームのプレイ自体は「無料」だが、よりゲームを効率的に進めるためのアイテムなどを、「情報料」として販売する「アイテム課金」が流行している。テレビのコマーシャルで盛んに流れているゲーム会社はこれで急成長した。
その仕組みに疎い保護者から、子供が使っている携帯料金が「突然高額になった」「何故だかわからない」「料金を免除してほしい」との声が、各地の消費生活センターや携帯電話会社、ゲーム会社に寄せられている。有料情報を利用するにはパスワードの入力が必要だが、初期設定のままで放置している場合が多く、利用者である子供が、「勝手」にパスワードを入力し「有料情報」を購入しているケースが多い。時流にのったゲーム会社が大口の広告スポンサーになっているため、マスコミには、あまり取り上げられないのが現状のようだ。

使い方の見直しを

3月は携帯電話の最大の商戦機であり、携帯電話会社は他社から自社への乗換えを狙って、大規模なキャッシュバック施策を行なっている。この機会に、携帯電話会社や料金プランの見直しとともに、自社のビジネスの効率化のために、携帯電話の更なる活用を検討してはいかがだろうか。スマートフォンを活用したリアルタイムの情報共有は、インターネット上の無料サービスを活用すれば、スマートフォンの購入代金と月々の通信料金で構築可能、端末の分割払いを含めても、1台当たり月々1万円程度の出費ですむ。「ちょっとしたこと」に一歩を踏み出し実践することで、「びっくりするような効果」が生れる可能性は高い。
携帯電話で通話やメールを日常行っているので、「会った気になる」「しゃべった気になる」との話をよく耳にする。携帯電話の利用で効率化は生まれるが、相手と直接会ってビジネスに繋げるのが営業活動の本来の姿だろう。人に与えられた時間は24時間でみな一緒であるが、その限られた時間を上手く活用出来れば、ビジネスや生活に大きな差が生まれるはずだ。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

サテライトが幻に?

話は東京から入った。福岡で競輪の場外車券売り場を作る話がもめているという情報だ。たしか2010年6月の西日本新聞が報じた、場外サテライト開設が遅れていることは気にかかっていた。冷泉公民館で地元説明会を実施しており、準備は着々と進んでいると思っていたからだ。開設予定場所の中洲3丁目ゲイツビルには、既に場外馬券売り場「エクセル博多」がある。だから地元、所轄警察署、消防署、議会などの反対はそれほど考えられない。むしろ土日だけでなく、平日にも開催される競輪の場外車券売り場が併設されれば、それなりに中洲の活性化にもつながるし、現在、空きフロアがあるゲイツビルそのものも、人が回遊するようになる。良い話なのだからうまくいけばいいと思っていた。早速関係各所に当たってみた。

他社資料を流用か

計画されている場外車券売り場は、売上金約36億円、利用者約28万人(当初)を見込む。健全な売り場にするため有料会員制で開設する予定だ。地元の同意が得られた段階で、整備する施設の貸し出し相手となる運営自治体(競輪事業を行う自治体、福岡県では北九州市と久留米市)を捜し、開設となる。この際のキーポイントは経済産業相の承認だ。監督機関である経済産業省に、地元の同意書などを中心とした申請書ならびに付帯資料を提出し、これが認められれば晴れて開設となる。
話題になったトラブルとは、この付帯資料の一部に他の会社が開いた説明会資料が使われているとの話だ。確かに2010年の説明会を実施したのはサテライト博多株式会社。ところが今回、経済産業省に書類を提出した申請者は株式会社ウェルビー福岡だが、サテライト博多が主催した説明会の内容そのものが付帯資料として使われていた、という噂がその根拠。
この件をサテライト博多に確認すると、開設準備を中心的に進めていた久保浩一副社長(当時)らが、2010年7月3日の取締役会で辞任し退社。その後、久保浩一氏ならびに古川芳之氏がウェルビー福岡の取締役に就任、その結果ウェルビー福岡が場外車券売り場計画に関わるようになり、その際にサテライト博多が実施した説明会の成果を我が物にしたというのである。
久保氏、古川氏ならびにウェルビー福岡は、今回の取材に対し「現在は取材に応じられない」という判断であり、真偽は確認出来ていない。だが地元説明会でのやり取りは許可条件の重要事項で、同意書が地域住民の支持のもとに交わされたことを証明するものだけに、ここで問題が出てくるようなら、許可が困難になることは避けられない。

サテライト事業のメリット

公営ギャンブル冬の時代にサテライトは儲かるのか、という話もある。競輪に至っては、全国の総売り上げは競艇を下回る8000億円弱(2008年)。地方自治体に収益金を回す余裕すら無くなっている。赤字では公営ギャンブルの意味は無いと廃止を決断する自治体も現れている。だがここにきて減少傾向に歯止めが掛かって来た。各地でサテライトが作られたことにより、場外売上が増加したからだ。このように考えると、サテライト事業そのものは将来性のある事業と言って良い。
福岡市には競艇場と場外馬券売り場はあるものの、場外車券売り場が無いためサテライト事業を考えるには格好のポイント。しかも競艇場から歩いて10分で、九州きっての歓楽街・中洲地区にある場外馬券売り場と同じ、ゲイツビルにサテライトを開設出来ればそれなりの売り上げが期待出来る。サテライト側の説明によれば、運営自治体の競輪場で開催される期間だけでなく、全国の競輪場で行われる特別競輪なども車券販売の対象となるだけに、開催日は300日におよび、事務職員、車券販売員、交通整理員、警備員、清掃員など50名以上の雇用が可能だという。これは中規模企業を1社誘致したことに等しく、現在の経済環境下では非常に大きな貢献となる。
また他の場外車券売り場では警備員が常駐するため、街の安全にも寄与し、最初はギャンブル施設ということで警戒した住民も、今ではサテライトがあるので「安心」という感想を述べる人もいるという。
試算では当初の28万人から36万人、さらに定着すれば54万人の顧客が獲得できるという。この流入人口もおろそかにはできない。しかも現在はナイター競技も行われているため、車券場から夜の中洲へというコースが人気になることは間違いないだろう。
そうしたことから考えると明らかに内輪もめといってもよい今回の話は穏便に解決されることが望まれる。だがサテライト博多は法的措置も検討し、公文書偽造と同行使などでの刑事告訴を考え、福岡県警に相談したという。またこの件が東京で話題になったのも、サテライト博多側が経済産業省に内容証明文書などを送付したため、との話もある。
3月9日には、経済産業省がウェルビー福岡から出されていた「申請書」をペンディング(一時保留)したという情報も得た。ギャンブルファン、競輪ファンが待ち望むサテライトが、こうした問題から立ち消えになることは惜しいことだ。これまで数年かけて準備を進め、実現間近にまで近づいていた計画が頓挫することは、関係者にとっても悔しい事態となるだろう。
それぞれが解決の道を考えることを、中洲連合会を中心とした関係者たちは望んでいると思うのだが。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

放下着(ほうげじゃく)という生き方 – 『何もかも捨てた時に悟りが得られる』


医学博士
(財)福岡労働衛生研究所 相談役 原口幸昭さん(80歳)

如何に生きたかという質

「最近、どうも臍の周りが重たいと感じて、CTを撮ったら膵臓がんが見つかりました。あまり大きくないのですが、一部が血管を巻いた形になっていて、リンパ腺もありますので手術ではなく、抗がん剤による治療を始めたところです」
そう淡々とした表情で自分の病状を話す原口さんは現在80歳。今でも財団法人福岡労働衛生研究所で週3日勤務している消化器外科専門の医学博士だ。
これまで胃がんだけでも2000人以上の治療をしていて、原口さん自身も10年前に前立腺がんで前立腺を全摘出している。これまでがんと向き合ってきた経験から、今回見つかったがんも「病気のなかのひとつ」だと冷静に認識しているという。
がんが「死の病」だったのは昔の話だ。今はがん治療の技術、そして何よりがん発見の技術の進歩により、日本人に一番多い胃がんでも早期発見できれば生存率は90パーセント以上にまで高まっている。
原口さんが勤める福岡労働衛生研究所は、労働安全衛生法に定める定期健康診断、特殊健康診断をする健康診断専門機関で、最新鋭の各種診断機器を常備し、精度の高い診断が可能だ。
「がんとは人間の細胞の一部が変になっているだけという話です。早期発見ができるようになって、患者さんもそういった捉え方ができるような時代になりつつあります。さらに言えば、ある程度進行していたとしてもがんと仲良くしていけるようになればいいと思います」。
僅か数10年でがんに対する患者の意識は変わった。その一方で、医術が進んで来たからこそ、昔なら早くに亡くなっても「それが寿命」とされていたものが、病気として扱われるようになってきた。本人にとってそれが幸せなことかは分からないが、病気と付き合いながらも生きていける人が増えてきたのは事実だ。
「私は治療を始めたところですが、がん細胞と付き合って、この先どこまで日常生活動作ができるか。人の人生は長く生きることが重要ではなく、如何に生きたかという『質』が大切だと思っています」。

五感を研ぎ澄ます

修猷館高等学校を卒業後、九州大学に進学。教養学部で2年間を過ごし、医学部の試験を受けた。医学部に入るとその後の進路を決める出来事が起こった。大学5年生の時に父親が胃がんになったのだ。「手術をしましたが、手遅れだったようです。最期の頃には学生ながら先生について注射をしたりしていました」。
その経験は原口さんを消化器系の研究に向かわせ、がんの転移の仕組みに関する研究で博士号を取得している。卒業後は九州大学病院の第2外科(消化器外科)に入り研究を続け、その後、消化器外科の専門医として方々の病院で勤務した。
外科医には「手先が器用でなければならない」というイメージがあるが、原口さんは「器用さというより、ものの考え方が大事」だと話す。どう治療するかという考えが手に繋がり、テクニックになる。手先の器用さも必要かもしれないが、まず先にあるのはベストな治療法がどういったものかを考えることだという考えからだ。「よく言われる『神の手』もそういったもので、自分の考えが本能化して、手先に伝わることだと思います。これは全ての職業に通じることではないでしょうか」。
70歳まで福岡市の早良病院で副院長を務め、福岡労働衛生研究所で勤務し始めたのは10年前のことだ。  原口さんには50年来の趣味がある。山女魚釣りだ。日本全国を山女魚釣りで巡っていて、今は専ら宮崎の五ヶ瀬に通っているという。「釣りも含め自然と医術には共通する求めるものがある気がします。子どもの頃は近くの川で魚を手づかみで獲ったりして自然のなかで育ちました。自然の中で得た感覚が今に役立っていると思います」。
例えば、魚を手づかみで捕まえた感覚は、見えないところを想像してビジュアル化するという感覚で、触診に通じるところがあるという。医者には視診、触診、問診で、ある程度のことを判断できる能力が必要だ。極端に言えば、診察室に入ってきた様子だけでも、歩き方や顔色を見て患者のことがわからなければならない。
「私はそういったことを大切にしてきました。それはたくさんの患者さんを診るための能力にも通じます。医学の世界も人との触れ合いが少なくなってきていますが、医者が機械に頼り過ぎている現状があります」。
医者としての勘、人間としての勘を鍛えるには自然の中に身を置くことで、五感を研ぎ澄ますことができる。少なくとも原口さんにとっては山女魚釣りがそういった場になっているのだろう。
原口さんの座右の銘である、放下着(ほうげじゃく)は『何もかも捨てた時に悟りが得られる』という禅の言葉だ。与えられた生を目一杯生きる。そのためには、何もかも捨てる覚悟と悟りが必要だ。傘寿を迎えた原口さんは今でもなお何かを勉強しようというその姿勢、それは放下着という境地を追い求める姿に映る。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

中国音楽の夕べ

平成4年6月に、中央区警固で福岡経営企画を開設、年中無休24時間営業で孤軍奮闘し、その年の暮れも何とか越すことが出来、翌年1月には新春賀詞交歓会を開催するまでこぎつけた。会場は中央区のホテルに決め、案内状を発送すると、快く80名の方から出席の返事を頂戴した。だが折角来て頂く方々へのもてなしをどうしようか、傍と困ったのは言うまでもない。そこで思い出したのが、数ヶ月前に聞いた趙国良先生の胡弓で、伝を頼りに演奏をお願いすると、気持ち良く引き受けて頂いた事は、嬉しい思い出の1つである。

ところが新春賀詞交歓会が始まると、会場は新年の挨拶と名刺交換でざわつき、誰も趙先生たちの素晴らしい演奏を聞いていなかった。先生の演奏は中国で高い評価を受けていたのだが、来日してまだ日が浅く、知らない人も多かった。そこでお詫びの意味も含めて、趙先生の演奏を多くの人に聞いて頂きたい気持ちから、演奏会を企画し春に実行した。

桜が満開の中央市民センターで、第1回目の「中国音楽の夕べ」を開催したことは、今でも昨日のように鮮やかに思い出される。趙国良先生49歳、筆者48歳の時で互いにまだ若く、2人が健康で体力が続く限りこの音楽会は続けようと固く握手した。その後来場者も増え会場は市民センターからメルパルクホールに代わり、同ホールの閉館で現在のアクロス福岡に移った。

毎年この「中国音楽の夕べ」を開催する中で1つの思い出がある。趙先生から中国の北京中央音楽学院の生徒を招きたいと申し入れがあり、話を進めて行くと途中で生徒が先生に代わってしまった。福岡の小さな個人事務所が招聘状を書くのは一言で説明できないほどの難しさで、何回も書き直しては北京に送り、許可が下りて先生方の来日が決まったときは、正直ホッとしたものである。この招聘作業の時には、祖父の代から中国と深い交流があった、福岡1区選出の民主党衆議院議員松本龍氏に大変お世話になり、以来趙先生の後援会会長を引き受けて頂き、現在でも力強い支援と協力を頂いている。

最初に北京から先生方を招待した時は、まだ「亡命」と言う文字が生きており、非常に神経を使った。各地で行なわれた演奏会を聞きに行く傍ら、先生方の人数を確認したものである。最後まで気が抜けず、国際空港まで見送りに行き全員がゲートを通り終えたときは、安堵して全身にドッと疲れが出た記憶が今でも残る。
5年前に主催者である福岡経営企画を息子が継承し、筆者自身は福岡県民新聞社を設立、後ろから見守る立場となった。

今年で「中国音楽の夕べ」は20回目を迎えるが、メイン奏者も主催者も変わることなく、良く続いたものだと驚いている。筆者より1歳上の趙先生は、今年目出度く古希を迎えられた。互いに健康で体力が続く限り「中国音楽の夕べ」を続けようと約束を交わしていたが、2人とも生活習慣病を患い、趙先生は禁煙を、筆者は酒を断ち健康保持に努めてきたが、互いに老いを感じ、寂しいことだが、大きな演奏会は今回が最後になりそうな気がする。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

ふくおか在宅ホスピスをすすめる会

「在宅ホスピス」という言葉を聞いたことがあるだろうか。「ホスピス」とは、がんや難病などの末期に延命治療に力を注ぐのではなく、痛みなどを緩和して、できる限りその人らしい生活を維持して最期を迎えられるようにする看護である。病院に併設された「ホスピス病棟」などかなり知られるようになった。それを在宅でやろうというのだ。

自分の人生の最期をどこで迎えたいかと問われれば、多くの人が「自宅で」と答えるに違いない。実際、ある調査では8割の人が自宅で家族に看取られながらの死を望んでいるという。しかし、現実には自宅で死を迎えられる人は12%前後しかいない。
がんや難病の末期などでは、容態が急変する可能性があり、家族では対処が難しいと思われるからだ。また、患者本人も家族に迷惑をかけたくないという思いも強く、自宅に帰りたいと言い出せない事情もある。

しかし、在宅医療に積極的な医師や病院、24時間訪問看護ステーション、さらには介護保険による在宅支援の態勢も十分ではないが徐々に整ってきた。国や自治体も医療費の高騰もあって、在宅支援の方向を強めている。患者や家族が手を伸ばせば、ある程度は望みをかなえられる状況になってきた。

これを一層進めようと活動しているのが「ふくおか在宅ホスピスをすすめる会」(代表、二ノ坂保喜医師)だ。二ノ坂医師(61)は長崎大学医学部卒業後、救急医療に携わる中で、患者の生活、家庭も見据えた医療の重要性に気づき、1996年に福岡市早良区にクリニックを開業して、在宅でのホスピスケアに力を入れてきた。

「在宅ホスピスは本当にいい仕事だと思います。末期の患者さんにとって、病気が治る訳ではありませんが、住み慣れた場所、家族に囲まれて本当に穏やかな表情になっていきます。家族も看護の負担はありますが、次第にそれを言わなくなります。ケアの力が伸ばされていくんですね。最期は悲嘆はあるものの、看取りをやり遂げた満足感といったものが感じられます」。

二ノ坂医師の在宅ホスピスの取り組みは開業前も含めて20年以上になる。その中で同じ活動をする医師や看護師、訪問看護ステーションのネットワークが広がってきた。しかし、患者側にはその情報が十分には届いていない現状から、仲間に呼びかけて2007年に「ふくおか在宅ホスピスガイドブック」を完成。そのつながりをもとに「すすめる会」を結成した。

その取り組みの中で強く感じられたのがボランティアの必要性。欧米では在宅ホスピスの大事な一員として認識されているが、わが国ではボランティアの教育システムもない。そこで福岡県にボランティア養成講座を提案。これが県の事業としてとり上げられ、07年度から県内で最初は3カ所、その後は4カ所で毎年続けられている。



【問い合わせ先】
福岡市早良区野芥4-19-34
にのさかクリニック
電話092(872)1136

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

自然と歴史のまち〝小郡〟 – 地域の共同墓地が霊園に 地元には異論も

福岡県南部に位置する小郡市は、肥沃な筑紫平野の中央部で、北部九州のヘソともいうべき場所。市内には南北に国道3号線、東西に国道500号線が走り、国道3号線に平行して九州自動車道、東西に大分自動車道が伸びる。さらに西鉄天神大牟田線や甘木鉄道も走るなど交通の要衝だ。そうした事情は古代も同じ。太宰府に近く、博多に通じる交通の要衝であったことから、同市の中心部には当時の役所跡、小郡官衙(かんが)遺跡(国指定史跡)が残されている。そして同市井上地区には小郡官衙と密接な関係を持つと思われるいくつかの伽藍を持つ大寺があったと推定され、同地区の井上公民館前には「井上廃寺」の碑も建っている。そんな歴史豊かな井上地区を歩いていると、穏やかな田園風景の中に、ぽっかりと百基あまりの真新しい墓石の並ぶ霊園墓地が現れ、興味をそそられた。

霊園に隣接して寺院があった。憶想寺(おくそうじ)という。この憶想寺は小郡市埋蔵文化財調査センターのホームページの説明によると、井上廃寺の南大門があったあたりだという。由緒ある寺院のようだ。霊園はこの同寺の経営になるものかと思ったが、本殿入り口には「霊園拡張反対」の看板が置かれている。どうも違うらしい。

霊園経営者は唐津市の宗教法人

近隣の人に聞いてみると、霊園のある場所は古くから同地区の共同墓地として使われていた。今から10年あまり前の2000年ごろ、墓地が荒れ果て、維持管理が大変になったということで、墓地を利用していた人たちの代表が、佐賀県唐津市の宗教法人の寺院に売却することを決め、その一部が霊園として売り出されたのだという。
霊園経営は国(厚生労働省)の「墓地経営・管理等の指針」によって、宗教法人ないしは公益法人などに限られ、一般企業が行うことは禁じられている。ただ、宗教法人の委託を受けて墓石販売会社などが経営を行う例は、一般によく見られる。しかし、宗教法人の名義貸しではないかと紛争になるケースもある。
この霊園の場合は、前述の共同墓地利用者の代表が霊園開発を手がける墓石販売会社のつてで唐津市の宗教法人に売却することになったのだという。当初は隣接する憶想寺に依頼したのだが、断られたともいわれる。
自治体によっては、墓地等の経営許可に関する条例を定めているところもあり、たとえば茨城県竜ヶ崎市の条例の場合、むやみな霊園開発を抑制するために「当該墓地が当該宗教法人の宗教活動上必要不可欠であること」「市内に市民の墓地需要を充足する既存の墓地がなく、当該墓地の必要性が客観的に十分存在していること」などを規定している。小郡市の場合は条例は制定されておらず、もちろんそうした規定は存在しない。

霊園の拡張に反対の署名も

ところで、共同墓地は奥行き20数m、幅200mあまりの少しいびつな長方形で、面積は全体で約4500㎡。墓地利用者によれば、ここに60戸近くの家の900体あまりが長年にわたって埋葬されてきたという。
前述した00年にはこの全部の土地の売却を約束する約定書が結ばれたが、その時実際に売却されたのは、その一部南側の1500㎡あまりだったという。だが、その後は具体的な売却には至らず、10年後の一昨年になって再び売却の動きが始まったという。
実は、第1次売却のあと、地元から「霊園拡張反対」の声があがり、02年から05年にかけて集められた3400名あまりの反対署名が小郡市長と同市議会議長に提出されたという。空白期間はこの影響だろうといわれている。
古くからの共同墓地利用者の中からも異論が上がっていた。「そもそも共同墓地を売るなどという話は聞いていない。一部の人が隠れてやったことだ」というのだ。ただ、10年あまり前の話なので、水掛け論になる恐れはある。
そこで、前回は墓地利用者の代表者が代表して土地の払下げを受けて売却するという形だったが、今回は井上地区が地縁団体として法人格を取得し、共同墓地中央部の約1500㎡を霊園経営者に売却したとされる。
現地を確認すると、共同墓地の一部が掘り返され、古くからの墓石が一箇所に集められている。
墓地の改葬は自治体の改葬許可を取り、僧侶から供養してもらう(魂抜き)などかなり面倒な仕事だが、死者を丁重に弔うためには欠かせない。
新しい墓石が立つ霊園も古くからの遺骨が埋まっていた土地。そうした儀礼は行われたのだろうか。現地を見る限り、そうした丁重な扱いは感じられず、ちょっと心配になる。
共同墓地を立派な霊園に改葬するという今回の件、本当に関係者の総意を集めたものならば、埋葬された先祖の霊も浮かばれるだろうが、果たして…。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

福岡県の知能犯罪

福岡県は今や発砲事件と飲酒運転事故で、全国ワースト上位となり一躍有名になった。そのため全国に先駆けて、暴力団排除と飲酒運転撲滅に向け県条例を施行し、福岡県警は全警察官が一丸となって取り組んでいる。

しかし暴力団取締りにおいては、資金源を断つという名目のもとに、民間人を対象にした取締りだけが厳しさを増しており、逮捕されたり行政処分などを受けるのは民間人だけで、暴力団組員の逮捕はまったく進んでいないため、最近は不満の声も大きくなっている。また幼児や高校生などが犠牲となった死亡事故が発生している割には、県民の飲酒運転に対するモラルが低く、啓蒙運動の強い推進が必要だろう。

だから県警が暴力団対策と飲酒運転摘発に重点を置き、大量の警察官を投入しているのは理解できる。だがその結果おろそかになっている点がある。かつて福岡県警捜査二課は、汚職などの摘発では高い捜査力を誇り、そのレベルは全国のトップクラスと言われ、過去には他の県警から研修に来るほど優秀だった。

確かに全国的に汚職摘発が進められ、公共工事での談合は消えたが、代わりに地方議員による受注工作が、水面下で一段と激しくなっているのは事実だ。優秀な二課の現役警察官が大量に退職し捜査力の低下が懸念されている中、各地で内偵を進めている情報が幾つか聞かれるものの、摘発されたと報じる記事は極端に減っている。

最近の知能犯罪には裏に弁護士が付いているケースもあり、捜査が難しくなっていることは十分理解出来るが、余りにも摘発件数が少ない。村木事件や小沢事件で、鬼より怖いと恐れられ、高い捜査力を誇っていた検察特捜部も、小沢裁判の行方によっては捜査方法に一層の批判が高まるだろう。検察特捜部の暴走が許されない環境になっているのは事実である。

捜査二課が汚職事件で1人を逮捕するのに、投入された人件費は数億円を費やしているだろう。捜査二課はコツコツ情報を集めるところから始まり、地道な努力を積み重ね犯人逮捕に結びつくものと、情報に携わる人間として確信している。

現場の捜査員は胃が痛くなる思いで、捜査を続けているが、地方の署では複雑な事件になると、最初から取り組む姿勢が見えない、及び腰の担当者が多いとも聞く。知能犯以上に頭の回転を早くしないと、犯人逮捕に結びつくのは非常に難しいだろう。
人事異動の時期となったが、捜査二課の責任者はよほどの覚悟がなければ、試験だけで昇進した幹部では、部下がついて来ない可能性もある。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

離婚しても親子の絆

福岡市は若い女性の働く場所が多いため、住民票は近郊の実家に置いたまま、ワンルームで1人暮らしをしている女性が多いようだ。それだけに結婚式を挙げる数も多いのか、最近は結婚式場と披露宴会場を兼ね備えた専門の式場が増えており、従来の結婚式場との競争が一段と激しくなっている。また昔は結婚式では必ず仲人が居たものだが、新しいスタイルとして人前結婚が主流となり仲人不在の式もあり、さらには既に新婦が妊娠している「授かり婚」が、堂々と行なわれているから面白い。だから結婚祝いを持参して披露宴に出席しても、数ヵ月後には出産祝いを届けるケースも増えた。
結婚があれば当然離婚もあり、昔は離婚することは恥であり、それを親も隠していたが、最近は嫁の親も孫可愛さに安易に離婚を容認し、実家に引き取る例が多いようだ。母子家庭になれば公的な支援も得られ、生活力旺盛な女性は実家から独立し、子供を育てている母親も多い。一方では「バツイチ」の言葉も認知され、中には威張って宣言している女性も出て来た。
離婚の形態は様々あるものの、男性が子供を育てることは容易でないため、大多数は母親に親権が移り、養育費を払うだけで、子供にも面会できず悩んでいる父親も多い。
離婚後に父親が地位や収入の面で成功していれば、子供のほうから訪ねて来ることもあるが、母親が子供に父親が悪いから離婚したと、幼い時から教え込んでいるためか、それとも家庭裁判所の調停員は女性の涙に弱いためか、父親は一方的に不利な条件で、離婚を認めさせられているのが現状のようだ。
昨年来、家族の絆などが盛んに話題となって、子供に面会を求める父親が増えたものの、母親が面会拒否するため家庭裁判所に面会調停を求める父親の数が、この10年間で3倍に増えたと報じられていた。最近は離婚数が年間25万組前後と言われ、その中に子供を持つ家庭がどの程度あるか定かではないが、我が子に会えない父親が、現行制度に不満を持ちながら泣き寝入りしているようだ。
夫婦は別れれば他人だが、親子は血の繋がりがあるだけに会いたくなるのが人情で、親子の情を取り上げた物語も多い。離婚が成立した夫婦は、双方が会うことを拒む場合が多いだけに、子供の受け渡しなどを支援する組織が各地で誕生している例を、最近はよく耳にする。こうした支援組織が生まれること自体に疑問を持つが、これも時代の流れだろうか。

福岡県民新聞第63号 2012年3月15日号 掲載

[J氏の独り言 – 紙面掲載記事] – 『暴排で悩む祇園山笠』

全国には指定暴力団が22団体存在し、その内5団体が福岡県内にあって、福岡県警は暴力団の壊滅を目指し、全国に先駆けて暴力団排除条例を施行、今では全国の自治体で暴力団に関する条例が作られている。福岡市にも指定暴力団があるものの、警察の取締りが厳しいのか、暴力団の抗争事件も起きておらず、市民は比較的静かな生活を送っており有難いことだ。 続きを読む

九州電力の新たな人事、その舞台裏 川内原発再稼働の可能性は?

九電の殿様体質は、変わるのか

やらせメール問題をめぐる第三者委員会の答申対応で、枝野幸男経済産業相から叱責を受け、再稼働に向け立ち往生してしまっていた九州電力。副社長だった貫正義氏、瓜生道明氏がそれぞれ会長と社長に就任し、次なるラウンドに歩を進めた。この人事は、明らかに川内原発の再稼働に向けた環境整備であり、経済産業省との細かなやり取りの上で決定された。危機的状況にある九州の電力供給安定化に向けて、一歩を踏み出したと言えるが、まだまだ紆余曲折は予想される。 続きを読む

【今昔物語】 土地のカラクリ 

かつて福岡市には海が満ちると消え、潮が引くと現れる土地があり、そこに役所が公営住宅の下水管を埋設し、所有者である有名な地面師が役所を訴え、裁判沙汰になった事件もあった。その人物が亡くなったときには、この問題の不動産のほかに約17億円の現金が残ったと話題になったほどである。しかし「悪銭身につかず」とはよく言ったもので、人の良い二代目に甘い儲け話が次々と持ち込まれたが、どれも上手くいかず、最後は暴力団から資金を借りたため、厳しい追い込みをかけられ消息不明になったようだ。 続きを読む

[記者’sEYEs] 〜政界再編〜 居直った民主党主流派

本紙、新年号で予告した通り、1月に入って政界再編に向けた動きが急ピッチで進行している。1つは石原慎太郎東京都知事が亀井静香国民新党代表、平沼赳夫立ち上がれ日本代表とともにぶち上げた新党構想だ。そしてもう1つは橋下徹大阪市長が維新の会推薦国会議員を次期総選挙で400人擁立するという構想を発表したことである。あたかも6月選挙を前提にしたような動きは何を意味しているのか。 続きを読む

[業界レポート①] かつての談合体質からの脱却を図れ 地場建設業界が入札を勝ち取るにはIT化が必須!

一昔前までの談合華やかりし建設会社には、業界担当と呼ばれる公共工事専門の営業社員が、肩で風を切りながら社内を闊歩していた。本来は業界主導であった談合に、政治家が介入し始め現金が飛び交い、利権の温床となったのは言うまでもない。建設業界において余りにも激しい政治家の介入に、批判が出始めたのを機に司法が動き、全国各地で談合の摘発が行なわれ、各地の首長が次々に逮捕された。 続きを読む

「問われる後継者」

戦後焼け野原となった日本を、明治、大正生まれが復興し、その後継者である昭和生まれの世代は企業戦士となって経済大国に発展させた。だが戦後の復興を担った企業代表の大半は、生きるために若くして経済界に飛び込んで行っただけに、高度成長を経て生活が安定してからは、学歴に対するコンプレックスが頭をもたげ、せめて子供は大学に学ばせたいと考え、これを数多くの経営者が実行した。 続きを読む

「小沢無罪」で野田政権倒閣へ!

衆院議員70人率い、新党勢力を束ねる陰のキーマンに
橋下氏ら「第3極」が焦点 小沢グループが人材供給

4月中、下旬に予定されている民主党の小沢一郎元代表の政治資金規正法違反事件の判決を永田町は息をひそめて待っている。有罪か無罪かでその後の政界の動きが大きく変わるからだ。無罪になれば小沢氏は野田政権の倒閣に向けて一気に動き出すのは確実で、民主党、自民党を巻き込んだ政界再編に発展する可能性もある。
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「映画ライフ それが活弁!」イベントのお知らせ

映像世界の進歩には目を見張るものがあり、特に3Dの世界は驚くばかりで、刺激にはなるが見終わったときには、疲れがドット出てくるが面白い。
数十年前は無声映画と呼ばれ、舞台の端で活動弁士と呼ばれる人が、熱弁を振るっていたとの話を聞いたことはあるが、実際に実物を見た経験は無く、先日ある人の紹介で活動弁士として、活躍している麻生八咫(あそう やた)氏を知ることが出来た。 続きを読む

志賀商工会で発覚の横領疑惑(2)幹部に不信感 脱会者も

(11年7月号掲載)

志賀商工会館(東区西戸崎)「今回の横領は通帳や書類の改ざんなど非常に手が込んでいる。2人が関与していると考えるのが自然だが、民事訴訟や刑事告訴の対象になったのはなぜか1人。女性職員が裁判で姿勢を転じたのも、このことが関係しているのでは」(前出商工会関係者)。

また、ある地元住民は「幹部らは以前、この男性職員と一緒に何度も韓国旅行へ行っていた。何か“痛いところ”でも握られているのではないか」と疑念を口にする。


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